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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第7 農林省|
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  • 物件

土地の売渡価額が低廉と認められるもの


(134) 土地の売渡価額が低廉と認められるもの

 (国有林野事業特別会計) (国有林野事業勘定) (款)国有林野事業収入 (項)林野売払代

 青森営林局で、昭和35年12月および36年3月、随意契約により財団法人宮城県住宅協会に仙台市字北六番丁ほか4箇所所在の土地24,214坪を各箇所平均坪当り2,125円から2,900円と評定し総額58,140,000円で売り渡しているが、土地価格の評定が適切を欠いたため、売渡価額が約830万円低額となっていると認められる。

 本件は、同営林局仙台営林署が22年ごろから逐次仙台市松田某ほか92名に貸し付けていた土地14,327坪を売り渡すにあたり、あらたにその隣接地9,887坪を前記住宅協会ほか30名に貸し付けて、これを一括し同住宅協会と売渡契約を結び、同住宅協会からその使用者に売り渡させることとしたものであるが、土地価格の評定にあたっては、宅地とするのには条件の悪い土地を含め5箇所合計37,088坪について貸付当時の原状が山林であったとして山林としての評価を東北財務局に依頼し、同財務局が35年2月、箇所別に森林状態の一団地として坪当り平均2,161円と評価したものによって前記のように評定したものである。

 しかしながら、本件土地は仙台市の市街地の北部に所在し、仙山線の北仙台駅から東または西へ2キロメートル以内の距離にあり、仙台都市計画用途地域の住居地域となっており、その大部分は周辺を宅地に囲まれた平たん地または緩傾斜地で容易に宅地とすることができるもので、現に現況は宅地となっており、売渡しにあたっては宅地として適当である24,214坪の買受けの申込みを受けたものを分筆して売り渡すこととしたものであるから、宅地価格を基準とし、これから土地造成費相当額を控除して評定するのが妥当であるのに、前記のように森林状態の一団地として評価したものによって評定したのはその処置が適切を欠いたものと認められる。

 しかして、前記24,214坪のうち、従前からの貸付分14,327坪については、借受人が林野をひらいて住宅地とした事情があることなどを考慮すれば、その売渡価額がある程度低額となることはやむを得なかったとして除外するとしても、その売渡しに付随してあらたに貸し付けて売り渡した9,887坪売渡価額22,911,000円(坪当り平均2,317円)は当局が宅地として再評価したものによっても3135万余円(坪当り平均3,171円)となるものである。
 いま、仮にこの再評価に基づいて評定し、売り渡したとすれば売渡価額は約6650万円となり、本件売渡価額はこれに比べて約830万円低額となっていると認められる。