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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第10 郵政省|
  • (郵政事業特別会計)(簡易生命保険及郵便年金特別会計)|
  • 不当事項|
  • 不正行為

職員の不正行為により国に損害を与えたもの


(1999)−(2015) 職員の不正行為により国に損害を与えたもの

 神田ほか48郵便局(注) で、昭和24年6月から29年7月までの間に、関係職員により歳入金、歳出金等をほしいままに領得されたものが、1事項5万円以上のもので50事項25,778,940円(うち29年9月末現在補てんされた額6,048,840円)ある。
 右は、各郵便局において、

(ア) 貯金保険担当の外務員が、積立郵便貯金預入金、定額郵便貯金預入金および簡易生命保険保険料の集金事務に従事中、
 積立郵便貯金預入金または簡易生命保険保険料を積立郵便貯金通帳または保険料領収帳に受領印を押なつして正規に受領しながら、集金票または徴収原簿には取立不能として処理しまたは実際の受領額よりも少額を受入処理したり、
 定額郵便貯金の新規預入申込を受けた際預入者に受領証を交付して預入金を受領しながらまたは積立郵便貯金預入金を預入者から日掛の方法で受領しながら受入手続をしないで全部または一部の現金を出納官吏に引き継がなかったり、
 郵便貯金預入者から積立郵便貯金または定額郵便貯金の払もどしの委託を受けて窓口当務者から払もどし金を受領しながらこれを預入者に交付しなかったり
して領得したもの、

(イ) 窓口事務担当者が、窓口において為替貯金等の現金受払事務に従事中、郵便貯金預入金もしくは簡易生命保険保険料を受領しながら全部もしくは一部を受入処理しないで、または貯金払もどし金受領証を偽造もしくは変造して領得したもの、
 出納官吏の補助者が、現金の出納保管事務に従事中、出納官吏がその事務を補助者に一任し監督を怠っているのを奇貨として資金の一部を領得したもの、

(ウ) 特定郵便局長が、分任繰替払等出納官吏として自ら定額郵便貯金の募集または日締決算をするに際して、
 定額郵便貯金の預入申込書を破棄しもしくはこれを少額に偽造して預入金を、または貯金払もどし金受領証を実際より高額に偽造したりなどして資金を領得したもの
などである。

 これらの不正行為が例年繰り返されて長期間にわたり行われることは、不正行為者が遵法精神に欠けていたことはもちろんであるが、主として

(ア) 監督の任に当る者が部下を過信して一切の事務を任せ、適切な監督を行なっていないこと、

(イ) 積立郵便貯金および簡易生命保険保険料の集金票、徴収原簿(受入票)の現在高について正確に確認されておらず、その授受が不正確であり、保管も厳正を欠いているため不正の持出しが行われても早期に発見することができないこと

によるものと認められる。

 前記50事項のうち1事項50万円以上のものをあげると左のとおり17件18,374,202円(うち29年9月末現在補てんされた額3,763,744円)である。

(注)  横浜、横浜中、船橋、国立、浅草鳥越、世田谷上野毛、板橋下赤塚、川崎小杉、毛呂山、鎌足、小場、堀之内、岡崎、宮田、碧南、魚津、泉大津、池田、御影、大和高田、住吉安立、榎列、山本、飾磨港、網干、大久保、防府、粟野、高知小川町、雑餉隈、直方、折尾、別府、延岡、福岡高宮、福岡西新、厳木、美々津、郡山、仙台東二番丁、山田、大間、室蘭、余市、永豊、然別、室蘭幸町、上帯広各郵便局。

郵便局 不正行為をした職員 不正行為期間 不正行為金額 補てんされた額
(29,9,30現在)
年月
(1999) 神田 出納員
事務員
 高地某
26,12から
29,4まで
743,351 18,300
同人が貯金課外務員として積立郵便貯金預入金等の集金事務に従事中、預入金の受領にあたり集金票もしくは貯金通帳に受入手続をしないでまたは通常貯金に預入方申出のあったものもしくは預入依頼を受けたものについてその手続を執らないで領得したものである。
(2000) 横浜市 出納員
事務員
 今田某
26,11から
28,9まで
511,849 570
同人が保険課外務員として簡易生命保険保険料等の集金事務に従事中、保険料および年金掛金等の受領にあたり徴収原簿等に受入手続を執らないで領得したものである。
(2001) 浅草鳥越 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 浦田某
27,3から
28,10まで
1,955,000 803,000
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金の受領にあたり預入申込書を少額に作成しまたは無効の定額貯金証書を正当のもののように発行して領得したものである。
(2002) 世谷田上野毛 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 村山某
28,4から
〃7まで
1,840,000 73,000
同人が特定郵便局長として勤務中、日締決算の際定額郵便貯金の預入申込書を破棄し、もしくは少額に作成しまたは貯金払もどし金受領証を偽造計理するなどの方法により領得したものである。
(2003) 川崎小杉 郵政事務官
 鈴木某
28,10から
29,5まで
912,550 66,588

同人が窓口で現金受払事務に従事中、定額郵便貯金領入金の受領にあたり預入申込書を少額に作成しまたは通常郵便貯金の預入報告をしないで領得したものである。

(2004) 岡崎 出納員
事務員
 小幡某
27,2から
28,12まで
1,473,400 2,480
同人が貯金課外務員として積立郵便貯金預入金等の集金事務に従事中、預入金の受領にあたり集金票に受入手続を執らないでまたは減額受入手続をして領得したものである。
(2005) 魚津 出納員
郵政事務官
 宮川某
27,5から
29,3まで
1,000,000 680,000
同人が貯金課員として資金および過超金の取扱事務に従事中、自己が保管している現金を領得したものである。
(2006) 住吉安立 出納員
郵政事務官
 今井某ほか1名
26,8から
28,9まで
812,400 157,000
今井某および福田某が窓口で現金受払事務に従事中、共謀のうえ通常郵便貯金預入金の受領にあたり預入報告をしないでまたは貯金払もどし金受領証を偽造計理して領得したものである。
(2007) 網干 出納員
郵政事務官
 玉田某
27,10から
29,6まで
2,180,000 200,500
同人が貯金、保険等の現金収納事務に従事中、簡易生命保険保険料、積立郵便貯金預入金を受領しながら出納官吏に引き継がないで領得したものである。
(2008) 防府 出納員
事務員
 古谷某
26,10から
28,5まで
1,182,700 522,700
同人が窓口で現金受払事務に従事中、積立郵便貯金預入金の受領にあたり内訳書を破棄しまたは減額記載して領得したものである。
(2009) 粟野 出納員
事務員
 藤永某
28,2から
〃10まで
525,250 405,400

同人が窓口で現金受払事務に従事中、貯金払もどし金受領証を偽造計理しまたは積立、通常、振替各郵便貯金の預入金等の受領にあたり預入報告をしないで領得したものである。

(2010) 折尾 出納員
郵政事務官
 松本某
27,7から
28,11まで
809,805 12,000
同人が保険課外務員として簡易生命保険保険料等の集金事務に従事中、保険料等の受領にあたり徴収原簿等に受入手続を執らないでまたは少額に計理して領得したものである。
(2011) 別府 出納員
事務員
 大野某
27,5から
29,3まで
917,300 52,800

同人が貯金課外務員として積立郵便貯金預入金等の集金事務に従事中、預入金の受領にあたり集金票に受入手続を執らないで領得したものである。

(2012) 福岡高宮 出納員
事務員
 井上某
28,5から
〃10まで
831,500 591,500

同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金の受領にあたり預入報告をしないで領得したものである。

(2013) 大間 出納員
事務員
 伊藤某
26,1から
28,12まで
645,792 47,403
同人が窓口または局外で簡易生命保険保険料等の現金受払事務に従事中、保険料を受領しながら内訳表を作成しなかったりもしくは内訳表に減額記入したり、預入金を受領しながら内訳書を作成しなかったり、または不要となった貸付金通知書を保険局に返送しないで正当に貸付けしたように処理したりするなどの方法により領得したものである。
(2014) 余市 出納員
事務員
 藤田某ほか1名
28,1から
〃10まで
525,503 125,503

藤田某および岡村某が貯金課外務員として団体の通常郵便貯金の日掛預入金の集金事務に従事中、預入金を受領しながら内務担当者に貯金通帳および預入金を引き継がないで領得したものである。

(2015) 室蘭幸町 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 村松某
27,5から
28,11まで
1,507,802 5,000
同人が特定郵便局長として勤務中、定額郵便貯金預入金の受領にあたり受入手続を執らないでもしくは預入申込書を少額に作成して、または簡易生命保険保険料を受領しながら徴収原簿および内訳表に受入手続を執らないで領得したり、または切手類売さばき代金および留置資金を領得したものである。
18,374,202 3,763,744