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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第3節 政府関係機関別事項|
  • 第2 日本国有鉄道(国有鉄道事業特別会計を含む。)|
  • 工事

工事費の積算当を得ないもの


(647)−(651)工事費の積算当を得ないもの

(款)建設改良費(項)建設改良費

(647) 日本国有鉄道信濃川工事事務所で、昭和24年度第3期信濃川発電設備水路ずい道工事の請負施工に当り、仮設材として使用する坑木その他の木材115,869石の代価として92,695,200円を請負契約金額中に計上しているものがある。
 右木材のうち、その約60%の70,000石は丸太材で坑木として使用され、他の約40%は矢板、角材、堰板等であるが、丸太材は坑木として繰り返し3回使用できるものとして坑木延所要量の3分の1の数量が見込まれ、その代価については坑木使用後は残存価値はないものとして、丸太価格の全額を支払う計算となつているものである。
 しかし、本件工事については丸太の規格寸法、丸太の受ける土圧と破損歩合、丸太の繰替使用の速度と丸太の腐蝕事情、使用済丸太材のおびただしい数量と板材、角材等としての更生利用の途等を勘案すれば、坑木としては使用価値になくなつても、まだこれを他の仮設材として更生の上使用するだけの価値はあるものとして取り扱い得るものであるから、丸太の残存価値は坑木3回使用により全然なくなるものとして取り扱い、他の仮設材についてそれぞれ独立の代価を計上しているのは、請負代金の算定が緩に過ぎるものと認められる。
 現に、25年6月本院会計実地検査の際調査するに、使用済坑木は坑外に搬出され、業者製材所で他の仮設材である板材、角材等に加工され再度使用されていて、平均3回使用後もまだ残存価値はあると見なければならない状況であつた。
 なお、敦賀線衣掛ずい道堀さく請負工事の坑木は使用後40%の残存価値を見ているが、いま仮にこの40%をとつて計算すると本契約は約2千200万円を節減し得たこととなる。

(648) 日本国有鉄道信濃川工事事務所で、昭和24年度中に西松建設株式会社外7会社に随意契約で請け負わせた第3期水路ずい道掘さくその他その1工事の代金として支出したもののうち、30,307,648円は当初の工事に引き続いて施行されることとなつていたその2工事の請負契約が、24年9月の契約制度改正による手続等のため、約1箇月程遅延し作業停止期間を生ずるので、工事の進ちよくを計るため設計変更をし、正規の契約更改の手続をとらず、その1工事と同一単価で施行したものに対する支出金額である。
 しかし、工事契約当初の工事単価は、主体工事をしゆん功させるに必要な附帯経費を、その工事量の直接経費に加算して割り出されたものであるから、既定工事量を異動する場合は計算を改定の上新単価を決定すべきであり、本件の場合仮設備費、労務者旅費等附帯経費は請負額の追加工事の単価には積算する必要がなかつたものであるから、これを除くと追加工事についての附帯経費は約3分の1で足りるものであり、390万円は新単価設定により節減し得たものである。

(649) 日本国有鉄道東京鉄道局新橋工事部で、昭和24年1月随意契約で株式会社間組に請け負わせた大井工機部大船分工場電車職場鉄材加工その他工事及び同職場鉄骨建方その他工事の代金として24年度中に36,610,751円を支出したものがある。
 本件工事は4,895平米の鉄骨工事であつて、平米当り工事費7,479円の積算に当り、材料費は624円(使用鋼材450屯うち200屯は支給品)鉄骨工その他人工は屯当り28人6、1人工労務費516円(平米当り使用鋼材0.092屯 平米当り人工 2人63)として、平米当り労務費1,357円、その他諸経費(鋲製作及び塗装を含む。)5,498円としたものであるが、(イ)労務費にあつては本件のような鉄骨建家の鉄材加工及び鉄骨建方工事に要する鉄骨工その他の人工は通常屯当り26人(鉄骨工20人、鳶工4人、人夫2人)が適当と認められ、これによれば平米当り人工は2人392となり、労務費単価を、鉄骨工440円、鳶工325円、人夫297円とすれば、平米当り984円で差引372円が過大な計算であり、又、(ロ)その他諸経費中に当然直接労務費に含まれていると認められる平米当り鋲打作業費1,300円、鉄材購入に要する諸費用156円、割増附帯費258円、その他626円計2,340円が重ねて積算されており、(イ)、(ロ)をあわせ平米当り2,712円高価となつていて、結局本件工事費は約1,300万円過大に積算されたものである。

(650) 日本国有鉄道新潟鉄道局米沢工事部で、昭和24年3月鉄道建設興業株式会社に随意契約で請け負わせた赤岩駅通過線新設その2、その3工事の代金として合計6,137,808円を支出したものがある。
 本工事費に積算された労務費は16,843人工分3,863,006円であるが、人工の所要量を実際の工事について検討すると、標準歩掛に列車の運行の際の手待2割を加算しても5,500人工程度で足りるものであり、本件労務費は著しく過大と認められ、又、雑費及び経費もこれに比例して増大しているものである。いま仮に標準歩掛の2割増程度で本件工事費を計算すれば、約200万円は節減し得た計算となる。

(651) 日本国有鉄道新潟鉄道局新津管理部で、昭和24年7月及び9月に鉄道建設興業株式会社に随意契約で請け負わせた大河津、地蔵堂間信濃川分水路橋梁橋脚新設その他その1及びその2工事の代金として合計5,782,000円を支出したものがある。
 右工事は、23年度に行われた低水敷構桁更換工事その他に引き続いた大河津側高水敷の橋脚増設工事であつて、特に難工事でもないから左表の算出内訳のとおり、通常4,000,000円程度で契約できた工事と認められるものである。

工事種類 数量 単価 金額
根堀 54立米
600

324,000
杭打 100本 5,000 500,000
栗石 30立米 1,000 30,000
コンクリート 60〃 2,000 120,000
躯体コンクリート 470〃 2,500 1,180,000
井筒コンクリート 110〃 3,000 330,000
蓋コンクリート 14.3〃 4,500 65,000
中埋砂 84〃 800 67,000
井筒沈下14米に対
する分その他雑費
500,000
建物移設 20平米 2,000 40,000
小計 3,156,000
経費 844,000

4,000,000

備考 セメントは全量日本国有鉄道から支給。