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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (農業共済再保険特別会計)|
  • 不当事項|
  • 保険

農業共済保険事業の運営が適切でないもの


(1713)−(1902)農業共済保険事業の運営が適切でないもの

 農林省で、昭和28年度から30年度までに北海道ほか45都府県および各都道府県農業共済組合連合会に対し、一般会計から農業共済事業事務費負担金7,122,913,084円(うち28年度分2,431,667,000円、29年度分2,380,867,762円)、また、農業共済再保険特別会計から農作物および蚕繭の再保険金34,613,791,969円(うち28年度分18,608,768,232円、29年度分12,594,732,537円)を支出している。
 本院において、29年および30年中、青森県ほか38府県の621農業共済組合について、主要農作物共済の掛金の徴収が適期、適切に行われているか、また、共済金はその全額が組合員に正当に支払われているかに重点を置き、さらに、保険金請求に際し被害の評価および府県農業共済組合連合会への報告は事実に即して行われているか、組合員に対する共済金の額は正しく決定されているかをあわせて調査したが、31年2月以降も引続き主として前年までに調査しなかった農業共済組合を調査することとし、北海道ほか27府県の698農業共済組合について調査した。その結果は、28、29両年度の検査報告において記載したと同様、掛金の徴収が適切に行われている組合は少なく、共済金が支払われていない無被害の年度においてはその大部分が未収のまま放置され、被害が発生して共済金が支払われるときに初めて未収繰越掛金その他未収金を差し引いて徴収しその決済を行なっていたり、連合会の行なった修正に基き個人別支払額を決定しているように支払台帳を作成しているが、実際は組合の行う独自の損害評価に基きまたは被害3割未満の補償対象外の耕地をも含む全引受面積に対し均等割で支払っているもの、共済金を部落に一括交付してその使途を一任しているもの、共済金の一部を組合員に支払うことなく別途に保有して後年度分の掛金等の準備金としたり、事務所または役場庁舎の建築費、農業協同組合出資金、農機具等の購入費、組合業務費、飲食費、組合役職員の個人的使途に充てたりしているものなど共済事業の運営および経理当を得ないものが多数あったほか、保険金を連合会に請求するにあたり組合の損害評価額を上回る報告を行なって実際の評価額以上の保険金を受領したり、または引受一筆ごとの適正な損害評価をしないで達観により被害報告を行い保険金受領後評価野帳を作成したりしているもの、あるいは共済金の全額を組合員に支払わず、掛金、賦課金も全く徴収しないで受領した保険金をもって組合運営の財源としているなど共済事業が農民から遊離しているものも見受けられた状況で、調査の結果判明したこれら共済金の経理当を得ないと認められるものは520組合2,821,556,992円(国庫負担分推定額20億7200万円)に上っており、これを不当の態様別に示すと次表(折込)のとおりである。

道府県名 調査共済組合数 調査済共済金額 共済金を組合員に全く支払わないもの 共済金の一部を組合員に支払わないもの(うち目的外に使用した額) 共済金を補償対象外の被害三割未満の耕地をも含めて配分しているもの
組合数 共済金額 組合数 共済金額 組合数 共済金額 組合数 共済金額

北海道

80
千円
1,857,657



21
千円
449,116
(16,582)

36
千円
694,670

57
千円
1,143,787
秋田県 16 72,896

10 27,374
(3,002)
3 11,315 13 38,690
山形〃 14 68,106

6 20,071
(1,654)
4 9,168 10 29,240
福島〃 46 495,834

16 188,133
(8,167)
13 102,292 29 290,426
栃木〃 19 266,738

1 13,738
(153)
16 200,364 17 214,102
埼玉〃 19 65,560

4 5,237
(184)
6 18,538 10 23,775
神奈川〃 21 78,256

6 17,679
(947)
8 19,802 14 37,482
愛知〃 20 67,509

16 51,442
(11,393)


16 51,442
三重〃 27 85,306

20 60,744
(15,040)
3 10,601 23 71,345
滋賀〃 22 29,516 1 1,580 5 8,540
(3,966)
15 17,028 21 27,149
京都府 16 9,189

6 3,346
(1,242)
6 3,470 12 6,816
大阪〃 19 23,144 8 9,248 10 12,063
(9,576)
1 1,266 19 22,578
兵庫県 24 90,516 1 1,913 13 63,973
(18,641)
8 18,904 22 84,791
奈良〃 24 39,625

20 28,103
(13,372)


20 28,103
和歌山〃 24 59,326 1 825 21 50,611
(23,346)
2 4,410 24 55,847
岡山〃 26 58,304

8 14,335
(712)
9 24,438 17 38,774
広島〃 16 13,940

6 6,789
(1,646)
2 1,129 8 7,918
山口〃 28 38,289

10 11,946
(2,611)
5 4,709 15 16,655
徳島〃 19 61,020

4 16,576
(2,002)


4 16,576
香川〃 17 38,775 1 2,050 9 21,348
(6,258)
7 14,582 17 37,980
愛媛〃 18 63,418

13 49,259
(13,695)
2 3,893 15 53,153
高知〃 19 51,924 1 966 13 28,944
(3,894)
3 7,986 17 37,898
福岡〃 18 55,306

11 35,065
(9,206)
7 11,871 18 46,937
長崎〃 36 67,509 6 10,905 9 15,250
(3,136)
16 29,641 31 55,796
熊本〃 21 46,455 1 3,115 6 16,789
(1,052)
14 23,120 21 43,025
大分〃 21 105,806

4 12,669
(311)
7 34,231 11 46,901
宮崎〃 40 503,790

11 104,653
(3,058)
16 163,826 27 268,480
鹿児島〃 28 97,026

3 9,487
(1,239)
9 16,391 12 25,878
合計 698 4,510,754 20 30,606 282 1,343,294
(176,098)
218 1,447,656 520 2,821,556

 なお、昭和28年度決算検査報告に掲記した指摘事項のうち、当局において変則払等の不当経理を是正し正規の支払を行なった旨本院に対し回答があったもののうち数組合を選びその事後処理状況についてもあわせて調査したところ、いずれもその是正が行われていないばかりでなく、その後も改善されていない状況であるが、そのおもなものは次のとおりである。

(ア) 兵庫県加古郡天満村農業共済組合(現在稲美町天満農業共済組合)では、昭和28年度決算検査報告(参照) に掲記したとおり、28年産水稲および麦共済金7,196,672円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払わず、うち2,445,989円を組合独自の評価による被害割で、4,750,683円を面積割で配分していたものであり、本院の照会に対し、同組合では損害評価書どおり30年3月再配分を完了した旨回答があったが、31年8月本院において再調査したところ、実際は全くこれを行なっていないばかりでなく、29年および30年産水稲および麦共済金12,300,481円についても被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払うことなく、部落ごとの引受面積割またはこれに被害程度を多少加味したもので各部落に配分し、その使途および農家への配分を一任しており、支払に際してはこれから132,000円を受け入れ、架空名義の別途貯金に繰り入れて役員旅行費等に114,157円を使用しており、17,843円を保有していた。

(イ) 愛媛県越智郡清水村農業共済組合(現在今治市河南農業共済組合)では、昭和28年度決算検査報告(参照) に掲記したとおり28年産水稲共済金および麦保険金2,698,768円を別途に経理し、うち360,731円を支払っただけで、そのほか掛金および防除機具代等に使用したものを差し引いた残額は1,098,217円となっており、組合の保有額は29年6月本院会計実地検査当時24年以降同様な経理をしたものの残額と合わせて2,455,626円に上っていたもので、本院の照会に対し、別途貯金全額を共済金として支払い、24年度からの変則払を是正し損害評価書どおり共済金の再配分を農家別に行なって30年1月精算を完了した旨回答があったが、31年8月本院において再調査したところ、実際は全く再配分を行なっていないばかりでなく、29年産水稲および麦共済金807,681円、30年産麦共済金249,546円計1,057,227円についても従来と同様違法な経理を行なっていて、うち180,645円を組合独自の評価により被害農家に支払っただけで、残額876,582円は別途に経理していた。
 しかして、検査の結果判明した組合の不当経理のうち、とくに不当と認められる共済金の目的外使用が1組合あたり20万円をこえるものをあげると別表第7のとおり190組合その目的外使用額197,118,612円になっているが、これら不当経理のうち代表的な事例をあげると次のとおりである(各項末尾の( )内の数字は別表第7に掲記した番号を示す。)。

(1) 共済金の全部を組合員に支払わず、また、掛金も徴収していないため保険が農民から遊離し、組合と上部機関との間で空転しているもの

〔1〕 滋賀県伊香郡西浅井村(旧永原村)農業共済組合で、29年産水稲および麦共済金1,578,998円、30年産麦共済金1,936円計1,580,934円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり農業協同組合の共済金振込用貯金口座を利用して支払ったこととしているが、実際は同農業共済組合が右貯金を組合員とは無関係に一括管理し、これを各種共済掛金、賦課金の支払財源に充てている状況で、31年4月本院会計実地検査当時の残高は前年度からの繰越分を含め2,039,920円に上っていた。(1774)

〔2〕 長崎県南高来郡有家町農業共済組合で、29年産水稲および麦保険金1,166,440円、30年産麦保険金1,012,127円計2,178,567円を県農業共済組合連合会から受領しているが、同組合は23年設立当初から共済金を全く支払っていないばかりでなく掛金も全く徴収せず、共済の事務はすべて組合長個人に任されていた。
 しかして、組合長は受領した保険金12,979,786円を帳簿外に経理し、保険料、賦課金に5,232,937円を支払い、残額7,746,849円と受取利息等226,398円を合わせ計7,973,247円のうち3,309,335円を業務費に使用したほか、災害見舞金に771,597円、役員手当等に673,590円、交際費、旅行費等に344,368円、建物、什器購入費に280,750円、農業協同組合への肥料購入立替金等に665,000円、組合諸雑費に215,185円、積立金に309,733円を充て、559,565円は仮払金に整理しているが使途不明となっており、31年6月本院会計実地検査当時724,641円を農業協同組合および市中銀行に組合長個人名義等で貯金し、119,483円を現金で保有していた。(1888)

〔3〕 熊本県飽託郡中島村農業共済組合で、29年産水稲および麦保険金2,324,165円、30年産麦保険金479,871円計2,804,036円を県農業共済組合連合会から受領しているが、同組合はこれを全く支払っていないばかりでなく掛金も全く徴収せず、保険金を掛金、賦課金その他一切の組合諸経費の支払財源に充てており、31年6月本院会計実地検査当時234,242円を保有していた。(1894)

(2) 共済金を補償対象外の被害3割未満の耕地をも含めた引受全面積に対して配分し、そのうちから未収掛金等を差し引いているもの

〔1〕 山形県酒田市(旧飽海郡中平田村)農業共済組合で、28年産水稲共済金1,237,760円、29年産水稲共済金571,840円計1,809,600円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際はそのうち1,495,209円を補償対象外の耕地を含めた引受全面積に対し均等割で配分しただけで、314,391円を共済基金拠出金等に充てていた。(1733)

〔2〕 熊本県菊池郡七城村(旧砦村)農業共済組合で、29年産水稲および麦共済金3,549,294円、30年産麦共済金1,448,301円計4,997,595円を減収石数2割以上の農家に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際はうち4,350,109円を減収石数によらないで補償対象外の農家をも含めた全農家に対し面積割で配分し、これから未収掛金、賦課金等422,233円、農家拠出金63,428円を差し引いて3,864,448円を交付しており、残額647,486円は動力噴霧機購入費等に充てていた。(1893)

(3) 共済金の一部を組合員に支払わないで帳簿外に保有し、これを目的外の役場庁舎建築費、農業協同組合出資金、飲食費等に使用したり、定期貯金等としているもの

〔1〕 北海道樺戸郡新十津川村農業共済組合で、28年産水稲および麦共済金27,508,480円、29年産水稲および麦共済金32,503,230円計60,011,710円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は組合独自の評価による被害割で48,864,472円、引受面積に対し均等割で9,460,200円計58,324,672円を配分し、これから未収掛金、賦課金等8,775,883円を差し引いて49,548,789円を支払っただけで、配分しなかった共済金1,687,038円は事務所建築費、組合業務費等に充てていた。(1717)

〔2〕 愛知県知多郡美浜町(旧河和町)農業共済組合で、29年産水稲共済金4,977,661円を被害3割以上の耕地176町6反に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は組合独自の評価により109町9反に2,955,070円を支払っただけで、残額2,022,591円は架空名義の農業協同組合貯金等により帳簿外に経理し、これから農業協同組合の職員手当、物品購入代、部落活動助成費に1,139,296円、共同防除助成費に179,590円、組合運営費その他に374,611円を使用したほか、155,000円を農業協同組合の出資金に充てており、31年4月本院会計実地検査当時191,250円を保有していた。(1752)

〔3〕 兵庫県飾磨郡夢前町(旧菅野村)農業共済組合で、29年産水稲および麦共済金2,589,616円、30年産水稲および麦共済金386,845円計2,976,461円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は30年産水稲共済金182,830円を、部落ごとに均等割で64,000円、引受面積割で64,000円、戸数割で54,830円として配分し、残額2,793,631円は全く支払わないで共済貯金または架空名義の貯金として帳簿外に経理していた。
 しかして、同組合は23年設立当初から掛金、賦課金を全く徴収せず、共済金の全額を別途に経理しており、その額は共済金10,188,657円のほか建物保険金、給料繰入その他利子等を加えて12,317,673円に上っているが、このうち共済金として支払ったものは182,830円にすぎず、その他は農作物および建物共済掛金、賦課金に7,674,753円、家畜共済掛金補助に471,534円、村役場庁舎建築費に1,900,000円、組合合併時の役職員の解散手当、会議費、接待費その他組合諸経費に1,120,425円を使用し、31年8月本院会計実地検査当時968,131円を保有していた。(1808)

〔4〕 愛媛県周桑郡丹原町農業共済組合で、29年産水稲および麦共済金2,824,602円、30年産麦共済金309,282円計3,133,884円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は全額を市中銀行および農業協同組合の別途貯金として経理し、これから引受面積301町2反に反当500円の割合で1,512,165円を支払ったにすぎない。
 しかして、同組合は従来から掛金、賦課金を全く徴収せず、共済金が掛金、賦課金を上回る場合にだけその超過額の一部を支払い、残額を掛金、賦課金および飲食費、役員手当等に充てており、31年8月本院会計実地検査当時36,339円を保有していた。(1871)

〔5〕 福岡県山門郡大和町農業共済組合で、29年産水稲および麦共済金3,509,428円を被害3割以上の耕地に対し損害評価書どおり支払ったこととしているが、実際は全く支払わないで全額を特別会計名義で帳簿外に経理していた。
 しかして、同組合は24年産水稲以降このような経理を行い、掛金、賦課金を全く徴収せず、共済金34,237,849円のうち14,163,701円を支払っただけで残額のうち17,472,818円を掛金、賦課金、基金拠出金等に充て、31年6月本院会計実地検査当時2,601,330円を保有していた。(1883)

(4) 組合が損害評価額を上回る申請をして実評価額以上の過大な保険金を受領し、これを組合員に配分しないで組合の経費等に使用しているもの

〔1〕 山形県東村山郡中山町(旧豊田村)農業共済組合で、29年産水稲保険金を県農業共済組合連合会に対し請求するにあたり、実際の組合評価は被害3割以上の耕地10町9反共済金126,447円であるのに、これを42町536,350円と金額において4倍以上に付増しして報告を行い、同連合会から35町6反465,970円と決定を受けて実際の評価額以上の保険金419,373円を受領し、また、30年産水稲保険金を請求するにあたっても、組合評価は被害3割以上の耕地4町1反共済金59,313円であるのに、これを37町5反517,446円と金額において8倍以上に付増しして報告を行い、同連合会から14町2反185,844円と決定を受けて実際の評価額以上の保険金167,260円を受領しているばかりでなく、29年産水稲共済金465,970円、30年産水稲共済金186,014円をそれぞれ損害評価書どおりの被害面積35町6反および14町2反に対し支払ったこととしているが、実際は126,447円および59,313円を組合の実評価どおり10町9反および4町1反に対し支払っただけで、共済金の残額466,224円は組合長名義の別途貯金として帳簿外に経理し組合経費に使用していた。(1735)

〔2〕 愛知県渥美郡田原町(旧野田村)農業共済組合で、29年産水稲保険金を県農業共済組合連合会に対し請求するにあたり、実際の組合評価は被害3割以上の耕地102町7反共済金1,402,170円であるのに、これを158町1反2,706,000円と金額において約2倍に付増しして報告を行い、同連合会から113町2反2,395,800円と決定を受けて実際の評価額以上の保険金2,156,220円を受領しているばかりでなく、共済金2,218,551円を損害評価書どおりの被害面積113町2反に対し支払ったこととしているが、実際は共済金の全額を帳簿外に経理し、このうちから1,324,819円を組合の実評価どおり102町7反に対し支払っただけで、残額893,732円はうち509,742円を各部落に共同防除費用として交付し、383,990円は28年産水稲共済金の不配分額等222,476円と合わせ役員手当、飲食費等に使用しており、31年4月本院会計実地検査当時404,398円を保有していた。
 右のほか、29年産麦共済金33,390円を損害評価書どおり被害3割以上の6町4反に支払ったこととしているが、実際は引受面積91町5反に均等割で配分し部落ごとに一括交付していた。(1748)

〔3〕 三重県河芸郡大里村農業共済組合で、29年産水稲保険金を県農業共済組合連合会に対し請求するにあたり、実際の組合評価は被害3割以上の耕地24町5反共済金492,824円であるのに、これを155町9反3,067,990円と金額において約6倍に付増しして報告を行い、同連合会から107町1反2,420,704円と決定を受けて実際の評価額の4倍以上の保険金2,180,434円を受領しているばかりでなく、共済金2,265,784円を損害評価書どおりの被害面積107町1反に対し支払ったこととしているが、実際は組合の実評価24町5反に対し492,824円を支払っただけで、残額1,772,960円はうち360,125円を見舞金として全耕作面積351町9反に対し均等割等で配分し、その他の1,412,835円は現金または組合長個人名義の貯金で帳簿外に経理していた。
 右のほか、29年産および30年産麦共済金98,500円も損害評価書どおりの被害面積に対し支払ったこととしているが、実際は組合独自の評価により29,568円を支払っただけで、残額68,932円は別途貯金として経理していた。
 しかして、同組合は、このような経理を行なって帳簿外に経理した資金1,481,767円のうちから掛金、賦課金、組合業務費、会議費を支出しているほか役職員の慰労費、闇給与等にも多額を使用していて、31年4月本院会計実地検査当時35,796円を保有していた。(1765)

〔4〕 和歌山県有田郡吉備町(旧御霊村)農業共済組合で、29年産水稲保険金を県農業共済組合連合会に対し請求するにあたり、実際の組合評価は被害3割以上の耕地11町1反共済金279,984円であるのにこれを37町6反1,052,524円と金額において約4倍に付増しして報告を行い、同連合会から21町4反794、960円と決定を受けて実際の評価額以上の保険金715,464円を受領しているばかりでなく、共済金794,960円を損害評価書どおりの被害面積21町4反に対し支払ったこととしているが、実際は共済金の全額を別途に経理し、うち83,459円を組合の実評価11町1反に対し支払っただけで,残額711,501円は後年度の掛金、賦課金や組合経費に充てていた。
 右のほか、29年産麦共済金58,504円を損害評価書どおりの被害面積に対し支払ったこととしているが、実際は全く支払っていない。(1829)