ページトップ
  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業に対する国庫補助金の経理当を得ないもの


(952)−(1805)  公共事業に対する国庫補助金の経理当を得ないもの

(組織)農林本省 (項)農業施設災害復旧事業費 ほか3科目

(組織)水産庁 (項)漁港施設災害復旧事業費 ほか3科目

(組織)林野庁 (項)山林事業費ほか 3科目

 地方公共団体および農業協同組合等が施行した土地改良、地盤沈下対策、漁港修築、林道開設および災害復旧の工事に対する国庫補助金(漁港災害復旧の国庫負担金を含む。以下同じ。)は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等の根拠法規に基いて各事業主体に交付されたものであるが、本院において全国の工事現場71,843箇所のうち青森県ほか33府県について6%に相当する4,366箇所を実地に検査したところ、設計に対し工事の出来高が不足しているもの、設計が過大なもの、工事の施行が粗漏で補助の目的を達していないもの、災害復旧とは認められない改良工事を施行しているもの、他の工事と重複して査定されているものなどが多く、国庫補助金を除外すべきことの判明したものが、青森県ほか33府県において、除外すべき額1工事10万円以上のものをあげると1,907工事589,747,756円に上っている。これを事項別に分類して示すと次表のとおりであるが、以上の結果から考察すると、この種不当工事は全国では相当多数に上るものと認められる。

類別
府県名
架空、二重査定、改良その他補助の対象としてはならない工事 工事の施行が粗漏で目的を達していないもの 工事の出来高が不足しているもの 工事の設計が過大なもの 事業主体が正当な自己負担をしていないもの
類別
府県名
工事の施行が粗漏なもの 工事の出来高が不足しているもの 工事の設計が過大なもの 小計
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額

青森県



2

1,004,284

2

533,000



56

13,662,597

10

2,445,575

66

16,108,172

70

17,645,456

青森県
岩手〃



10 1,548,545



41 7,830,769 1 157,950 42 7,988,719 52 9,537,264 岩手〃
秋田〃



2 712,300

1 1,365,000 94 29,346,297 25 5,579,743 120 36,291,040 122 37,003,340 秋田〃
福島〃 1 487,500

14 6,158,698



100 23,983,994 13 3,495,160 113 27,479,154 128 34,125,352 福島〃
新潟〃



5 2,566,318



30 8,530,296 9 1,952,851 39 10,483,147 44 13,049,465 新潟〃
富山〃



6 1,114,054



20 3,300,330

20 3,300,330 26 4,414,384 富山〃
石川〃



2 583,219



46 10,350,068 11 3,228,264 57 13,578,332 59 14,161,551 石川〃
福井〃



2 345,003



14 2,714,682 1 204,100 15 2,918,782 17 3,263,785 福井〃
山梨〃









2 573,438

2 573,438 2 573,438 山梨〃
長野〃



7 1,365,700



61 14,185,344 11 2,368,925 72 16,554,269 79 17,919,969 長野〃
岐阜〃



3 1,125,161



8 4,133,597

8 4,133,597 11 5,258,758 岐阜〃
静岡〃 1 1,087,450

11 3,122,617



36 8,577,391 14 4,030,675 50 12,608,066 62 16,818,133 静岡〃
愛知〃 2 360,500

4 975,150



19 7,608,760 9 5,808,100 28 13,416,860 34 14,752,510 愛知〃
三重〃 1 384,300

1 200,200



37 10,034,965 25 10,518,175 62 20,553,140 64 21,137,640 三重〃
滋賀〃









6 1,218,035 4 799,750 10 2,017,785 10 2,017,785 滋賀〃
京都府



1 270,000



63 14,894,409 24 9,996,630 87 24,891,039 88 25,161,039 京都府
大阪〃









13 4,888,986 22 37,111,734 35 42,000,720 35 42,000,720 大阪〃
兵庫県



1 104,674



6 1,201,850 3 979,550 9 2,181,400 10 2,286,074 兵庫県
奈良〃



1 265,877



6 1,056,720

6 1,056,720 7 1,322,597 奈良〃
和歌山〃



10 7,567,650

3 3,718,056 45 16,456,426 12 4,083,659 60 24,258,141 70 31,825,791 和歌山〃
島根〃 2 897,000 1 418,600 2 287,700 1 115,318 4 1,882,044 32 5,937,410 8 2,428,502 44 10,247,956 50 11,966,574 島根〃
広島〃 1 106,600 4 1,720,667 15 4,818,534

9 3,311,677 35 7,066,485 1 179,976 45 10,558,138 65 17,203,939 広島〃
山口〃



62 17,725,841 4 760,990 2 1,621,750 63 24,568,906 49 19,139,956 114 45,330,612 180 63,817,443 山口〃
徳島〃 2 2,173,600

10 2,842,778 1 359,450

57 11,297,293 19 11,624,212 76 22,921,505 89 28,297,333 徳島〃
香川〃







1 549,200 30 5,994,050 9 1,805,000 40 8,348,250 40 8,348,250 香川〃
愛媛〃



2 1,057,930

2 789,750 60 18,157,025 11 4,810,450 73 23,757,225 75 24,815,155 愛媛〃
高知〃 2 354,250 2 1,986,890 11 2,599,626

3 1,026,147 55 12,612,286 15 4,066,491 73 17,704,924 88 22,645,690 高知〃
福岡〃 1 244,773 1 833,950 10 2,586,785



35 10,770,238 9 1,999,479 44 12,769,717 56 16,435,225 福岡〃
佐賀〃 1 237,250

5 996,574



34 12,142,467 6 1,553,147 40 13,695,614 46 14,929,438 佐賀〃
長崎〃



6 1,575,007



24 5,800,147 10 3,624,194 34 9,424,341 40 10,999,348 長崎〃
熊本〃



6 1,786,550 1 233,000 1 618,800 50 13,854,850 17 12,721,000 68 27,194,650 75 29,214,200 熊本〃
大分〃



7 1,271,990

1 1,072,800 27 5,994,937 6 1,284,482 34 8,352,219 41 9,624,209 大分〃
宮崎〃









18 4,068,193 7 1,656,410 25 5,724,603 25 5,724,603 宮崎〃
鹿児島〃



4 434,700



33 7,114,698 10 3,901,900 43 11,016,598 47 11,451,298 鹿児島〃
合計 14 6,333,223 8 4,960,107 222 67,013,465 9 2,001,758 27 15,955,224 1,256 329,927,939 371 163,556,040 1,654 509,439,203 1,907 589,747,756 合計

 この種不当工事については、既に昭和26、27年度決算検査報告において多数指摘したところであるが、従来、地元負担金の軽減を図るため査定工事費よりも少額で工事を完成した事実が多数あることが認められたので、本年度においても、設計過大、出来高不足等の不当な結果を招いた原因をよく調査し、工事費の経理の面からも裏付けることに配慮した結果、右1,907工事のうち86.7%に相当する1,654工事509,439,203円については、いずれもその表面上の経理は査定どおりの工事費を使用したこととしているが、実際のしゅん功額は国庫補助の対象となった工事費を下回り事業主体は正当な自己負担をせず、そのうちには国庫補助金以下で工事を完成し剰余を生じたこととなっているものが相当あることが明らかとなった。このように実際の工事費が不当に少額となっているため工事が著しく粗漏なものが多く、そのうちには再度被災のおそれがあると認められるものあるいは完成後間もないのに再び被災したものも相当に見受けられている。

 特に28年発生災害復旧のうち6月から9月までに発生したものについては、暫定措置により国庫補助金は9割の高率が適用されることとなったので、これにより事業主体の負担を軽減する処置が講ぜられたにもかかわらず、前記のようになお事業主体が正当な自己負担をせずかえって国庫補助金に相当の剰余を生じたこととなっているものがあり、また、工事施行の面においても粗雑となっているものが多数見受けられているのはまことに遺憾である。

 しかして、検査の結果明らかになった不当工事のうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のもの854件462,007,644円を農業施設、漁港施設および山林施設に分けてあげれば別表第3のとおりであるが、このように多数発見される不当工事の発生原因およびその防止対策については、既に昭和27年度決算検査報告に掲記したとおりで、原因としては、工事費査定上および監督検収上の欠陥に事業主体が正当な自己負担を忌避する事実が相伴っていると認められ、防止対策として、支出負担行為制度の整備、机上査定の減少、高率補助の活用と事業主体負担分の適時融資、改良費補助の増額、小事業主体工事の合併施行、適正な実施設計の作成、不誠実な事業主体および請負人に対する補助取消または指名停止、工事監督機能の充実等が考慮されるのであるが、机上査定が多いことなどに関連し、査定の内容を早期に是正して不当工事の発生を防止するため、別項記載(参照) のとおり本院において28年発生災害に対し従来どおりの事後検査にあわせ早期に調査を行なったところ、二重査定、災害便乗、設計過大等の事態となっているものが多数に発見され、農林省において本院の注意により是正したものが工事費において87億円をこえる状況である。

 以上のとおり、26、27両年度既に厳重な注意を促しておいたにもかかわらず、一部の府県において幾分改善の跡が見られるにとどまり大部分についてはその是正改善が遅々として進まず、なかには27年度検査において指摘を受けていながらその後着工した新規工事についても再び同様の事態を繰り返している事業主体さえあることは、事業施行者の間に根強く食い込んだ悪弊を早急に是正することの困難な事情もあり、悪性なものについては補助取消の処置を講ずるなど強力な施策を立てる必要があるものとも認められる。

(1) 農業施設

(952)−(1602) 農業施設について地方公共団体、農業協同組合および土地改良区等が施行する土地改良、地盤沈下対策、災害復旧工事等に対する本院の実地検査は、全国都道府県の工事現場64,846箇所のうち青森県ほか30府県の4.8%に相当する3,159箇所その工事費5,864,436,488円(国庫補助金3,937,569,141円)について実施したが、その結果は、護岸工事における面積、胴込量、裏込量が設計に比べ不足していたり、頭首工工事におけるコンクリートの配合比あるいはその打設量が設計と相違していたり、農地復旧工事における排土量、客土量およびその運搬距離が設計と相違していたり、または石材、コンクリート用骨材の採取場所が設計に比べて近距離となっているものがあったほか、工事の手抜きが大きく完成後間もないのに破壊していて補助の目的を達していないものなどがあったため、国庫補助金を除外すべき額1工事10万円以上のものが検査済工事数の47.6%に相当する1,506箇所に上り、その額469,671,390円に達した。

 しかも、そのうちには、事業主体において工事費の経理に関し事実に合致しない書類を作成して正当な自己負担を免かれていることの判明したものが、右のうち91.3%に相当する1,375箇所429,372,641円の多額に上っており、昨年度までに既に検査において指摘したにもかかわらずその後着工した新規工事についても再び同様のことを繰り返した事業主体さえあり、ことに、補助額が高率となった28年発生災害復旧についても344箇所を検査したところ、いまだに正当な自己負担をしないで工事を施行していたものが32.8%に相当する113箇所45,505,243円に上った状況である。

 いま、農業施設関係の不当工事のうち、国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第3(1)のとおり651件367,424,956円で、そのうち代表的な事例を説明すると次のとおりである。

〔1〕 青森県上北郡三本木町で受益者の共同施行により1,250,000円(国庫補助金812,500円)をもって施行した元村水路災害復旧は、水路404メートルを復旧するもので、配合比1:3:6の三面張コンクリートおよび練積石垣を施行したこととしているが、実際はコンクリートの配合が著しく粗悪であり、また、練積石垣の胴込コンクリートは全く施行せず工事費は国庫補助金を下回る420,000円で足り、事業主体はその負担したとしている312,500円を全く負担していないばかりでなく392,500円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、事業主体負担不足

〔2〕 秋田県北秋田郡前田村で受益者の共同施行により2,100,000円(国庫補助金1,365,000円)をもって施行した新屋敷溜池災害復旧は、堤とう64メートルの外法長18メートルにわたりさや土およびはがね土を施行したこととしているが、実際は外法長14メートルにさや土だけを施行したにとどまり、はがね土は全く施行せず、工事の施行が著しく粗漏で、27年8月完成したがその後も貯水することができない状況で工事の目的を達していない。なお、工事は国庫補助金を下回る1,300,000円で施行しており、事業主体はその負担したとしている735,000円を全く負担していないばかりでなく65,000円の剰余を生ずることとなっている。(粗漏工事、事業主体負担不足

〔3〕 福島県南会津郡大宮村が950,000円(国庫補助金617,500円)で施行した沖の原水路災害復旧は、水路740メートルを復旧したこととしているが、実際はそのうち454メートルの間は被災の事実がなく工事も施行していない。また、工事を施行した286メートルの練積石垣は胴込コンクリートおよび裏込ぐり石を全く施行せず、結局、工事費は国庫補助金を下回る200,000円で足り、同村はその負担したとしている332,500円を全く負担していないばかりでなく417,500円の剰余を生じ、これを村の一般経費に使用している。(架空工事、出来高不足、事業主体負担不足

〔4〕 飯田市が2,612,000円(国庫補助金2,350,800円)で施行した大ナギ水路28年災害復旧は、9割の高率国庫補助によりずい道延長120メートルの巻立コンクリートを1:2:4の配合比をもって総量78立米施行したこととしているが、実際は著しく配合が粗悪であるばかりでなく、一部は玉石コンクリートを使用しその出来高もわずか31立米を施行したにすぎず、また、付帯護岸の胴込コンクリートは設計の5分の1程度、裏込れきも半量程度を施行したにすぎず741,000円が出来高不足となっている。なお、市はその負担したとしている261,200円を全く負担しないで国庫補助金と同額で請負に付し、右のように著しい出来高不足をきたしているもので、以下に掲記する他の28年発生災害復旧と同じく高率国庫補助となった効果が発揮されていない。(出来高不足、事業主体負担不足

〔5〕 静岡県庵原郡興津町農業協同組合が1,850,000円(国庫補助金1,665,000円)で施行した薩水路28年災害復旧は、水路156メートルを練積石垣をもって復旧するものであるが、工事の手抜きがはなはだしく、胴込コンクリートは設計の2割以下、裏込れきは6割程度を施行したにすぎず、工事費は国庫補助金を下回る1,302,500円で足り、事業主体はその負担したとしている185,000円を全く負担していないばかりでなく362,500円の剰余を生ずることとなっている。
 なお、同組合は、前年度本院会計実地検査の際にも正当な自己負担をしないで工事が粗漏となっていたものがあり厳重注意したところであるが、その後28年発生災害の復旧にあたっても9割の高率国庫補助工事であるにかかわらず依然右のような事態を繰り返している。(出来高不足、事業主体負担不足

〔6〕 名張市が427,000円(国庫補助金384,300円)で施行した平尾水路28年災害復旧は、同年9月被災した水路護岸延長60メートルを9割の高率国庫補助により復旧しているが、右は26年災害復旧事業として査定された高岩堤塘災害復旧工事、工事費890,000円の堤とう210メートルのうち未施行箇所120メートルの一部と同一箇所であって、二重に査定を受けたものである。(二重査定

〔7〕 京都府南桑田郡篠村が3,927,000円(国庫補助金3,416,490円)で施行した柿ヶ谷下溜池災害復旧は、ため池の埋没土をしゅんせつするもので立米当り230円を要したこととしているが、実際は161円で施行することができたため工事費は国庫補助金を下回る3,180,870円で足り、同村はその負担したとしている510,510円を全く負担していないばかりでなく235,620円の剰余を生ずることとなっている。
 右のほか、同村が施行した農業施設災害復旧27工事31,230,000円(国庫補助金27,170,100円)においても、工事の出来高が不足していたり、設計が過大となっているものが5,933,700円(国庫補助金5,162,308円)あるため、同村はその負担したとしている4,059,900円を全く負担していないばかりでなく1,873,800円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、設計過大、事業主体負担不足

〔8〕 富田林市北大伴農業協同組合が6,500,000円(国庫補助金4,225,000円)で施行した牛神井堰災害復旧は、井ぜき94メートルを復旧するもので、水たたきは厚さ45センチメートルから60センチメートルの玉石コンクリートを施行したこととしているが、実際は厚さを2分の1程度に施行したにすぎず、また、えん体および水たたきの玉石コンクリートに使用した砂利、砂および玉石はいずれも1キロメートル運搬したこととしているが、実際は現場付近で採取したものを使用しており、結局、工事費は4,927,500円で足り、事業主体はその負担したとしている1,625,000円のうち1,572,500円を負担していない。
 右のほか、同組合ほか4事業主体が施行した水路、ため池および井ぜき災害復旧6工事10,195,000円(国庫補助金6,626,750円)においても、工事の出来高が不足していたり、設計が過大となっているものが2,427,990円あるため、右事業主体はその負担したとしている2,548,750円のうち2,427,990円を負担していない。(出来高不足、設計過大、事業主体負担不足

〔9〕 田辺市(旧和歌山県西牟婁郡新庄村)が4,390,000円(国庫補助金3,643,700円)で施行した黒崎農道災害復旧は、農道471メートルの練積石垣を施行したものであるが、実際は設計に対し胴込コンクリートは3分の1、裏込ぐり石は半量程度を施行したにすぎず裏込コンクリートは全く施行せず、工事費は国庫補助金を下回る3,163,000円で足り、同市はその負担したとしている746,300円を全く負担していないばかりでなく480,700円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、事業主体負担不足

〔10〕 和歌山県海草郡上神野村が2,046,000円(国庫補助金1,841,400円)で施行した赤木頭首工災害復旧は、28年7月の災害により被災した井ぜき2箇所を復旧するもので、第1号井ぜきのえん体および水たたきはすべて玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際はえん体の中詰にぐり石および土砂を使用し、配合の著しく粗悪なコンクリートで厚さ15センチメートルに被覆したにすぎず、水たたきも同様なコンクリートで厚さを設計の4分の1,10センチメートル施行したにすぎない。また、第2号井ぜきは玉石コンクリートを中詰とし、表面に練石張を施行したこととしているが、実際はぐり石を中詰としているほか練石張の胴込コンクリートは目地程度しか施行していないため既に基礎部分は崩壊している状況で、工事が著しく粗漏である。なお、工事は1,636,000円で施行しており、同村はその負担したとしている204,600円を全く負担していないばかりでなく205,400円の剰余を生ずることとなっている。(粗漏工事、事業主体負担不足

〔11〕 山口県佐波郡出雲村が工事費総額37,961,000円(国庫補助金33,405,680円)で施行した小古祖水路26年災害復旧ほか6工事は、水路、堤とう、頭首工および農道を復旧するもので、いずれも設計どおり完成したこととしているが、実際はそのほとんど全部コンクリートの施行量に不足が生じていたり、純コンクリートで施行されるはずのものが玉石コンクリートで施行されているほか、コンクリートおよび石垣の材料等の運搬距離が過大になっているため工事費は国庫補助金を下回る31,268,000円で足りている。

 同村の26年災害復旧の査定額は、農地37工事222,536,000円(国庫補助率77%)、農業施設518工事506,216,000円(同88%)計555工事総額728,752,000円(国庫補助金616,822,800円)の多額に上っていて、既に28年度までに事業費399,177,000円に対し国庫補助金302,292,810円が交付済となっているが、右と同様に設計過大、出来高不足が多く、また、地元負担額がその負担力をはるかにこえると認められる1億1千1百余万円の多額に上る関係もあり、各年度すべて地元負担金を全く徴収することなく工事を施行しているばかりでなく、そのほとんどが国庫補助金を下回って完成しているため国庫補助金に剰余を生じ、当局者の計算によるも26年度以降の国庫補助金のうち14,411,985円(29年5月20日現在)が収入役名義で別途資金として保留されている。しかして、同村に対しては、右のほか、29年度において28年度事業費に対する高率補助分14,824,800円が追加交付される予定であるため保留金は29,236,785円の多額となるばかりでなく、27年度において地元負担金に充てるため貸し付けた大蔵省資金運用部長期債10,000,000円および農林漁業資金23,930,000円は、その目的どおりに使用されていない。

 また、同村に隣接する同郡八坂村においても、26年災害復旧の査定は農地32工事95,072,000円(国庫補助率76%)、農業施設169工事401,537,000円(同87%)、計201工事総額496,609,000円(国庫補助金421,591,910円、地元負担額75,017,090円)の多額に上っていて、既に28年度までに事業費190,058,000円に対し国庫補助金136,553,630円が交付済となっているが、出雲村と同様26年度以降の国庫補助金のうち7,447,868円(29年5月22日現在)が別途資金として土地改良区に保留されており、また、地元負担金に充てるため農林漁業資金から貸し付けた17,670,000円もその目的どおりに使用されていない。(出来高不足、設計過大、事業主体負担不足

〔12〕 徳島県阿波郡柿島村が2,643,000円(国庫補助金1,717,950円)で施行した柿原排水路災害復旧は、水路896メートルを復旧するものであるが、右水路は原形が素掘または野づら石積の構造でしかも被災の事実が認められないのに玉石コンクリート水路に改良するもので、本院会計実地検査当時延長412メートルについて床掘を施行していたものである。(改良その他補助の対象としてはならない工事

〔13〕 愛媛県越智郡波方村で受益者の共同施行により772,000円(国庫補助金501,800円)をもって施行した野間手水路災害復旧は、水路140メートルの練積石垣342平米を施行したものであるが、胴込コンクリートおよび裏込ぐり石を全く施行せず工事の施行が粗漏で再度被災のおそれがあり、災害復旧の目的が達せられていない。なお、工事は501,800円で施行しており、事業主体はその負担したとしている270,200円を全く負担していない。(粗漏工事、事業主体負担不足

〔14〕 高知県安芸郡伊尾木村土地改良区が2,900,000円(国庫補助金2,610,000円)で施行した有井堰28年災害復旧は、井ぜき60メートルを復旧するもので、えん体および木工沈床上部の練石張に使用する野づら石は8キロメートルの地点から運搬し、また、木工沈床3組は1組当り190,484円で施行したこととしているが、実際は野づら石は600メートルの地点から運搬し、また、木工沈床は1組当り97,621円で施行することができたため工事費は国庫補助金を下回る1,693,447円で足り、事業主体はその負担したとしている290,000円を全く負担していないばかりでなく916,553円の剰余を生ずることとなっている。(設計過大、事業主体負担不足

〔15〕 福岡県浮羽郡船越村が1,030,000円(国庫補助金927,000円)で施行した八反田農道28年災害復旧は、農道163メートルの練積側壁を施行したものであるが、設計に比べ胴込コンクリートを4分の1、裏込ぐり石を6割程度しか施行せず、工事費は国庫補助金を下回る692,000円で足り、同村はその負担したとしている103,000円を全く負担していないばかりでなく235,000円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、事業主体負担不足

〔16〕 熊本市が6,921,000円(国庫補助金6,228,900円)で施行した平田地区農地28年災害復旧は、農地12町3反の排土13,654立米を立米当り133円から484円で施行したこととしているが、実際は9町8反の排土9,967立米を立米当り92円から206円で施行することができたため工事費は国庫補助金を下回る3,502,000円で足り、同市はその負担したとしている692,100円を全く負担していないばかりでなく2,726,900円の剰余を生じたこととなっている。
 右のほか、同市が施行した農地災害復旧4工事9,332,000円(国庫補助金8,398,800円)においても、設計が過大となっているものが4,202,000円(国庫補助金3,781,800円)あるため、同市はその負担したとしている933,200円を全く負担していないばかりでなく3,268,800円の剰余を生ずることとなっている。(設計過大、事業主体負担不足

〔17〕 大分県玖珠郡森町が1,192,000円(国庫補助金1,072,800円)で施行した川底頭首工28年災害復旧は、井ぜき23メートルを復旧するもので、えん体は玉石コンクリート、水たたきは配合比1:3:6のコンクリートで施行したこととしているが、実際はいずれも配合が粗悪であるばかりでなく、水たたきは設計の半量程度を施行したにすぎず29年8月水たたきの大部分が崩壊している。なお、工事は国庫補助金を下回る796,000円で施行しており、同町はその負担したとしている119,200円を全く負担していないばかりでなく276,800円の剰余を生じ、町の一般経費に使用している。(粗漏工事、事業主体負担不足

〔18〕 鹿児島県曽於郡大崎町が16,122,000円(国庫補助金14,509,800円)で施行した西井俣ほか6農地28年災害復旧は、農地62町3反の排土および客土201,298立米を施行したこととしているが、実際は排土120,049立米を施行しただけで工事費は国庫補助金を下回る12,343,000円で足り、同町はその負担したとしている1,612,200円を全く負担していないばかりでなく2,166,800円の剰余を生ずることとなっている。(設計過大、事業主体負担不足

(2) 漁港施設

(1603)−(1666) 漁港施設について地方公共団体および漁業協同組合等が施行する災害復旧工事等に対する本院の実地検査は、北海道ほか38都府県の工事現場2,026箇所のうち12.2%に相当する248箇所その工事費639,612,663円(国庫補助金527,617,849円)について実施したが、その結果は、農業施設と同様に防波堤の中詰石および捨石の規格ならびにコンクリートの打設量が設計と相違していたり、在石の使用可能量を過小に積算していたり、捨石等の単価、数量を過大に見積ったり、またはその施行が全面的に粗漏で補助の目的を達していないものなどがあったため、国庫補助金を除外すべき額1工事10万円以上のものが検査済工事数の39.5%に相当する98箇所に上り、その額37,084,814円に達した。しかも、農業施設と同様に、事業主体が正当な自己負担を免かれていることの判明したものが、右のうち73.4%に相当する72箇所29,749,227円の多額に上っている。
 いま、漁港施設関係の不当工事のうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第3(2)のとおり64件33,159,881円で、そのうち代表的な事例を説明すると次のとおりである。

〔1〕 山口県大津郡宇津賀村が2,847,000円(国庫負担金2,713,000円)で施行した立石漁港災害復旧は、船揚場1,206平米を練石張により復旧するもので、張石に控36センチメートルの粗石を使用したこととしているが、実際は控25センチメートルの野づら石を使用し、胴込コンクリートは設計の6割程度を施行したにすぎず、また、中詰石は30キログラムのものを使用して施行したこととしているが、実際は現場付近で採取したれきを使用しており1,340,000円が出来高不足となっている。なお、工事は国庫負担金を下回る2,550,000円で施行しており、同村はその負担したとしている134,000円を全く負担していないばかりでなく163,000円の剰余を生じたこととなっている。(出来高不足、事業主体負担不足

〔2〕 愛媛県西宇和郡伊方村が4,340,000円(国庫負担金3,845,240円)で施行した川永田漁港災害復旧は、防波堤38メートルの復旧を行なったものであるが、表面捨石および中詰捨石の出来高が設計より著しく不足し、捨石ならしは全く施行せず、工事費は国庫負担金を下回る2,864,000円で足り、同村はその負担したとしている494,760円を全く負担していないばかりでなく981,240円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、事業主体負担不足

〔3〕 長崎県南高来郡小浜町が6,400,000円(国庫負担金4,268,800円)で施行した木津漁港災害復旧は、防波堤77メートルを復旧するもので、崩壊した旧防波堤の石材をすべて潜水夫と二又船により撤去してこれを練石積の築石および中詰ぐり石に転用したこととしているが、設計上練石積および中詰ぐり石の単価にこれを採取する経費が積算されていたため崩壊石撤去の経費はその必要がなかったものであり、そのほか、練石積の約2分の1について胴込コンクリートが出来高不足となっており工事費は4,675,000円で足り、同町はその負担したとしている2,131,200円のうち1,725,000円を負担していない。(設計過大、出来高不足、事業主体負担不足

(3) 山林施設

(1667)−(1805) 山林施設について、地方公共団体および森林組合が施行する林道開設および災害復旧工事に対する本院の実地検査は、全国都道府県の工事現場4,971箇所のうち19%に相当する959箇所その工事費2,136,056,321円(国庫補助金1,207,239,638円)について実施したが、その結果は、林道工事において、硬岩、軟岩、土砂の切盛土量、石垣の面積、胴込、裏込が設計に比べて著しく不足していたり、練積石垣をから積で施行したり、または骨材の採取場所を実際に比べて遠距離に見込んでいるなどのため国庫補助金を除外すべき額1工事10万円以上のものが検査済工事数の31.5%に相当する303箇所に上り、その額82,991,552円に達した。

 しかも、農業施設および漁港施設と同様に、事業主体において工事費の経理に関し事実に合致しない書類を作成して正当な自己負担を免かれていることの判明したものが、右のうち68.3%に相当する207箇所50,317,335円の多額に上っており、既に昨年度検査において指摘したにもかかわらずその後着工した新規工事についても再び同様のことを繰り返した事業主体さえあり、ことに、補助額が高率となった28年発生災害復旧についてもこのような事例が見受けられる。

 また、都、道、府、県が事業主体となって施行した林道工事は、総工事費の25.9%634工事1,631,908,367円あるが、このうちには事業主体の負担工事費の一部を受益者である町、村、森林組合から徴収して当該受益者に請け負わせまたは委託して施行しているが、受益者は、工事請負人から負担金相当額の寄付をさせたり、請負または委託工事費を下回る額で施行したため工事の出来高が不足しているばかりでなく、結局、受益者である町、村、森林組合で差額相当の負担を免かれた結果となっているものが58工事に上っている。

 なお、林道開設工事においては、その工事費総額の41.4%に相当するものを森林組合が事業主体となって施行しており、これは同組合育成のために執られた処置ではあるが、工事施行能力等を考慮することなくことさらにこれに実施させたと認められるものもあり、技術の指導、現場の監督等が十分でなく出来高不足工事の発生の一因にもなっている。

 いま、山林施設関係(林道および治山)の不当工事のうち、国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第3(3)のとおり139件61,422,807円で、そのうち代表的な事例を説明すると次のとおりである。

〔1〕 秋田県北秋田郡七日市村が6,000,000円(国庫補助金3,600,000円)で施行した奥地開発林道品類線開設工事は、林道2,000メートルの盛土量および土の運搬距離を過大に見込んでいたため工事費は5,300,000円で足り、同村はその負担したとしている1,800,000円のうち700,000円を負担していない。(設計過大、事業主体負担不足

〔2〕 岐阜県大野郡丹生川村森林組合が工事費7,150,000円(国庫補助金4,290,000円)で施行した奥地開発林道木地屋線開設工事は、林道2,581メートルの岩石切取10,209立米、石垣1,025平米を施行したこととしているが、実際は岩石切取7,233立米、石垣308平米を施行したにすぎないため2,474,600円が出来高不足となっている。なお、工事は5,010,000円で施行しており、同組合はその負担したとしている2,145,000円のうち2,140,000円を負担していない。(出来高不足、事業主体負担不足

〔3〕 山口県が3,710,500円(国庫補助金1,855,250円)で施行した林産物搬出林道日提谷線災害復旧は林道692メートルの土石切取629立米、盛土1,888立米、石垣1,584平米を施行したこととしているが、実際は土石切取400立米、盛土1,138立米、石垣1,013平米を施行したにすぎないなどのため1,484,226円が出来高不足となっている。
 しかして、同県は、受益者桑根村森林組合から負担金1,484,200円を徴収して前記金額で同組合に工事を請け負わせているが、同組合は2,085,500円で下請けさせているため事実上1,484,200円の負担金を全く免かれている結果となっている。
 右のほか、同県においては同種の事例が21工事、工事費総額70,528,000円(国庫補助金36,309,680円)あり、受益者はその負担金総額27,379,320円のうち18,627,756円を免かれている。(出来高不足