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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第9 通商産業省|
  • (輸出保険特別会計)|
  • 不当事項|
  • その他

輸出金融保険保険金の支払にあたり処置当を得ないもの


(1990) 輸出金融保険保険金の支払にあたり処置当を得ないもの

 (項)保険金

 通商産業省通商局で、昭和30年3月、輸出金融保険保険金として被保険者銀行に対し28件35,868,000円を支出しているが、保険金の支払にあたり調査が不十分であったため保険関係が成立していないものに対し保険金を支払ったものである。
 右は、株式会社三菱銀行が29年6月から7月までの間に、山本貿易株式会社に対し南アフリカに輸出する綿糸布、ほうろう鉄器製品等の集荷に要する資金として貸し付けた28件52,150,000円を保険に付したところ、44,835,000円が未回収となったとして同銀行の請求に基き輸出保険特別会計から前記保険金を支払ったものである。しかして、本件の保険に付した貸付金は、貸付け前既に同会社が、本件保険の対象である輸出契約にかかる商品買入のため支払っていた自己資金の補てんに充てることとして貸し付けたものであるが、実際は既に輸出されていた商品の製造業者に対する買掛金の決済資金の補てんに充てられたものであって、保険関係が有効に成立していないのにこの間の事情を調査することなく保険関係が成立しているものとして前記保険金を支払ったものであるが、このような事態が生じたのは、本件の貸付金を保険に付するにあたり、同銀行がとくに本件のような場合について保険に付することができるものであるかどうか、およびその場合の同銀行としての確認の方法について同通商局の意見を求めたのに対し、同通商局が法令の解釈、運用を誤って指示を与えたことに基くものであって、その処置当を得ない。