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  • 昭和25年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第7 農林省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 工事

補助工事の施行当を得ないもの


(595)−(596) 補助工事の施行当を得ないもの

(部)公共事業費 (款)災害復旧公共事業費 (項)農業施設災害復旧事業費

 農林省所管の公共事業費補助工事で、事業主体の工事の施行が当を得ないため、補助の目的を達していないものが次のとおりある。

(595)  福島県東白河郡高城村が事業主体となり、総工費9,000,000円(うち昭和25年度分3,800,000円、補助率6割5分)をもつて施行した同村道ケ作堰災害復旧工事は、24年水害のため流失した同村東館堰及び道ケ作堰の代替施設として延長108米4のコンクリートえん堤及び延長1,130米の水路を築造するもので、えん堤は工費5,660,000円をもつて25年6月完成したところ、8月の水害により左岸側約33米が決壊した。
 右工事は、地盤が岩盤であるとして基礎コンクリート最深1米の設計により施行したのであるが、決壊箇所は岩盤が意外に深く、当初設計のままでは基礎コンクリートが硬質の岩盤に達しないことは工事施行途中において判明したと認められるのに、設計変更もしないで完成したため8月の出水により基礎の下部が洗掘され決壊をきたしたものである。

(596)  熊本県阿蘇郡長陽村が事業主体となり、総工費2,900,000円(うち25年度分2,120,000円、補助率6割5分)をもつて施行した同村竹田井堰災害復旧工事は、24年水害のため流失した井ぜきの復旧として延長23間の野面石張練積えん堤を築造するもので、24年12月完成したが、26年7月の水害により全面にわたり決壊した。
 右工事は、えん体の表面を野面石練積とし、中詰として玉石コンクリートを充てんする設計であるが、本院において決壊直後の実地を検査するに、十分なコンクリート工事を実施したものとは認められない。県当局者の説明によれば、仮締切工事が完全にできなかつたため工事中にセメントが流失したものであるというが、コンクリート工事を施行するに当つて、セメントを流失させるような不十分な仮締切のまま施行したのは、その施工方法がずさんであつたものと認められる。