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  • 昭和27年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 会計事務職員に対する検定

予算執行職員等に対する検定


第2 予算執行職員等に対する検定

 予算執行職員が法令に準拠せず、または予算で定めるところに従わないで、支出等の行為をしたと認められるもので、昭和28年1月から12月までの間に、弁償責任があるとして検定をしたものは次の2件である。

(1) 東京郵政局管内東京鉄道郵便局で、同局分任支出官郵政事務官青木某が、昭和25年7月12日から9月19日までの間に、物品購入事務を担当する同局庶務会計課員栗原某と共謀のうえ、三輪車等を修理しないのにしたように業者に虚偽の領収書を提出させ、その他関係書類を不正に作成して104,067円を支出しほしいままに自己の飲食費等に使用した件

 右は、同分任支出官が、その職分である繰替払命令について、郵政事業特別会計令(昭和24年政令第191号)第16条第1項の規定に故意に準拠することなく、実際には三輪車等の修理をした事実がないのにあるように不実の経理をして支出したものをほしいままに自己の飲食費等に使用し、ために国に前記損害を与えたもので、結局、同分任支出官の前記支出についての行為は予算執行職員等の責任に関する法律(昭和25年法律第172号)第3条第2項に該当するものであると認めた。

(2) 奈良県民生労働部職業安定課で、同課支出負担行為担当官地方事務官中原某が、昭和26年1月31日から27年12月26日までの間に、自動車借上料等に付掛して支出負担行為をし、支出官を欺いて支出させたうえ現金に換えたものなど合計1,184,697円を別途に経理し、うち1,173,523円を26年1月20日から28年1月12日までの間に諸会議費等に使用した件

 右は、同支出負担行為担当官が、その職分である支出負担行為について会計法第11条の規定に故意に違反して支出等の行為をしたものであるが、うちその事実が27年4月28日前のものに属する874,447円は公務員等の懲戒免除等に関する法律(昭和27年法律第117号)第2条および日本国との平和条約の効力発生に伴う予算執行職員等の弁償責任の減免に開する政令(昭和27年政令第131号)第1条第1項に該当し弁償責任を免除されたものであり、また、同日以後に属するもののうち諸会議の開催に伴い要した経費等計335,353円はいずれも節減の余地はあったものとは認められても、なお業務運営に使用されたものの範囲と考えられないことはないが、少なくとも27年4月29日課員の観劇等慰安のため使用した37,005円および12月20日課内忘年会に使用した11,893円計48,898円は国の経費として認容することができるものではなく、ために国に前記損害を与えたもので、結局、同支出負担行為担当官の前記支出負担行為は、予算執行職員等の責任に関する法律第3条第2項に該当するものであると認めた。