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  • 昭和31年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
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機械器具の交換に関し処置当を得ないもの


(18)−(22) 機械器具の交換に関し処置当を得ないもの

 昭和31年度中、全国10財務局で、国有財産特別措置法(昭和27年法律第219号)に基き、旧軍用財産である機械器具をその時価から3割5分を減額した額で当該事業者の所有する老朽した機械器具と交換したものは4,929事項12,865個であるが、このうち1,644事項5,297個について実地に調査したところ、相手方が契約条項に違反して無断で他に貸し付けたりまたは転売するなどしているのに、違約金の徴収または契約解除等適宜の処置をとらないでそのままとなっていたものが関東財務局ほか7箇所(注) において18事項48個あり、そのおもな事例をあげると次のとおり5件27個である。

(注)  関東財務局、近畿財務局、同財務局京都財務部舞鶴出張所、東海財務局熱田出張所、同財務局静岡財務部沼津出張所、同財務局津財務部、中国財務局、南九州財務局大分財務部

(18)  近畿財務局で、昭和31年5月および8月、株式会社増田機械製作所に大阪市所在元大阪陸軍造兵廠ほか1箇所所属の機械5個(時価7,227,614円)を交換渡ししその差金2,967,790円を収納しているが、同会社は8月および12月日本機工株式会社ほか1名にうち2個を価額3,980,000円で売り渡しているので注意したところ、32年8月、契約時の時価3,403,604円の5割相当額1,701,802円を違約金として徴収決定したが、9月末現在まだ収納されていない。

(19)  近畿財務局京都財務部舞鶴出張所で、昭和31年12月および32年2月、株式会社前田鉄工所に舞鶴市所在元舞鶴海軍工廠ほか1箇所所属の機械5個(時価1,914,021円)を交換渡ししその差金1,171,855円を収納しているが、同会社は交換受と同時に川村工業株式会社に対しうち4個を価額764,500円で売り渡し、残りの1個(時価716,700円)を貸し付けているので注意したところ、32年7月、契約時の時価1,914,021円の5割相当額957,011円を違約金として徴収決定したが、9月末現在まだ収納されていない。

(20)  東海財務局津財務部で、昭和32年3月、株式会社川畑機械製作所に津市所在元津海軍工廠ほか1箇所所属の機械6個(時価2,713,000円)を交換渡ししその差金974,150円を収納しているが、同会社は7月ごろ6個全部を売り渡しているので注意したが、9月末現在なお処理未済となっている。

(21)  中国財務局で、昭和31年7月および12月、株式会社新興製作所に呉市所在元第十一海軍航空廠ほか1箇所所属の機械6個(時価2,030,100円)を交換渡ししその差金1,197,365円を収納しているが、同会社は31年8月および32年1月有限会社前田鉄工所ほか1名にうち2個を価額1,130,000円で売り渡しているので注意したところ、8月、契約時の時価1,384,900円の5割相当額692,450円を違約金として徴収決定したが、9月末現在まだ収納されていない。

(22)  南九州財務局大分財務部で、昭和31年12月、株式会社児玉鉄工所および有限会社栄鋳造所に日田市所在元小倉陸軍造兵廠日田製造所ほか2箇所所属の機械16個(時価2,198,556円)を交換渡ししその差額771,516円を収納しているが、本件交換については前記両会社はいずれも名義人にすぎず、松山某が実際上の交換差金の納入者であり物件の引取人であって、同人は31年12月および32年1月西本某ほか2名に右16個を価額1,680,000円で売り渡しているので注意したところ、32年8月および9月、右のうち4個を児玉鉄工所に買い取らせて当初の目的に使用させることとし、10月、残りの12個については交換契約を解除し交換渡品の解除時の時価2,857,485円から交換受品の契約時の時価532,026円を差し引いた2,325,459円を徴収決定したが、同月末現在まだ収納されていない。