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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項

運輸省


第9 運輸省

 海上保安庁における燈台その他航路標識関係工事に対し本院において実地に会計検査を施行したものは、112箇所その工事費1億6千2百余万円であつて、検査の結果によれば、前年度に比べ相当改善の跡が認められたが、なお、災害復旧に名をかり改修工事を施行したものや災害復旧工事の出来高が不足していたものなどがあり、そのおもなものは別項に記載したとおり3件である。

 公共事業費の支弁に属する港湾工事の関係経費については、国の直接施行にかかる港湾工事の経理において、船舶職員等の超過勤務手当の予算が不足したため一般労務者と同じく工事費からこれを支給していたもの及び支出官が裏書により小切手を現金化して債権者に支払をしていた事例が港湾建設局にあつたので、厳重注意を発しておいた。

 又、地方公共団体施行の港湾改修工事に対し交付した国庫補助金につき本院において実地に会計検査を施行したものは宮古外130港その工事費28億8千1百余万円、補助金11億1千9百余万円であるが、検査の結果によれば、補助の対象とならない工事が補助対象工事費で施行されているもの、工事設計に比べ工事の出来高が不足しているものなどがあり、そのおもなものは別項に記載したとおり3件である。

 又、地方公共団体が施行する港湾災害復旧工事に対し国庫負担金を交付したものは、全国にわたり1,750箇所工事費27億8千余万円、国庫負担金19億5千1百余万円で、本院において実地に会計検査を施行したものは、958箇所工事費18億8千6百余万円、国庫負担金12億6千7百余万円であるが、検査の結果によれば、災害復旧に名をかり改良工事等を施行したもの、工事の出来高が不足しているものなどが多く、国庫負担金が過大と認められる額1事項5万円以上のものについてみても左のとおり岩手外18都県において58に上つており、その概要は別項に記載したとおりである。

都県名 災害復旧に名をかり改良工事等を施行したもの 出来高が不足しているもの 設計に過誤があつたもの 原形超過工事を原形復旧工事として処理しているもの
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額

岩手県







1

112,821

1

112,821
東京都





1 521,896 1 521,896
新潟県





2 160,303 2 160,303
福井〃





1 56,725 1 56,725
静岡〃



1 93,730 3 531,058 4 624,788
愛知〃 1 369,603



1 477,666 2 847,269
三重〃





1 277,355 1 277,355
兵庫〃



1 213,064 1 162,600 2 375,664
島根〃 1 754,733

1 87,979 4 341,340 6 1,184,052
岡山〃

1 139,933 2 2,365,719 4 509,905 7 3,015,557
広島〃 1 376,343



4 868,590 5 1,244,933
山口〃

5 479,574 1 112,168 3 401,029 9 992,771
徳島〃





1 111,601 1 111,601
香川〃

1 209,086

3 349,558 4 558,644
高知〃





2 281,476 2 281,476
福岡〃 1 76,515



2 756,695 3 833,210
大分〃

4 318,171

1 106,602 5 424,773
宮崎〃





1 163,299 1 163,299
鹿児島〃





1 217,844 1 217,844
4 1,577,194 11 1,146,764 6 2,872,660 37 6,408,363 58 12,004,981

 地方公共団体施行の工事について前記のような事態を生じたのは、近時工事量が著しく増加し、運輸省における審査が行き届きかね机上査定によつて設計及び所要工事費を決定しているものもあり、更に、地方公共団体における工事施行についても監督及び検収に粗漏があつたことなどに基因するものと認められる。