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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 工事

直轄工事の施行にあたり処置当を得ないもの


(932)−(945)  直轄工事の施行にあたり処置当を得ないもの

(組織)農林本省 (項)土地改良事業費 ほか1科目

 仙台農地事務局ほか6箇所で施行した農業水利、開拓、干拓各事業のうち、工事の施行が粗漏なものまたは工事の出来高が不足しているものがあるのに、現場監督ならびに検収不十分なため設計どおり完成したものとして経理し工事費の全額を請負人に支払ったものが左のとおり14件22,461,867円ある。

(1) 工事の施行が粗漏なため手直しを要するもの

庁名 工事 請負人 着工年月
完成年月
工事費 手直し所要額
年月
(932) 仙台農地事務局 阿武隈川上流農業水利事業第30号 株式会社間組仙台支店 29,1
〃,3
4,130,000 1,548,425
土えん堤延長220メートルの捨石張1,461平米は基礎砕石平米当り0.2立米総量292立米を施行したこととしているが、実際は風化性の安山岩を使用したため風化して土砂状となり全く原形をとどめていない。また、捨石張の築石は長径30センチメートル以上、短径40センチメートル以下の玉石を使用したこととしているが、実際はうち約1割は著しく大きなものを使用しており、まだたん水もしていない現在既にその一部に空げきを生じている。
 
(933) 東京〃 三方原開拓建設事業第三号幹線排水路 三井建設株式会社 28,6
〃,10
3,530,000 934,000
橋りょう6箇所、落差工2箇所等を施行するにあたり、橋りょうの橋台2箇所は配合比1:3:6のコンクリート10立米、4箇所は玉石コンクリート28立米を施行したこととしているが、実際はいずれも玉石を多量に混入したため強度の弱い粗悪なものとなっており、また、落差工の練積石垣173平米は胴込コンクリート平米当り0.14立米総量24立米を施行したこととしているが、実際は0.03立米総量5立米を施行したにすぎない。
なお、床張は配合比1:3:6のコンクリートで厚さ20センチメートルから30センチメートル総量11立米を施行したこととしているが、実際は強度の弱い粗悪なものを厚さ8センチメートルから12センチメートル総量4立米を 施行したにすぎないなど工事の施行が著しく粗漏である。
 
(934) 金沢農地事務局 信濃川左岸農業水利事業第4号幹線片具明渠第1区 北陸工業株式会社 28,11
29,3
7,990,000 1,110,000
水路延長345メートルの練積石垣1,044平米は平米当り野づら石を36個使いとし、胴込コンクリート0.12立米総量125立米、裏込ぐり石0.15立米総量156立米を施行したこととしているが、実際は野づら石は控をつらに使用しているため28個使いとなり、また、胴込および裏込をほとんど施行していないため石が容易に取りはずせる状況である。
 
(935) 京都農地事務局
名古屋建設事務所
矢作川農業水利事業第2回周廻道路ほか1 西松建設株式会社関西支店 28,6
29,2
14,871,000 770,000
道路延長1,310メートルの練積石垣231平米は平米当り胴込コンクリート0.2立米総量46立米、裏込ぐり石0.3立米総量69立米を施行したこととしているが、実際は胴込コンクリートは半量程度を施行したにすぎず、裏込ぐり石は著しく風化した硬度の弱いものを使用しているため石垣の表面ははなはだしく不陸となり縦横に多数のき裂を生じている。
 
30,521,000 4,362,425

(2) 工事の出来高が不足し過払の結果をきたしたもの

庁名 工事 請負人 着工年月
完成年月
工事費 出来高不足額
年月
(936) 仙台農地事務局 白河矢吹開拓建設事業地区内導水幹線水路第4工区開渠舗装ほか3 高橋工業株式会社ほか3会社 28,5
〃,12
16,256,000 1,536,000
開きょ延長1,657メートルのコンクリート舗装および橋りょう等を施行したもので、三面張コンクリート舗装は側壁を上幅18センチメートル、下幅26センチメートルまたは27センチメートル、底厚を27センチメートルで総量2,460立米施行したこととしているが、実際は側壁は上幅18センチメートル、下幅16センチメートル程度であり、また、底厚も延長372メートルの間は24センチメートルで施行したにすぎず、総量において348立米が不足している。なお、水路橋14基の橋台46立米は配合比1:3:6のコンクリートまたは玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際はいずれも容易に崩壊する粗悪なもので施行したためこれが手直しに352,960円を要する状況である。
 
(937) 山王海農業水利事業第3次幹線水路 鹿島建設株式会社仙台支店 28,4
〃,7
41,000,000 1,146,900
延長9,062メートルの水路に施行した落差工、分水工等の張石は総量4,876平米のうち3,003平米を控35センチメートルの割石平米当り15個使いで45,054個、1,873平米を控25センチメートルの割石20個使いで37,470個施行したこととしているが、実際は割石の控をつらに使用しているなどのため前者は13.5個使いで40,549個、後者は18個使いで33,723個を施行したにすぎず、また、裏込ぐり石は881立米を施行したこととしているが、実際は638立米を施行したにすぎず243立米が不足している。
 
(938) 東京農地事務局 三方原開拓建設事業第2号幹線用水路 株式会社勝呂組ほか1会社 28,6
29,3
20,380,000 1,130,000
開きょ延長2,462メートルの側壁のうち玉石コンクリートで施行した1,889メートルは975立米を玉石4、コンクリート8の配合で施行したこととしているが、実際は逆に玉石をコンクリートの倍量程度とした粗悪なもので施行している。
 
958,000
(939) 金沢〃 阿賀野川農業水利事業阿賀用水路改良 株式会社福田組 28,12
29,3
12,770,000 うち官給材料
 322,000円
水路延長1,432メートルの練積石垣2,800平米は平米当り胴込コンクリート0.1立米または0.15立米総量379立米、裏込砂利0.15立米または0.2立米総量519立米を施行したこととしているが、実際は胴込コンクリートは半量程度を施行したにすぎず、裏込砂利はほとんど施行していない。また、水路の掘さくは6,634立米を施行したこととしているが、実際は6,118立米を施行したにすぎず515立米が不足している。
 
(940) 京都〃 十津川、紀の川農業水利事業津風呂輸送道路第2期ほか1 株式会社森組 28,8
29,2
25,230,000 1,554,487
道路延長1,403メートルの練積石垣2,895平米は平米当り裏込コンクリート0.3立米総量868立米、裏込ぐり石0.3立米総量868立米、目地モルタル0.02立米総量57立米を施行したこととしているが、実際は裏込ぐり石は全く施行せず、裏込コンクリートおよび目地モルタルはいずれも3分の1程度を施行したにすぎない。
 
(941) 岡山農地事務局 児島湾沿岸農業水利事業巳堤1号ほか14 児島湾干拓農業協同組合ほか5会社 28,4
〃,11
22,162,000 3,049,920
堤とう延長1,558メートルの捨石42,358立米は第一種規格(5割が50キログラムから70キログラム)のもの25,416立米、第二種規格(2割が同右)のもの16,942立米を施行したこととしているが、実際はすべて第二種規格のもので施行している。
 
(942) 高梁川干拓建設事業堤51号ほか7 株式会社吉田組ほか1会社 28,4
29,3
48,450,000 4,028,534
堤とう延長6,084メートルの表練積石垣6,197平米は控45センチメートルの間知石74,372個、裏から積石垣6,333平米は控45センチメートルの割石76,002個で施行したこととしているが、実際はいずれも割石を使用し、かつ、控をつらに使用しているなどのため表石垣は63,557個、裏石垣は64,993個を施行したにすぎず、また、中詰ぐり石7,338立米は径15センチメートルのもので施行したこととしているが、実際は規格外のものが半量程度混入している。
 
(943) 熊本農地事務局 金剛干拓建設事業堤塘並びに水路 清水建設株式会社九州支店 28,10
29,3
35,119,000 2,172,577
水路延長1,403メートルの掘さく土68,420立米のうち9,303立米は左岸水路の付属道路のかさ上げに、また、47,605立米は右岸堤とう法尻にそれぞれ盛土し、いずれも整形工事を施行したこととしているが、実際は堤とう法尻に盛土すべき土量のうち10,000立米を反対側の道路上に捨土したばりでなく56,073立米の整形工事を全く施行していない。
 
(944) 高鍋川南開拓建設事業青鹿溜池 株式会社大林組福岡支店 28,9
29,3
19,540,000 943,627
えん堤延長130メートルの床掘は転石混り土砂1,114立米、軟岩1,488立米、硬岩2,349立米を施行したこととしているが、実際は転石混り土砂578立米、軟岩896立米、硬岩2,246立米を施行したにすぎず転石混り土砂536立米、軟岩592立米、硬岩103立米が不足している。なお、岩石の掘さくに使用する火薬類は硬岩および軟岩等の標準歩掛りを採用し、ダイナマイト2,116キログラム、雷管27,659個、導火線19,744メートルとして1,106,251円を見積っているが、現地の地盤は縦横にき裂のはいった岩石であったため実績はその約5分の1のダイナマイト435キログラム、雷管3,680個、導火線2,340メートルその代金191,278円を使用したにすぎない。
 
87,010,000
(945) 嘉瀬川農業水利事業堰堤コンクリート打設ほか4 大成建設株式会社福岡支店 28,1
29,3
うち27年度分
 9,384,000
1,579,397
えん堤コンクリート31,595立米は砂利59,165トン、砂17,755トンを使用したこととしているが、実際は砂利56,772トン、砂17,435トンを使用したにすぎず、砂利2,393トン、砂320トンが不足し、これがため水セメント比およびスランプが設計以下の不良のものとなっている。
 
327,917,000 18,099,442
うち27年度分
9,384,000
うち官給材料
322,000円