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  • 昭和26年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項及び是正事項|
  • 第13 建設省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)(米国対日援助見返資金特別会計)|
  • 工事

直営工事の施行に当り不経済な結果を招いたもの


(1125)−(1128) 直営工事の施行に当り不経済な結果を招いたもの

(建設省) (一般会計) (部)公共事業費 (款)一般公共事業費 (項)河川事業費 外2科目
(大蔵省) (米国対日援助見返資金特別会計) (款)援助資金支出 (項)公企業支出

 中部外2地方建設局で、昭和26年度中に、東海道整備、日坂道路工事外3直営工事の施行に当り事前調査が不十分であつたなどのため工事に手もどりを生じ、又は不用の工事を行い不経済の結果をきたしたものが次のとおりある。

(1125)  中部地方建設局多治見工事事務所で、昭和26年度中に、直営により岐阜県土岐郡笠原町地先土岐川流域向島谷の向島えん堤工事を349,947円で施行したものがある。
 右工事は、向島谷の上流部から流出する土砂切防止とこう配の緩和を図るものとして26年4月着工し5月完成したものであるが、27年4月本院会計実地検査の際の調査によると、本件えん堤の上流部においては、笠原中学校校庭拡張工事を本件と同時期に開始し、谷間に土砂をまき出し、えん堤施行箇所の上流部約60米まで埋め立てている状況で、本件工事はその目的を失い不用となつている。
 右は、工事着手前あらかじめ現地の状況を十分調査しなかつたことによるもので、その処置当を得ない。

(1126)  中部方建設局島田工事事務所で、昭和25、26両年度中に、東海道整備事業静岡県日笠郡日坂村地内道路改良工事を6,308,024円(うち25年度において支払つた分4,551,740円)で施行したものがある。
 右工事は、延長628米の道路を新設するもので、そのうちA箇所250米の全部とB箇所378米中の197米は、地盤軟弱のためてん圧に耐えず、はなはだしく沈下して車馬の通行が不能となり、26年9月1,850,774円をもつて手直工事を施行しているが、27年9月本院会計実地検査の際の調査によると、本件工事箇所は土質が腐しよく土に似た不良のものであり、且つ、地下水位がきわめて高く流出量も多い状況で、もし着手前にこれらの事情を調査すれば工事に手もどりを生じなかつたものと認められるのに、十分の調査を行わないで工事に着手しそのまま続行したため、結局、玉石、砂利、栗石等の除去及び側溝の改造等に約41万6,000円の手もどりをきたしたものである。

(1127)  近畿地方建設局大津工事事務所で、昭和26、27両年度中に、東海道整備事業滋賀県甲賀郡大野村地内道路改良工事を12,798,780円(うち27年度において支払つた分14,620円)で施行したものがある。
 右工事は、砂利道延長3,755米の拡幅、付替など改良を行うもので、これに要する砂利4,663立米のうち2,163立米、925,935円(立米当り428円)は、26年4月から現場附近野州川河川敷で直営採取し、残余の2,500立米は、直営採取の困難であることを事由として27年1月及び3月指名競争により村上某外1名から立米当り590円又は674円80、代金1,559,800円で購入したものであるが、27年4月本院会計実地検査の際の調査によると、野州川は砂利の産出が豊富で工事現場までの運搬距離も平均2キロメートル程度であり、又、採取運搬に要する人員並びに当時のトラツクか働状況に徴し所要砂利の全量を直営採取することが容易にできたもので、特にその一部を高価な請負により購入する必要があつたものとは認められない。
 いま仮に、本件砂利の全量を直営採取したとすれば概算50万円は節減することができたものである。

(1128)  九州地方建設局大分工事事務所で、昭和25、26両年度中に、直営により大分県大分郡鶴崎町地先乙津川筋左岸の皆春地区改修工事を6,733,189円で施行したものがある。
 右工事は、延長1,531米の区間に土量73,001立米の旧堤拡幅工事を実施したものであるが、27年3月本院会計実地検査の際の調査によると、右区間のうちには4箇所に既設ひ管があり、これが利用の可否は工事着手前十分検討すべきであつたのに、漫然とそのまま利用することができるものとして築堤工事を施行したところ、土圧のため使用に耐えなくなつたので、改めて27年度にこれを2箇所に合併施行することとなり、前記施行済の築堤盛土のうち901立米の掘さく埋もどし、その経費約16万8000円を要するような不経済な結果をきたしている。