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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

災害復旧事業の査定額を減額させたもの


(1529)−(1538)災害復旧事業の査定額を減額させたもの

 地方公共団体、農業協同組合、土地改良区、森林組合等が施行する農業施設、林道、漁港の災害復旧工事の査定に対する早期検査は、昭和29年以降、28年発生災害の分から実施し、その結果は、昭和28、29両年度の検査報告に掲記したとおりであるが、本年においても30年発生災害について早期検査を実施するとともに28、29年発生災害復旧工事の未着手地区等でまだ検査を行わなかった地区についてあわせてこれを実施した。
 30年発生災害については、復旧費査定額がとくに多額な北海道ほか10県を選び、31年2月から6月までの間に、農業施設2,361工事1,207,714,000円、林道169工事61,956,000円および漁港307工事487,868,000円について実施した。その結果は、過去2箇年にわたって早期検査を実施した府県については相当改善の跡が認められたが、今回初めて検査を実施した北海道および青森、岩手、秋田、山形各県についてはなお多数の不当事項が発見された。

 しかして、指摘した工事の内容は、前年と同様に河川の堤とう、護岸等の復旧工事について、同一箇所の工事を農林省と運輸省、農林省と建設省または農林省部内において重複して査定しているもの、災害を受けていなかったり被害が軽微であるのに災害復旧の査定を受けて新設または改良工事を施行しようとしているもの、経済効果の著しく少ない施設に多額の経費を投入しようとしているもの、水路、護岸、井ぜき等の工事において著じく原形をこえて実施しようとしているもの、石材もしくはコンクリート工事の骨材を現場付近で採取することができるのに遠距離運搬することとしているもの、農地復旧において排土、客土を地区内で相互に流用することができるのに地区外に搬出しもしくは地区外から搬入することとしているもの、または土砂のたい積量、客土量、運搬距離を過大に見込んでいるものなどであって、これらの査定工事費を適正なものに修正する必要があると認め当局に注意したところ、30年発生災害については農業施設で996工事177,623,000円、林道で51工事14,782,000円、漁港で45工事14,881,000円計1,092工事207,286,000円国庫補助金相当額138,771,000円を減額是正した旨の回答があった。

 また、28、29年発生災害については未着手となっていた地区等10,134工事6,893,,080,000円のうち3,084工事2,010,917,000円について検査したところ、前記と同様な事由によって是正させたものが28年発生災害において788工事211,088,000円、29年発生災害において870工事194,783,000円計1,658工事405,871,000円国庫補助金相当額315,380,000円あった。なお、これらを道県別に示すと次表(折込)のとおりである。

県名 種別 農林省査定額 同上のうち本院において実地検査したもの 減額された工事費
二重査定 改良工事その他 設計過大
年災 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額

北海道

28

472
千円
658,946

20
千円
34,209

千円
千円
14
千円
4,151

14
千円
4,151
29 152 145,713 24 34,955

6 3,326 8 2,825 14 6,151
30 1,001 766,979 315 287,721

30 10,565 155 33,679 185 44,244
1,625 1,571,638 359 356,885

36 13,891 177 40,655 213 54,546
青森県 28 182 162,321 48 53,437

15 7,509 19 4,068 34 11,577
29 211 146,220 96 55,840

26 10,193 34 5,054 60 15,247
30 323 235,027 196 143,460

29 13,769 62 9,964 91 23,733
716 543,568 340 252,737

70 31,471 115 19,086 185 50,557
岩手〃 28 291 137,527 179 82,940 1 222 75 31,062 50 7,148 126 38,432
29 25 20,033 15 8,870

7 2,220 5 761 12 2,981
30 395 326,629 276 247,343

46 10,410 85 8,499 131 18,909
711 484,189 470 339,153 1 222 128 43,692 140 16,408 269 60,322
秋田〃 28 483 259,618 36 25,878 1 215 18 8,323 12 3,390 31 11,928
29 35 113,368 14 28,798

4 1,440 2 254 6 1,694
30 905 550,981 431 241,095 1 250 61 21,407 112 19,705 174 41,362
1,423 923,967 481 295,771 2 465 83 31,170 126 23,349 211 54,984
山形〃 28 276 159,506 48 29,739

5 1,454 9 1,674 14 3,128
29 53 27,071 10 3,850

3 1,132 3 656 6 1,788
30 344 189,676 204 119,090 1 114 23 7,574 91 13,206 115 20,894
673 376,253 262 152,679 1 114 31 10,160 103 15,536 135 25,810
和歌山〃 28 955 1,315,022 466 640,765 5 5,368 51 28,566 178 42,251 234 76,185
29 449 181,450 291 122,668 2 2,253 79 22,563 77 8,533 158 33,349
30 264 87,704 113 38,568

7 1,659 17 1,096 24 2,755
1,668 1,584,176 870 802,001 7 7,621 137 52,788 272 51,880 416 112,289
広島〃 28 376 166,156 134 43,763

33 6,641 23 2,143 56 8,784
29 567 293,392 143 67,699

24 4,205 21 3,398 45 7,603
30 417 181,338 198 97,472 1 246 14 2,991 29 2,121 44 5,358
1,360 640,886 475 208,934 1 246 71 13,837 73 7,662 145 21,745
山口〃 28











29 1,141 468,178 511 180,040 11 6,221 184 41,268 83 9,410 278 56,899
30 685 454,894 457 322,061 1 111 62 19,447 74 9,404 137 28,962
1,826 923,072 968 502,101 12 6,332 246 60,715 157 18,814 415 85,861
愛媛〃 28 619 252,622 103 36,639 3 377 29 6,972 17 1,409 49 8,758
29 1,047 540,095 335 189,395 1 4,394 84 27,390 79 8,529 164 40,313
30 350 149,136 166 82,631

10 1,932 23 1,007 33 2,939
2,016 941,853 604 308,665 4 4,771 123 36,294 119 10,945 246 52,010
高知〃 28 191 207,822 50 62,271

21 7,822 10 619 31 8,441
29 468 162,783 86 32,449

24 4,346 18 910 42 5,256
30 400 139,498 215 79,276

26 5,860 18 798 44 6,658
1,059 510,103 351 173,996

71 18,028 46 2,327 117 20,355
福岡〃 28 1,658 1,147,194 324 148,569 5 1,690 89 24,296 105 13,718 199 39,704
29 483 328,043 151 128,143 5 1,334 41 15,508 39 6,660 85 23,502
30 479 176,336 266 98,821

24 6,382 90 5,090 114 11,472
2,620 1,651,573 741 375,533 10 3,024 154 46,186 234 25,468 398 74,678
合計 28 5,503 4,466,734 1,408 1,158,210 15 7,872 336 122,645 437 80,571 788 211,088
29 4,631 2,426,346 1,676 852,707 19 14,202 482 133,591 369 46,990 870 194,783
30 5,563 3,258,198 2,837 1,757,538 4 721 332 101,996 756 104,569 1,092 207,286
15,697 10,151,278 5,921 3,768,455 38 22,795 1,150 358,232 1,562 232,130 2,750 613,157

 しかして、前記の是正されたものを態様別にあげると次のとおりである。

(1) 重複して査定されていたもの

(1529)−(1530) 同一箇所の工事を農林省と運輸省、農林省と建設省または農林省部内において重複して査定しているものは、昭和28年発生災害15工事7,872,000円、29年発生災害19工事14,202,000円、30年発生災害4工事721,000円計38工事22,795,000円に上っているが、そのおもなものをあげると次のとおりである。

(1529)  和歌山県海草郡美里町北谷堤塘29年災害復旧は、査定額3,060,000円(国庫補助金1,989,000円)で堤とう340メートルを復旧することとしていたが、右のうち右岸石垣340メートル工事費1,451,000円(国庫補助金943,100円)は、別途同町北谷線林道28年発生災害復旧3,521,000円(国庫補助金3,168,900円)と重複して査定されていた。

(1530)  広島県安芸郡倉橋町須川漁港30年災害復旧は、査定額517,000円(国庫負担金344,000円)で護岸50メートルを復旧することとしていたが、右のうち12メートルは別途運輸省所管の須川港護岸26年発生災害復旧544,000円(国庫負担金360,000円)と重複して査定されていた。

(2) 改良工事その他国庫補助の対象としてはならないもの

(1531)−(1535)災害を受けていなかったり、被害が軽微であるのに災害復旧の査定を受けて新設、改良工事等を施行しようとしたり、または著しく原形をこえて工事を施行しようとしていたものは、昭和28年発生災害336工事122,645,000円、29年発生災害482工事133,591,000円、30年発生災害332工事101,996,000円計1,150工事358,232,000円に上っているが、そのおもなものをあげると次のとおりである。

(1531)  青森県西津軽郡木造町排水路30年災害復旧は、査定額3,490,000円(国庫補助金2,268,500円)で排水路976メートルの流入土砂1,881立米の排土および土留板さく工976メートルを施行することとしていたが、右は災害によるものではない。

(1532)  岩手県下閉伊郡小本村赤鹿橋梁28年災害復旧は、査定額2,400,000円(国庫補助金1,560,000円)で長さ90メートル、幅3.5メートルの橋りょうを復旧することとしていたが、右は、被災の事実がなく従来なかった橋りょうを新たに架設しようとしていたものである。

(1533) 秋田県北秋田郡上小阿仁村奥地開発林道屋布線30年災害復旧は、査定額4,100,000円(国庫補助金2,665,000円)で橋りょう50メートルを復旧することとしていたが、右橋りょうは国有のもので、秋田営林局において工事費3,145,000円で復旧することとしていたものである。

(1534)   和歌山県日高郡船着村西原第2堤塘29年災害復旧は、査定額1,858,000円(国庫補助金1,207,700円)で堤とう170メートルを復旧することとしていたが、同堤とうによって直接受益するのは2反歩程度で、経済効果の著しく少ない施設に多額の経費を投入しようとしていたものである。

(1535)  愛媛県西宇和郡三崎町与侈漁港29年災害復旧は、査定額1,339,000円(国庫負担金1,178,000円)で防波堤89メートルを復旧することとしていたが、実際に被災したのは先端部の26メートルだけで、残余の63メートル工事費1,140,000円(国庫負担金1,003,000円)は被災の事実が認められず、先端26メートルの復旧に名をかり防波堤のかさ上げを施行しようとしていたものである。

(3) 設計が過大と認められたもの

(1536)−(1538) 排土、客土の土量または運搬距離を過大に見込むなど設計が現地の実情に沿わないと認められたものは、昭和28年発生災害437工事80,571,000円、29年発生災害369工事46,990,000円、30年発生災害756工事104,569,000円計1,562工事232,130,000円に上っているが、そのおもなものをあげると次のとおりである。

(1536)  秋田県横手市黒川農地30年災害復旧は、査定額1,420,000円(国庫補助金710,000円)で3町4反に流入した土砂5,141立米を300メートル運搬して捨土することとしていたが、実際は5反歩に流入した土砂1,486立米を200メートル運搬捨土すれば足りるもので、復旧費は260,000円となり1,160,000円(国庫補助金580,000円)が過大となっていた。

(1537)  和歌山県有田郡五村三瀬川堤塘28年災害復旧は、査定額5,963,000円(国庫補助金5,366,700円)で堤とう1,140メートルのから石積護岸2,991平米を復旧するもので、築石は500メートルまたは1,600メートルの地点から運搬することとしていたが、実際は現地付近で採取することができるもので、復旧費は4,399,000円となり、1,564,000円(国庫補助金1,407,000)が過大となっていた。

(1538)  山口県豊浦郡豊浦町宇賀漁港29年災害復旧は、査定額3,810,000円(国庫負担金3,322,000円)で防波堤68メートルおよび捨石1,317立米を復旧することとしていたが、右のうち捨石は、在石を530立米、新石を353立米使用すれば足りるもので、復旧費は2,626,000円となり1,184,000円(国庫負担金1,032,000円)が過大となっていた。