ページトップ
  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第2 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 工事

運搬費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの


(3) 運搬費等を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの

(昭和34年度)
(一般会計)(組織)防衛本庁(項)施設整備費
(一般会計)(組織)防衛本庁(項)施設整備費

 防衛庁名古屋建設部で、昭和35年3月、指名競争契約により大成建設株式会社に航空自衛隊小松基地滑走路その他新設工事を558,633,000円(当初契約額544,600,000円)で請け負わせ施行しているが、運搬費の積算が適切を欠いたなどのため予定価格が過大となり、ひいて工事費が約500万円高価となっていると認められる。
 本件は、航空自衛隊小松基地新設のため延長2,400メートルの滑走路およびこれに付帯する誘導路、エプロン等の工事を施行するもので、その予定価格545,220,000円のうち

(ア) 滑走路、誘導路等の基層工、ショルダー等の表層工および張芝工125,281,655円についてみると、そのうち基層材または肥土として使用する赤土91,266立米は工事現場から5キロメートルの地点で採取し、5トンダンプトラックで運搬することとしてその立米当り単価は運搬費210円35、山代等120円20計330円55を330円として総量につき30,117,780円と積算している。
 しかしながら、この運搬費210円35は、5トンダンプトラック1車当り積載量を3立米として算出したものであるが、地山から切り取られた普通土の重量は立米当り約1,200キログラムとされており、とくに本件赤土については調査工事の結果切取り後の立米当り重量は870キログラム程度にすぎないことがすでに判明していたものであるから5トンダンプトラックには4立米の積載は容易であり、したがって1車当り積載量は少なくとも4立米として計算すべきである。
 いま、仮にこれにより計算すると立米当り運搬費は160円79となり、山代等120円20を加え赤土立米当り単価は281円となるから、前記単価330円はこれに比べて49円、総量で4,472,034円が過大となっている。

(イ) 雑工事のうち標識塗装工事1,659,344円についてみると、コンクリート舗装面6,444平米を白色および黄色トラフィックペイントで塗装することとし、平米当り単価を258円および254円と積算している。
 しかしながら、トラフィックペイントには道路用と反射用と区別があるが、滑走路等の標識塗装には道路用が使用されるものであるから、本件は当然道路用をもって積算すべきで、道路用は白色、黄色ともにキログラム当り160円程度であるから平米当り172円、塗装全面積6,444平米では1,108,368円で足り、550,976円が過大となっている。

 以上各項により予定価格を修正計算すれば総額約5億3953万円となり、本件工事費はこれに比べて約500万円高価となっていると認められる。