ページトップ
  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第2 総理府|
  • (防衛庁)|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • その他

用地の取得にあたり処置当を得ないもの


(23) 用地の取得にあたり処置当を得ないもの

(組織)防衛庁 (項)施設整備費

 防衛庁仙台建設部で、昭和32年6月および9月、航空自衛隊松島基地の滑走路新設用地として購入した宮城県矢本町所在の土地175,721坪の代金92,503,222円および離作等補償費69,368,907円計161,872,129円を矢本町菅原某ほか100名の代理人矢本町長片倉某に支払っているが、土地の取得方法およびなし畑の作物補償費の算出方法等が適切であれば約2100万円を節減することができたものと認められる。
 本件土地は、航空自衛隊が東北財務局の承認を得て使用中であった旧海軍航空隊基地に滑走路を増設するため新たに取得した民有地23万5千余坪の一部であって、うち、立沼地区114,676坪については、同建設部が、土地所有者に対して同地区に隣接する基地内の約12万坪を代替地として売り渡すよう管理者である東北財務局にあっ旋することを条件として、田69,186坪を単価430円で29,750,311円、宅地17,587坪を単価1,200円で21,104,988円、畑その他27,901坪を14,228,337円総額65,083,536円をもって購入したものであるが、右代替地のうち98,784坪については同財務局が33年5月から7月までの間に単価150円総額14,817,670円で売渡済である。

 しかして、本件購入地と右代替地とは地続きで旧海軍使用前は民有地であったもので、もともと土地に差等は認められず、31年12月には代替地提供の方針が確定していたものであり、また、別に耕地の離作補償費31,595,618円を支払っているばかりでなく、代替地の宅地化および水田化については、電燈線移設費および水道取付費の補償を行なったり、直ちに耕作することができるよう別途施行の滑走路工事において排土し、売渡手続前に代替地に移転させるなどの便宜をはかっていたことからみても、東北財務局から右代替地の所管換を受けこれと本件購入土地と等価交換するなどの手続をとるべきであったと思料されるのに、このようなことを考慮しないで購入しているのは当を得ない。
 いま、仮に耕地についてはしばらくおき、土質についてとくに問題がない宅地の部分についてだけ等価交換をしたとしても購入価格は坪当りで1,050円、17,587坪では約1840万円節減することができた計算である。
 また、なし畑5,889坪については、土地購入代金として坪当り500円総額2,944,765円を支払っているほかに作物補償として矢本町菅原某ほか3名に対し7,852,705円を補償しているが、この算出にあたって、反当り補償額は各人の年間純収入額を聞取りによる栽培面積4,980坪で除して算出し一律に400,000円としながら、これに実測面積である5,889坪を乗じて補償費総額を算出したり、防衛庁で定めた補償要綱によれば当該果樹の所得にその効用年数に応ずる年8分の複利年金現価率を乗じて算出した価格を標準として補償費を算出すべきであるのに、単純に8年の効用年数を乗じて算出しているため約260万円が過大な評価となっている。