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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第6 厚生省

(国立病院特別会計)


(国立病院特別会計)

 国立病院特別会計の昭和28年度損益計算書によれば、収益において料金収入等69億8千6百余万円、費用において病院経営費等66億3千余万円で、差引3億5千6百余万円の利益を示していることとなる。

 右の収益中には、病院経営上の収入不足等の補てんまたは施設整備の目的で一般会計から繰り入れたもので、病院自体のか働による収益でないものなど19億7千8百余万円が含まれており、また、費用のうちには、結核療養所に転換または地方公共団体に移譲した病院22箇所分の財産の減少で雑損として処理されたものおよび厚生省等で要した病院管理費等14億1千2百余万円が計上されていて、当年度の事業損益として計上するには適当でないものが含まれているので、これを除外し、また、現在国立病院として残置運営されている72箇所分の経営上の収支についてみると収益50億8百余万円、費用52億1千8百余万円で2億9百余万円の欠損となるものである。

 右のように経営上欠損となっている原因を前記72箇所のうち欠損となっている50箇所について検討すると、在籍医師数に相応しただけの患者がないなどのため、人件費がかさんでいたり、一部の患者について診療料金を減免したりしていることなどによるものと認められる。

 このような欠損の原因に対しては、たとえ国立病院が旧陸海軍病院の引継を受けたもので、立地条件および経営規模等においてかんばしくない事情があり、また、管理面に特に人手を要する点において他の病院と条件を異にするものであるとしても、この会計が病院経営の合理化を目的として設けられた主旨にかんがみ適切な対策を講ずる要がある。