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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第5 大蔵省|
  • (一般会計)|
  • 是正させた事項|
  • 租税

租税の徴収過不足を是正させたもの


(86)−(719) 租税の徴収過不足を是正させたもの

(部)租税及印紙収入 (款)租税

国税収納金整理資金

 租税の徴収過不足をきたしていたものに対し、本院会計検査の結果是正させたものは、過不足の税額1事項10万円以上のもので集計すると634件徴収不足334,588,993円、徴収過62,638,293円でこれを態様別にみると次のとおりである(各項末尾の( )内の数字は別表第1に掲記した番号を示す。)。

(1) 個人の取引関係等の調査不十分なもの 122件 徴収不足 66,770,880円
徴収過 626,620円

(86)−(207)  右は、麹町ほか102税務署(別表第1(1)参照) で、所得税、相続税等の個人課税において、

(ア) 国もしくは法人等との取引関係または所有権移転登記等の調査不十分なため、不動産所得、事業所得、譲渡所得、受贈財産等に対する課税漏れをきたしたもの(86)−(152)

(イ) 法人税、物品税等の関連資料の調査不十分なため、配当所得、不動産所得、事業所得等の課税漏れをきたしたもの(153)−(173)

(ウ) 会社の設立資金、増資資金、不動産買得資金または貸付資金の出所の調査不十分なため、事業所得、譲渡所得、受贈財産等の課税漏れをきたしたもの(174)−(190)

(エ) 事業所得の収支計算においてたな卸額等の計算を誤ったもの(191)−(193)

(オ) 任意組合員の事業所得に対する課税を誤ったもの(194)−(197)

などである。

(2) 法人の経理内容等の調査不十分なもの 147件 徴収不足 33,792,020円
徴収過 44,152,639円

(208)−(354)  右は、麹町ほか111税務署(別表第1(2)参照) で、法人税の課税において、

(ア) 国または法人との取引関係の調査不十分なため収入金の計上漏れをそのままにしていたもの(208)−(218)

(イ) たな卸資産または固定資産の評価増減についての処理を誤ったもの(219)−(221)

(ウ) 未確定債務、過大に計上した債務等を否認せずまたは未払金、借入金等を誤って否認したもの(222)−(232)

(エ) 役員報酬に対する課税処理を誤ったもの(233)−(238)

(オ)債務免除益に対する課税処理を誤ったもの(239)−(242)

(カ) 確定した事業税または利子税について損益の処理を誤ったもの(243)−(273)

(キ) 損金、益金の所属事業年度を誤ったもの(274)−(281)

(ク) 回収可能の債権を貸倒れとしているのに否認しなかったもの(282)−(286)

(ケ) 前期以前の否認金等に対する当期の処理を誤ったもの(287)−(320)

(コ) 未経過費用等に対する課税処理を誤ったもの(321)−(323)

などである。

(3) 法令の適用を誤ったもの 135件 徴収不足 75,836,785円
徴収過 12,963,080円

(355)−(489)  右は、麹町ほか90税務署(別表第1(3)参照) で、法人税等の課税において、

(ア) 損金に計上された法人税、犯則者納金等を否認しなかったもの(355)−(360)

(イ) 非青色申告法人について貸倒準備金、価格変動準備金もしくは退職給与引当金を是認し、または青色申告法人についてこれらの繰入限度額を誤りもしくは法定の要件を満していないのにこれらを是認したもの(361)−(381)

(ウ) 欠損繰もどし済の金額を繰越欠損金として控除したもの(382)−(384)

(エ) 繰越欠損金の控除において非青色申告事業年度と青色申告事業年度との区分または経過規定の適用を誤り、控除することができないものを控除しまたは控除すべきものを控除しなかったもの(385)−(419)

(オ) 欠損繰もどし控除において非青色申告事業年度と青色申告事業年度との区分を誤りまたは繰りもどすことができる金額を誤ったもの(420)−(426)

(カ) 清算分配金に対し経過規定の適用を誤り益金不算入としたもの、または利益配当金等の益金不算入額の計算等を誤ったもの(427)−(433)

(キ) 再評価差額による第2会社特別勘定償却額に対する課税処理を誤ったもの(434)−(436)

(ク) 積立金額または留保金額の課税において非同族会社と同族会社との判定を誤ったもの(437)−(445)

(ケ) 確定事業年度の税額算出において経過規定の適用を誤り、納付の確定した本税として中間事業年度分超過所得に対する税額を差し引いたもの(446)−(451)

(コ) 貸倒準備金の取くずしをすべき場合に取くずしをしていないのにこれを是認したもの(452)−(458)

(サ) 重加算税額を徴収すべきであるのにこれをしていないもの(459)−(461)

などである。

(4) 課税資料についての通報連絡または活用の不十分なもの 136件 徴収不足 88,951,815円

(490)−(625)  右は、神田ほか118税務署(別表第1(4)参照) で、所得税等の課税において、

(ア) 法人税の課税上生ずる認定賞与、認定配当または資産の譲渡による法定再評価の結果生じた譲渡所得、山林所得の資料について税務官署間または署内各課係間の通報連絡をしなかったもの(490)−(598)

(イ) 署内の調査資料または他署から送付された取引資料等を十分活用しなかったもの(599)−(622)

(ウ) 国税局調査課所管個人について局から実額調査書が送付されているのに更正をしなかったもの(623)−(625)

である。

(5) 源泉徴収所得税に関する調査不十分なもの 50件 徴収不足 56,516,326円
徴収過 324,000円

(626)−(675)  右は、日本橋ほか44税務署(別表第1(5)参照) で、

(ア) 配当、給与または出演料に対する源泉徴収所得税について徴収義務者の納付未済のものに対し強制徴収をしていなかったもの(626)−(659)

(イ) 納付額に対する監査不十分なため納付不足のあるもの(660)−(668)

(ウ) 正当の事由がなく納付が遅延していたのに源泉徴収加算税を徴収していなかったもの(669)−(673)

(エ) 誤って納付された源泉徴収所得税をそのままとしていたもの(674)(675)

である。

(6) その他の過誤によるもの 44件 徴収不足 12,721,167円
徴収過 4,571,954円

(676)−(719)  右は、東京税関、小樽税関支署札幌出張所、麹町ほか37税務署(別表第1(6)参照) で、

(ア) 法人税の課税標準額または税額の算出にあたって誤算したもの(676)−(692)

(イ) 物品税の課税標準額の決定を誤ったもの(693)−(695)

(ウ) 法人税の課税上社外流出の認定賞与または配当とすべきものを留保としたため源泉徴収所得税の課税漏れとなったもの(696)−(703)

(エ) 輸出入免税をしたものについて輸出指定期限の経過または用途外使用の事実があるのに課税しなかったもの(704)−(707)

(オ) 減価償却範囲額の計算において未償却残高等を誤ったもの(708)−(710)

などである。