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  • 昭和32年度|
  • 第2章 国の会計

審査事項


第7節 審査事項

 国の会計事務を処理する職員の会計経理の取扱に関し、利害関係人から審査の要求があり、昭和32年12月から33年11月までの間に、本院においてその決定をしたものは次のとおり1件である。
 城南化工材株式会社(旧城南化工機株式会社)は、元東京第一陸軍造兵厰十条工場所属の賠償指定機械のうちターレット旋盤等5個の使用について、関東財務局長から昭和25年11月1日から26年10月31日までの間の普通財産一時使用認可を受け、その間の使用料は29年12月8日これを納付したが、同会社は、右期間経過後も本件機械を返還することなく使用料相当額も納付しないままに30年7月10日無断でこれをくず化処分した。しかして、同財務局歳入徴収官は、同会社に対し、26年11月1日から30年7月9日までの間の使用料相当額78,018円をすでに納付済の使用料の納付遅滞に対する延滞金7,472円および機械がくず化されたことに対する損害賠償金177,400円とともに納付するよう要求した。これに対し、同会社から、26年11月1日から30年7月9日までの間の使用料相当額は同会社において本件機械を事実上使用していなかったのであるから一般慣例上その支払を免除すべきであるとして審査を要求したものである。

 右の事実について審理したところ、城南化工材株式会社は、本件機械について特別の事情が介在したため当初の目的どおり使用収益するにいたらず、経済的負担を受けた事実はあるが、同期間中国と同会社との間にはなお依然として一時使用認可等の関係が継続していたものと認められ、現行法令の建前からみても本件機械がくず化されるまでの間の使用料相当額の徴収を不当とするには足らないものと認められる。
 したがって、本件使用料相当額の徴収についての関東財務局歳入徴収官の取扱は是正を要しないものと決定した。