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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第10 郵政省|
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  • 予算経理

予算の制をみだり給与を支給したもの


(1997) 予算の制をみだり給与を支給したもの

 (項)業務費

 郵政省で、本来昭和28年度予算をもってまかなうべき特殊勤務手当について、予算総則の給与総額についての限度を超過するので、これを29年度予算から支給して表面をつくろったものがある。
 右は、各郵便局、地方貯金局および地方簡易保険局における公共企業体等労働関係法(昭和23年、法律第257号)の適用を受ける職員に対する29年1月1日から3月15日までの特殊勤務手当(貯蓄奨励内務手当、特殊有技者手当、押印作業手当、郵便貯金原簿等索出格納手当)65,508,447円を、29年度予算をもって29年4月から6月までの間に支給している事態であるが、このような28年度内に支給原因を生じていて従来はその年度内に支給していたものを翌年度に繰り延べて支給することにした事情をみると、これは、28年11月全逓信従業員組合との間に締結した協定をもって、従来予算を差し繰り支給していた貢献者手当(定額郵便貯金等の募集成績に貢献した者に対する手当で28年度分は約6000万円)を新たに給与準則中に制度化して支給することに定めたため、28年度予算総則第8条に定められた給与総額49,771,492,000円ではまかなうことができないことが予測されたので、前記特殊勤務手当を逆に29年度に支給を繰り延べることを別途協定したものである。

 しかし、本件特殊勤務手当は、予算制度の立前から当然28年度予算をもってまかなうべきものであって、そうした場合は給与総額の限度49,771,492,000円に対しては60,381,467円を超過し予算の制をみだる事態となるものであり、また、他方、郵政事業特別会計法(昭和24年法律第109号)第41条の2の規定によれば、公共企業体等労働関係法適用職員についての給与準則は、当該給与準則に基き各会計年度において支出する給与の額が当該年度の予算の中で給与の総額として定められた額をこえないようにしなければならないとされているのであるから、貢献者手当の支給については給与総額との関係において調整を要した事態と認められる。