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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
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高価な洗かん継棒を購入しているもの


(7) 高価な洗かん継棒を購入しているもの

(昭和30年度)(組織)防衛庁(項)防衛庁(組織)防衛庁(項)防衛庁

 陸上自衛隊武器補給処で、陸上幕僚監部の指示により、昭和31年1月および32年1月、随意契約により株式会社日本製鋼所から火砲部品を総額、71,464,480円、このうち洗かん継棒791本を単価14,473円および10,800円価額9,277,400円で購入しているが、在庫報告が適正を欠き、また、調査検討が不十分で高価な洗かん継棒を購入したため約440万円が不経済となっている。

 本件洗かん継棒は、155ミリ榴弾砲等の砲こう洗じょう用ブラシの柄として使用する木製丸棒の両端に青銅製ネジを取り付けた長さ1.18メートルのものであるが、陸上幕僚監部制定の補給カタログをみると、木製継棒(物品整理番号CO39−5555199)の使用は在庫数量限りとし、以後は金属製継棒(物品整理番号DO50−7231994)を使用することとなっている。しかるに、調達の決定にあたって、在庫統制隊からの在庫報告に誤りがあったり、陸上幕僚監部の調査が不十分であったため金属製継棒は供与されていないものとし、したがって、その仕様が不明であり、もし試作するとすれば実用試験を必要とし、価格も木製のものより高価となることが予想されるとして本件木製継棒を購入したものである。

 しかし、右は事実と相違し、金属製継棒は、実際には30年8月に供与を受け武器補給処に在庫されていたものであって、また、その構造は、一般構造用軽合金製引抜管の両端に同じく軽合金製の雄ネジ、雌ネジを加締めて取り付け、表面処理した程度の簡単なもので、その価格は30年度においては製造原価は材料費1,600円、加工費2,100円、直接経費1,200円計4,900円程度となり、これに一般管理費、利益およびこん包輸送費を加えるとその単価は約6,000円、31年度においては材料の値上りをみて約6,100円となるものである。いま、仮に30年度分200本、31年度分591本を右単価で金属製のものを購入したとすれば約440万円節減することができた計算となる。

 なお、本件洗かん継棒はその用途、構造、仕様からみても製作可能な工場は少なくなく、とくに1業者を選定して随意契約による必要があるものとは認められない。