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  • 昭和33年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
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  • 補助金

特別損失防止対策工事補助金の交付にあたり処置当を得ないもの


(7) 特別損失防止対策工事補助金の交付にあたり処置当を得ないもの

 (組織)調達庁 (項)防衛支出金

 札幌調達局で、昭和33年10月から34年4月までの間に、北海道に対し島松演習場周辺の承水溝工事補助金として25,370,000円を交付しているが、実施設計額を慎重に査定すれば約260万円節減することができたものと認められる。
 本件補助金は、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律(昭和28年法律第246号)に基づき前記工事の工事費全額を補助するもので、同調達局において実施設計書を審査検討のうえ調達庁において33年7月交付額を25,529,066円と決定しており、この査定額の内訳は北海道が調達して業者に支給するヒューム管の接合費2,876,057円、集水路、制水工等のコンクリート打設費10,013,963円、土工事費4,650,753円、その他の工事費3,593,370円および諸経費等4,394,923円となっていて、これら積算のうち歩掛り等は調達庁で定めた特別損失補償歩掛表および北海道開発局の歩掛表等により、また、セメントおよび砂利については時価によっているので査定としておおむね妥当と認められるが、次のものについては積算が過大となっていると認められる。

(ア) コンクリート配合比1:2:4のもの124立米および1:3:6のもの1,577立米計1,701立米に使用する洗砂914立米は白老産のものをとり、恵庭駅レール渡価格を1立米当り1,150円とし、これに現場までの運賃および諸掛りを加算して1,502円、コンクリート1立米分751円および811円としているが、本院の調査によれば白老における洗砂の1立米当り土場渡価格は190円程度であるから、運賃等を合わせ1立米当り1,236円、コンクリート1立米分618円および667円となる。
 また、コンクリート1立米当りの用水量を2,000リットルこの経費を774円としているが、この種工事の水セメント比は60%程度で、基礎土盤散水は1平米当り8リットル、養生散水は1平米当り1回4リットル1日2回1週間程度、これに器具洗てき等の所要量を1割程度見込めば十分で、これによりコンクリート1立米当りの用水量を計算すれば386リットルでこの経費は149円となる。

(イ) 残土12,659立米は馬車により平均距離200メートルの地域に処分することとし、この経費を1立米当り139円としているが、現場は演習場内で、承水溝に沿って承水壁側の外側に向い下りこう配の緩斜面となっていて十分捨土の余地があり、人力により平均距離20メートルの範囲内で敷きならすものとすれば1立米当り0.1人程度の歩掛りで足り、土工を1日465円として計算すれば46円50となる。
 いま、これらにより工事費を再計算すれば諸経費等を合わせ22,745,575円となり、本件査定額25,529,066円との間に2,783,491円の開差を生じ、仮にこれだけ査定減したとすれば約260万円支払額を節減することができたものである。