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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第6 厚生省|
  • 不当事項|
  • (国立病院特別会計)|
  • 未収金

病院収入の取扱等の経理当を得ないもの


(476)−(484) 病院収入の取扱等の経理当を得ないもの

(款)病院収入 (項)料金収入 外1科目

 国立病院で、社会保険診療報酬支払基金等から収納する診療収入金を納人から直接日本銀行に払い込ませることができたのに市中銀行に病院口座を設けてこれに受け入れ、又、収入官吏が収納した現金はすみやかに日本銀行に払い込むべきであるのにこれを払い込まず、その間みだりに病院の経費等に使用したり、あるいは職員に領得されたものが次のとおりある。
 従来国立病院、国立療養所で、社会保険診療報酬支払基金等から診療収入金を収納するに当り、これを市中銀行の口座に受け入れ、預金として保有することが広く行われていたが、適法な取扱でなく、経理上弊害を伴うことも多いので、昭和25年6月本院からその改善方を要求した結果逐次改められ、直接日本銀行に払い込むことになつている。

(476)  国立登別病院で、昭和24年7月ごろから26年4月ごろまでの間に収納した診療収入金、物品売払代金等を別途資金として保有し、みだりに各種修繕工事、医師諸給与、接待費等に使用したものが2,122,529円ある。

(477)  国立若松病院で、昭和25年2月から27年1月までの間に、福島県社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金132,134円を日本銀行に払い込んでいなかつたので指摘したところ、うち92,334円は同病院庶務課会計係厚生事務官大場某が領得していたことが判明したが、残余の39,800円については亡失の原因が明らかでない。
なお、右領得金は27年2月21日までに全額補てんされた。

(478)  国立千葉病院で、昭和23年12月から26年3月までの間に、千葉県社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金等を市中銀行の預金として保有し、そのうち550,000円を社団法人千葉県給食協会に融資し、1,851,604円を病院建築工事費、食糧費、修繕費、職員家屋購入代等に立替使用し、26年8月までに2,009,660円は日本銀行に払込を了したが、残額の391,944円については27年3月本院会計実地検査当時払込の手続をせず基金事務所に保管させていた。
 なお、右残額は27年5月歳入に納付された。

(479)  国立王子病院で、昭和25年3月から27年1月までの間に、東京都社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金のうち917,375円を市中銀行に預け入れ又は現金でこれを保有し、そのうち881,500円を職員宿舎改修工事費、接待費、会議費等に使用し、残額35,875円は27年3月本院会計実地検査当時現金で保有していた。
なお、右残額は27年4月歳入に納付された。

(480)  国立立川病院で、昭和22年10月から25年12月までの間に、東京都社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金14,003,787円を市中銀行預金又は現金で保有して歳出金等に立替使用し、右収入金のうち10,935,313円はその後国庫に納入し、2,997,496円は物品購入費、生活補給金等に使用したと認められるが、関係証拠書類を焼却又は亡失しているので事実の確認は困難な状況であり、又、70,978円は27年2月本院会計実地検査当時関係職員が保管していた。
 右の外、会計実地検査当時26年11月物品購入代の名義により架空の支払をした小切手145,000円を保有していたので注意したところ、前記70,978円とともにこれを27年3月歳入に納付した。

(481)  国立東京第一病院で、昭和24年5月から27年2月までの間に収納した診療収入金385,460円、雑収入(入院患者及び附添人に貸し付けた被服、寝具の使用料)2,028,327円計2,413,787円を別途資金として保有し、これを備品購入費、庁舎修繕工事費等に使用したものがある。

(482)  国立金沢病院で、石川県社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金を日本銀行に払い込んでいなかつたので指摘したところ、同病院庶務課医事係長厚生事務官和智某が昭和22年2月から26年4月までの間に1,660,455円を領得していたことが判明した。
 なお、右領得金は27年4月1日までに全額補てんされた。

(483)  国立舞鶴病院で、昭和25年4月から26年8月までの間に、京都府社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金等を市中銀行預金として保有し、うち811,898円を消耗器材費、旅費、接待費等に使用していた。

(484)  国立松山病院で、昭和22年ごろから26年5月までの間に、愛媛県社会保険診療報酬支払基金事務所等から収納した診療収入金を市中銀行の預金として保有し、そのうち22年12月から27年1月までの間に708,037円(預金利子4,664円を含む。)をみだりに各種工事代金、接待費及び倉庫借上料等に使用し、他方、27年2月から4月までの間に、旅費、倉庫借上料等の名義により支出した165,746円、借入金により調達した505,750円その他により前記日本銀行への払込不足額を補てんしたものがある。