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  • 昭和33年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第1 総理府|
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  • 不当事項|
  • 物件

航空機製造請負契約にあたり処置当を得ないもの


(4) 航空機製造請負契約にあたり処置当を得ないもの

 (昭和31年度) (組織)防衛庁 (項)防衛庁
 (昭和32年度) (組織)防衛庁 (項)防衛庁
 (組織)防衛庁 (項)防衛庁

 防衛庁調達実施本部で、航空幕僚監部の要求により、昭和32年3月、随意契約により新三菱重工業株式会社に「F−86F」航空機110機の製造を請け負わせ、34年3月請負金額を精算確定し、7,193,291,108円(うち31年度分629,760,000円、32年度分3,047,952,000円)を支払っているが、うち加工費1,798,344,844円は、基準工数の算定についての調査検討が不十分なため約790万円高価となっている。
 本件契約は、製造原価を加工費、外注加工費等17の費目に分けて精算することとし、加工費についてはあらかじめ基準工数を定め、社内実消費工数と外注加工工数との和がこれを下回ったときは節減された工数に応じその一部を社内実消費工数に付加して、また、これを上回ったときは超過した工数に応じその一部を社内実消費工数から除外して加工費の精算工数を計算し、これに1工数当りの加工費407円を乗じて算定することとしている。
 右基準工数は、当初契約で5,310,000時間と定めたものを、生産計画および仕様書の一部変更があったため、33年3月、それまでの実績を考慮して社内工数として組立工数2,664,679時間、部品工数1,697,259時間、特損工数3,381時間、試作工数67,854時間、特別工事工数9,774時間計4,442,947時間、外注加工工数として496,717時間合計4,939,664時間と再計算し、これに基づき4,939,700時間と変更決定したものである。
 しかして、本件契約の加工費精算にあたっては、社内実消費工数4,416,650時間と外注加工工数515,499時間との和4,932,149時間が右基準工数を下回っていたので、契約に基づきその節減工数の4分の1を社内実消費工数に付加して精算工数を4,418,537.7時間とし、これに1工数当りの加工費407円を乗じて加工費総額を1,798,344,844円としている。
 しかしながら、前記基準工数について検討すると、

(ア) 特損工数3,381時間のうち、1,132時間は支給品代品製作作業分で、この作業費は、契約によれば実際原価で精算することになっているものであるから基準工数に含めるべき工数ではなく、現に、本件契約の精算の際においても支給品修理費として処理されており、また、454時間はセイフティロックピン製作作業分で、別途特別工事工数に重複積算されており、

(イ) 試作工数67,854時間は押型の試押し工数で、この作業費は契約によれば別途専用治工具費として実際原価または限度額で精算することになっているものであるから基準工数に含めるべき工数ではなく、現に、本件契約の精算の際においても専用治工具費として処理されており、

(ウ) 特別工事工数9,774時間のうち8,995時間は支給品代品製作分で、(ア)と同様、基準工数に含めるべき工数ではなく、

これらにより基準工数を修正計算すると4,861,300時間となり、契約基準工数4,939,700時間はこれに比べて78,400時間過大となる。
 いま、仮に基準工数を4,861,300時間として契約で定めた方法により計算すれば精算工数は4,398,938時間、加工費は1,790,367,766円となり、本件加工費精算額1,798,344,844円はこれに比べて7,977,078円高価となる計算である。