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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第3 法務省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 物件

ふとん綿の購入にあたり検収当を得ないもの


(52)ふとん綿の購入にあたり検収当を得ないもの

 (組織)矯正官署(項)刑務所収容費

 法務省で、昭和30年8月、随意契約により三菱商事株式会社からふとん綿52,000貫を貫当り745円価額38,740,000円で購入しているが、検収不十分なため契約上の規格品に比べ約420万円低額と認められる下級品が納入された結果となっている。
 本件ふとん綿は、刑務所等の収容者用に充てる目的で購入したものであって、契約で定められた規格はオムラ綿級以上80%およびゾーダ綿級以上20%の混合とし、加工にあたっても落綿、化繊等の混入を認めないこととなっているものであるが、本件物品が納入された東京拘置所ほか64箇所のうち、豊多摩ほか5刑務所で任意に抽出した納入品の一部につき、本院において大阪市立工業研究所に依頼して分析試験を行なった結果によると、約定混入率80%のオムラ綿級品は全く使用されておらず、77%から92.7%はオムラ綿に比べ品質の劣るゾーダ綿で、残余7.3%から23%はとくに混入の認められていない化繊および不純物であることが判明した。

 本件物品を検収するにあたって、検査担当官は、見本品と現品とを対照する程度の外観検査を行うにとどめ、契約に定めた原綿の混合割合については分析試験等適宜な検査を行わなかったため前記のような下級品を納入されるにいたったもので、購入品が全部このようなものであるとし、当局が調査した原綿価格により製綿を評価すれば、貫当り663円43価額約3450万円となり、本件購入価額38,740,000円との間に約420万円の開差がある。
 右のほか、前記の物品と同時に同会社から少年院および少年鑑別所の収容者用としてふとん綿6,470貫を貫当り860円価額5,564,200円で購入しているが、その規格はオムラ綿級以上のもの100%を使用し、前記と同様落綿、化繊等の混合を認めないこととなっているのに、明徳少女苑に対する納入品について分析試験をしたところ、実際はゾーダ綿92%、化繊および不純物8%であって、購入品の全部を前記同様の計算によって評価すれば、約120万円低額と認められる下級品を購入した計算となっている。