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  • 昭和25年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第7 農林省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 物件

工事用物件の購入処置当を得ないもの


(597)−(599) 工事用物件の購入処置当を得ないもの

(大蔵省) (米国対日援助見返資金特別会計) (款)援助資金支出 (項)公企業支出

(597)  東京農地事務局で、昭和25年9月から12月までの間に、日製産業株式会社外2名から購入したドラグライン5台の代金として10月から26年3月までの間に20,654,399円を支出したものがある。
 右機械は、農林省印旛沼手賀沼干拓建設事業所の印旛疏水路掘さく工事用として購入したものであるが、26年3月本院会計実地検査の際調査するに、水路掘さく用としては全く使用されていない状況である。
 本件工事地帯は、同事業所で工事開始前地質調査をした結果によると、地盤支持力平米当り2、3屯に過ぎない湿地帯で、接地圧力の大きい重機械は使用に適しないと認められるのに、接地圧力が5、6屯もあるような本件ドラグラインを多数購入し、その目的に使用することができないような事態を招来させたのは当を得ない。

(598)  同局で、昭和25年9月株式会社渡辺製鋼所から購入したデイーゼル発電機船1隻の代金として10月及び11月に9,800,000円を支出したものがある。
 右は、印旛沼手賀沼干拓建設事業のうち、25年12月に着工した大和田疏水路73,925立米のしゆんせつ工事用のしゆんせつ船に電力を供給するため購入したものであるが、本件購入当時既にしゆんせつ船の所要電力を満たすに十分な専用送変電施設を12月に完成する計画があり、現に、同月完成したものであつて、しかも右しゆんせつ船は1時間60立米、1日3交替として960立米のしゆんせつ能力を有するものであるから、右送変電施設の完成を待つて前記しゆんせつ工事に着手するとしても、年度内にこれを完成することができたものと認められ、本船は本工事用としては購入の必要がなかつたものである。

(599)  金沢農地事務局で、昭和25年9月株式会社米井商店外1名から購入したコンクリート打上用ミキシングプラント2基の代金及びそのすえ付費として11月から26年3月までの間に15,518,000円を支出したものがある。
 右は、25年8月九頭龍川農業水利事業に対し米国対日援助見返資金250,000,000円の割当があり、頭首工工事の主要部分を年度内に完成することとなつたので、そのためには約90日間にコンクリート36,000立米を打ち上げる必要があるとして、1日平均打上量各200立米の能力のある機械2基を購入したものであるが、右2基を運転して1日400立米のコンクリートを打ち上げるには砂利400立米、砂200立米程度を要するのに、附近にはせいぜい1基分の所要量を採取できる程度の場所しかない状況であり、又、他から運搬するとしても相当の困難を伴うものであるから、このような機械2基を購入してもこれを十分に活用できないことは予測できたものであり、現に、年度内の使用実績は11日間に1,401立米を打ち上げたに過ぎず、26年度の使用実績も4月から7月までの間に7,256立米に過ぎない状況であつて、2基のうち1基は購入する必要はなかつたものと認められる。