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  • 昭和28年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
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  • 工事

工事の監督当を得なかったため発生したずりを河川に捨てたもの


(2213) 工事の監督当を得なかったため発生したずりを河川に捨てたもの

(款) 建設費 (項)建設工事費

 日本国有鉄道新橋工事事務所で、昭和28年2月および4月、三井建設株式会社に随意契約で大糸線糸魚川起点自15.08キロメートル至15.78キロメートル間江尻隧道増設その他その1およびその2工事を50,286,792円で請け負わせているが、この工事で発生するずりは指示された箇所に所要の河川護岸施設をして捨てることになっているのに、請負人は当初護岸施設を行わないで発生したずりの大部分を各坑口から姫川に捨てていたものであって、これを黙過していたのは工事の監督当を得ないものであり、かつ、請負人が施行しなかった護岸施設費1,083,610円は減額すべきものであった。

 右工事の予算下調書によれば、13,860立米のずり発生量を見込み、これを工事現場の流雪こうと掘さくする山との間の鉄道用地内に捨てることとし、ずりが姫川に転落流失することを防止するため雑石練積擁壁1,003平米2,590,575円、根固ひし形ふとんかご100本227,300円計2,817,875円をずい道の掘さく費に含めて積算しているものであり、現場説明でも、前記鉄道用地内に土捨てするよう指示し、請負人の土捨願に対し前記防護工を施行するよう指示したにもかかわらず、請負人は前記施設を行わないで搬出したずりを各坑口付近から直ちに姫川に捨てていたもので、これを黙過していたのは監督処置当を得ない。しかして、本件に対しては28年9月本院会計実地検査の際注意したところ、その後の発生ずり6,142立米に対して雑石練積擁壁630平米、じゃかご22本等1,734,265円の施設をしてずり捨てをしているが、既に取り捨てた部分については善後処置を執っていないものであって、少なくとも当初工事費積算による護岸費と請負人の施行した護岸費との差額1,083,610円のものについては、契約金額を減額すべきであったと認められるのにその処置も執っていなかった。