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  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第6 農林省|
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  • 補助金

国庫補助金の経理当を得ないもの


(386)−(397) 国庫補助金の経理当を得ないもの

(組織)農林本省 (項)農山漁村建設総合対策費補助 ほか3科目
(組織)水産庁 (項)漁業災害復旧資金融通利子補給及損失補償

 農林省所管国庫補助金のうち公共事業関係を除く一般補助については、昭和29年以降主として都道府県、市町村等を経由して末端の事業施行者に交付される農村振興、農産物増産、開拓実施、畜産、蚕糸、水産業振興、利子補給等の補助金を選び、その交付状況および補助金の使途につき実地に検査を実施し、その結果は28年度以降毎年度の検査報告に掲記したとおりであるが、本年においても、31年度国庫補助金のほか32年度国庫補助金のうち農山漁村建設総合施設費補助金ほか22費目6,911,858,138円について検査することとした。

 右検査は、北海道ほか28都府県および市町村の一部と各種組合について実施したが、その結果は、関係当局の指導監督の強化および事業主体の自覚等により相当改善の跡が見受けられたものもあるが、なお、補助金の交付が当を得なかったり、これを目的外に使用していたり、地元負担の一部を負担しないで事業を実施していたため事業量が不足していたり、精算額を過大に報告して補助金の交付を受けているものなど前年同様の不当な事例が見受けられた。

 このような事例が跡を断たないのは、事業主体において補助金の算定の基礎となる事業費の精算にあたり、真実の経理に基かないで実際と異なる契約書、領収書、現金出納簿等を作成しこれを精算の基礎としている弊害が十分に改善されないことのほか、利子補給制度の趣旨の不徹底、資金需要の調査の不十分等によるもので今後一層注意する必要があるものと認められる。
 しかして、検査の結果これら補助金の経理当を得ないと認められたものは右29都道府県(注) において298件13,962,981円となっており、これを種目別態様別に示すと左のとおり

事業別 補助種目 補助対象外の事業を実施したもの 事業量が不足していたり施行が粗漏となっているもの 積算または精算が過大なもの
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額

農山漁村建設総合施設事業

土地整備事業費補助
  千円 
2
千円
43

6
千円
588

8
千円
631
適地適産奨励施設費補助 4 239 6 302 30 1,009 40 1,551
農山漁村振興共同施設費補助 17 2,514 15 728 95 3,366 127 6,609
生活文化研修施設費補助 1 100     7 552 8 652
小計 22 2,854 23 1,074 138 5,517 183 9,445
その他の一般補助事業(利子補給補助を除く。) 農作物病害虫防除機具購入費補助 4 977 2 62 1 13 7 1,053
養蚕経営施設その他蚕糸関係補助 1 14 2 109     3 124
小団地開発整備事業費補助 2 255 1 72 8 392 11 719
小計 7 1,247 5 244 9 405 21 1,897
29 4,101 28 1,318 147 5,922 204 11,342

事業別 補助種目 融資金を農家に貸し付けていないもの 融資金の貸付にあたり当を得ないもの 農家が融資金を目的どおり使用していないもの 利子補給金を目的どおり農家に交付していないもの
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数
(組合数)
金額

利子補給補助

被害農家営農資金利子補給補助

9
千円
646

7
千円
27

22
千円
1,205
  千円
38
(34)
千円
1,879
有畜農家創設資金利子補給補助 18 196 17 226     21 317 56
(33)
740
27 843 24 253 22 1,205 21 317 94
(67)
2,620

であり、検査の結果を事業別に説明すると次のとおりである。

(注)  北海道、秋田、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉各県、東京都、新潟、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀各県、京都、大阪両府、和歌山、鳥取、島根、岡山、山口、愛媛、福岡、大分、鹿児島各県

(1) 農山漁村建設総合施設事業

(386)−(393) 農山漁村建設総合施設費補助は、農林漁業者の自主的な創意に基き、適地適産を基調とする農山漁村の振興事業を総合的に推進することにより、農林漁業経営の安定と農林漁業者の生活水準の向上をはかるため、経営条件が類似する農林漁業地域内の市町村、農業協同組合、漁業協同組合、農事実行組合その他各種の団体が土地整備、適地適産奨励、共同利用施設、生活文化研修等26種類の事業のうちから自主的に選定して行う事業に対し、事業費の3割から5割以内をそれぞれ交付するものであるが、本院において全都道府県管内の1,509地域のうち北海道ほか28都府県下の158地域の国庫補助金383,331,485円(うち31年度分125,471,397円)についてその実地を検査したところ、

(ア) 共同利用施設として採択された作業所、集荷所、育すう所等は、従来なかった施設を新設することを建前としているのに、既設の建物や機械器具の更新を行なっていたり、または共同利用施設として新設したこととしていながら実際は個人施設となっているものなどに補助金を交付しているものがあり、

(イ) 農道、共同貯水槽等の工事において、切盛土量が不足していたり、コンクリートの配合が粗悪であったりしているものがあり、また、作業所施設等において所要の機械器具を計画どおり購入していないものなど事業の実施量が不足しているものが多く、

(ウ) 建築工事等において、一括請負により施行したこととしているもののうちには、実際は値引をさせたり、一部を直営により低額に施行したり、または資材を現地の時価に比べて高価に積算しているものがあるのに、設計どおり事業費を要したこととして精算額を過大に報告して補助金の交付を受けているものがあり、

これら不当経理のうち1件の国庫補助金20万円以上のものをあげると左のとおり8件国庫補助金2,333,993円である。

府県名 年度 事業内容 事業主体 事業費 同上に対する国庫補助金 不当事業費 同上に対する国庫補助金相当額 摘要
(386) 茨城県 32 共同集荷所 石岡市石岡農業協同組合 540,000 270,000 540,000 270,000 対象外
共同集荷所1むね30坪を新築したこととしているが、実際は倉庫を目的とした構造となっており、現に、肥料倉庫として使用している状況で補助の対象としては認められない。
 
(387) 31 石岡市村上部落組合 448,000 224,000 448,000 224,000 対象外
共同集荷所1むね20坪を新築したこととしているが、実際は集荷に利用した実績がほとんどなく、建物は婦人会の集会等目的外に使用している状況で補助の対象としては認められない。なお、同建物を低額に新築することができたため事業費は338,500円で足りていた。
 
(388) 32 農事放送 新治郡八郷町小桜農業協同組合 1,869,000 934,000 589,000 294,000 精算過大
農事放送施設を新設したものであるが、実際は機械を低額に購入することができたなどのため事業費は1,280,000円で足りていた。
 
2,857,000 1,428,000 1,577,000 788,000
(389) 埼玉県 31 共同集荷所 南埼玉郡白岡町篠津第6農事組合 424,175 207,000 424,175 207,000 対象外
共同集荷所1むね20坪を新築したこととしているが、実際は集荷に利用した実績が全くなく、建物は部落の集会等目的外に使用しているばかりでなく、うち4坪を補助対象外の宿直室に模様替している状況で補助の対象としては認められない。なお、同事業は直営で施行し事業費は404,175円で足りていた。
 
(390) 新潟〃 32 農地交換整備事業 岩船郡神林村荒川沿岸土地改良区 2,689,659 806,897 844,685 253,405 精算過大
農地24町4反の交換整備を2,689,659円で施行したこととしているが、実際は事業費1,844,974円で足りていた。
 
(391) 京都府 共同作業所 中郡大宮町奥大野農業協同組合 836,284 374,000 836,284 374,000 対象外
共同作業所1むね24坪および付属機具を新設したこととしているが、実際は旧作業所を売却し更新したものである。
 
(392) 山口県 共同集荷所 萩市萩農業協同組合 1,260,000 504,000 1,260,000 504,000 対象外
共同集荷所1むね60坪を新築したこととしているが、実際は旧集荷所を倉庫に転用した代替として新築したものである。
 
(393) 福岡〃 農地交換整備事業 三井郡北野町北野土地改良区 2,428,000 713,000 702,979 207,588 精算過大
農地50町の交換整備を2,428,000円で施行したこととしているが、実際は事業費1,725,021円で足りていた。
 
合計 10,495,118 4,032,897 5,645,123 2,333,993

(2) その他の一般補助事業(利子補給補助を除く。)

(394)−(395) 農山漁村建設総合施設費補助を除くその他の一般補助は、農産物増産、開拓実施、畜産、蚕糸業振興等に関するもので、それぞれの事業費に対しその一部を補助したりまたは定額を交付するものであるが、本院において北海道ほか27都府県およびその都道府県内の92市町村と各種組合等の国庫補助金103,088,584円(うち31年度分64,046,449円)について実地を検査したところ、小団地開発整備事業、農作物病害虫防除事業等において共同利用のものとは認められない個人所有の農機具を補助の対象としたり、事業の実施および事後の管理が当を得ないため補助の目的を達していないものに補助金を交付していたり、また、事業主体が補助金に自己負担金を加えて計画どおりの事業を実施したこととしていながらその一部を負担していないため事業量が不足しているもの、事業を計画額より低額で実施しているにもかかわらず実績を上回る精算報告を行なって過大な補助金の交付を受けているものが見受けられ、これら不当経理のうち1件の国庫補助金20万円以上のものをあげると左のとおり2件国庫補助金924,250円である。

道名 年度 事業内容 事業主体 事業費 同上に対する国庫補助金 不当事業費 同上に対する国庫補助金相当額 摘要
(394) 北海道 31 防除機具 虻田郡真狩村 2,660,000 665,000 2,660,000 665,000 対象外
動力噴霧機19台を共同農機具として購入したこととしているが、実際は村で購入した事実はなく、交付を受けた補助金を農家が個人で購入した各種の動力噴霧機32台の価額に応じて配分していた。
 
(395) 枝幸郡歌登村 1,037,000 259,250 1,037,000 259,250 対象外
動力ミスト9台、動力ミスト撒粉兼用機10台計19台を共同農機具として購入したこととしているが、実際は村で購入した事実はなく、交付を受けた補助金を農家が個人で購入した各種の防除機具19台の価額に応じて配分していた。
 
3,697,000 924,250 3,697,000 924,250

(3) 利子補給補助

〔1〕 災害融資金に対する利子補給補助

(396)  災害融資金に対する利子補給補助は、凍霜害、風水害、冷害等の天災により損失を受けた農林漁業者に対し、その経営や施設の災害復旧に必要な資金を農林中央金庫、都道府県信用農業協同組合連合会、農業協同組合等の組合系統金融機関等をして低利に貸し出させ、国および地方公共団体がこれに対して利子の一部を補給して被害農林漁業者の生産力をすみやかに回復させ、その経営を維持安定させようとするものである。
 しかして、右融資金は、その借入資格、使途、借入限度、貸出実行期限、利率、償還方法等についてはそれぞれ関係法規により一定の条件を付しているものであるが、本院において北海道ほか15県の84組合の融資総額399,248,914円、これに対する国庫利子補給済額34,430,633円についてその実地を検査したところ、融資金を被害農林漁業者に貸し付けたこととして利子補給の対象としていながら、実際は農業協同組合等で資金の全部または一部を被害農林漁業者に貸し付けないで組合の事業資金に使用したり、資金を貸し付けるにあたり災害に関係のない組合の旧債権の回収に充てていたり、または貸付を受けた者が資金を貯金に預け入れたまま使用していないもの、資金を融資の目的に反して使用しているものなど前年度と同様な事態が見受けられた。このように融資金の貸付または使用当を得ないため利子補給の要がなかったものが北海道ほか9県の34組合で38件その融資額55,666,411円、国庫利子補給済額1,879,957円となっているが、これらのうち国庫利子補給済額が1団体当り20万円以上のものをあげると左のとおりである。

県名 融資機関 資金 融資額 同上に対する国庫利子補給済額 不当融資額 同上に対する国庫利子補給済額 摘要
福岡県 浮羽郡吉井町福富農業協同組合 28年発生風水害経営資金 3,050,000 361,688 2,480,000 285,566 不使用
右融資額のうち、2,450,000円を普通貯金、30,000円を定期貯金としたまま使用していなかった。

〔2〕 有畜農家創設資金に対する利子補給補助

(397)  有畜農家創設資金に対する利子補給補助は、乳牛、役肉用牛、馬およびめん羊を新規に導入する農家に対し、その導入に要する資金を農業協同組合をして貸し出させ、国が導入農家等に対しその貸付資金の利子の一部を補給して農家の家畜導入を容易にしようとするものであるが、本院において北海道ほか14府県の94組合融資総額140,567,245円、これに対する国庫利子補給済額16,014,372円について検査したところ、融資金を農家に貸し付けて家畜を導入させたこととして利子補給の対象としていながら、実際は組合で資金の全部もしくは一部を貸し付けていなかったり、規定の融資限度である購入価格の7割をこえて貸付を行なっていたり、利子補給金を農家に配分しないで保有していたり、または対象外の農家を合めて配分するなど利子補給金を目的どおり交付していないものが北海道ほか10県の33組合で56件その融資額4,971,799円、国庫利子補給済額740,377円見受けられた。