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  • 昭和25年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第2 総理府|
  • (終戦処理関係の分)|
  • 不当事項|
  • (ー般会計)|
  • 物件

石炭の購入に当り処置当を得ないもの


(40)−(45) 石炭の購入に当り処置当を得ないもの

 (部)終戦処理費 (款)終戦処理事業費 (項)技術部費

 昭和25年度中連合国軍用として購入した石炭は、210万余屯契約金額61億2千5百余万円に上つているが、納入されたものの炭質カロリーにおいて不適格品があり、又、数量の不足、納入の遅延が判明していてもこれに対する処置は特別調達局に全く権限がないものとして契約条項による代金減額の処置を講ずることなく、25年10月契約上特別調達局においても納入品の検査をすることとなつた後もなお同様の取扱をしており、その他購入に当り処置当を得ないと認められるものが本院会計実地検査の結果判明したものだけでも次のとおり東京外4特別調達局において多数存する状況である。

(40)  東京特別調達局で、昭和25年12月常磐石炭販売株式会社から芝浦補給部倉庫納として5,300屯を購入し、その代金として18,470,500円を支出したものがあるが、その規格は全部中塊炭であるのに対し、うち3,362屯が粉炭で納入されているのに高価な中塊炭の契約価格をそのまま支払つている。
 なお、26年4月同会社から中塊炭5,785屯、27,073,800円を購入したものについてもうち2,981屯が粉炭で納入されている。

(41)  同局で、昭和25年12月喜清商事株式会社外8会社から朝霞地区外18箇所納として52,726屯を購入し、その代金として202,450,885円を支出したものがあるが、契約規格によれば5,500カロリー以上であるのに、これに満たないものが納入されたにかかわらず契約価格をそのまま支払つたものが31件約1500屯あり、これに対し契約条項により減額を要する金額が約455万円に達している。

(42)  仙台特別調達局で、昭和25年9月から12月までの間に、株式会社太陽商社外5会社から114,528屯を購入し、その代金として326,487,290円を支出したものがあるが、そのうちには軍側の検収又は同局の検査において契約規格に適合しないカロリー不足品納入の事実が判明したのに、契約条項による代金減額の処置をしていないものが26年6月本院会計実地検査当時21件約1万6700屯、減額を要する額約1864万円ある外、納入遅延の分に対する違約金の徴収をしていないものが27件約72,400屯その違約金約2047万円に上つている。
 右の外、同局で、25年9月指名競争により興北産業株式会社と三沢地区外1箇所納として19,400屯、44,270,000円購入の契約をしたところ、同会社はこのように大量な石炭納入の経験に乏しくわずか400屯を納入したに過ぎなかつたため11月契約を解除し、改めて残余の19,000屯を70,730,000円で他会社から購入したものがあり、右解約に伴い26年1月賠償金27,497,118円を徴収することとしたが、収納の見込も立たない状況で、大量の石炭を購入するに当り不適当な業者を選定し、このような事態に至つたのは処置当を得ない。

(43)  横浜特別調達局で、昭和25年7月から26年3月までの間に、東海産業株式会社から武山地区外7箇所納として塊炭4,040屯、中塊炭115,562屯、粉炭1,100屯計120,702屯を購入し、その代金として352,102,380円を支出したものがあるが、納入の実績は塊炭16,924屯、中塊炭64,127屯、粉炭39,606屯計120,657屯で契約規格と著しく相違するばかりでなく、45屯(約21万円)の納入不足を生じているのに契約代金をそのまま支払つたものである。
 なお、26年4月及び7月に同会社外1会社から購入した座間地区外6箇所納のもの15,940屯、75,236,475円はうち12,260屯を単価の高い中塊炭で納入することとして契約したのに実際納入された同品はようやく5,916屯にとどまり、残余はおおむね粉炭で納入されている。

(44)  名古屋特別調達局で、昭和25年6月及び12月株式会社太陽商社外2会社から岐阜地区外1箇所納として中塊炭11,458屯を28,201,560円で、又、粉炭4,461屯を11,277,408円で購入したものがあるが、そのうち中塊炭10,768屯が納入された岐阜地区について納入実績を調査したところ、3,483屯が粉炭で納入されているのに代金は高価な中塊炭の契約価格をそのまま支払つている。
 又、本件石炭について軍側の検収又は同局の検査の結果カロリーが契約規格に満たないものがあるのに、契約条項による代金減額の処置をしていないものが、26年7月本院会計実地検査当時において中塊炭及び粉炭をあわせ6件3千1百余屯あり、その金額は約919万円になつている。
 なお、26年4月及び5月同会社外1会社から岐阜地区納として中塊炭4,550屯を購入し、その代金として19,708,500円を支払つたもののうち1,887屯が粉炭で納入されている。

(45)  福岡特別調達局で、昭和25年5月から10月までの間に、九州石炭株式会社外5会社から42,232屯を購入し、その代金として104,774,327円を支出しているが、同様カロリーが契約規格に満たないことが明らかであるのに、契約条項による代金減額の処置をしていないものが24件約2300屯その金額約493万円になつている。