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  • 昭和35年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の事項|
  • 第11 建設省|
  • 不当事項|
  • 工事

建設機械の能力を過少に積算したため工事費が高価と認められるもの


(273) 建設機械の能力を過少に積算したため工事費が高価と認められるもの

 (治水特別会計) (治水勘定) (項)河川事業費

 中部地方建設局で、昭和35年11月、指名競争契約により愛知県海部郡甚目寺町河村某に大牧築堤第2工事を11,080,000円(当初契約額10,650,000円)で請け負わせ施行しているが、建設機械の能力を過少に積算したため予定価格が過大となり、ひいて工事費が約116万円高価となっていると認められる。

 本件工事は、木曾川下流改修計画に基づいて愛知県海部郡八開村大牧地先において、業者持ちのパワーショベル1台と同地方建設局が貸し付けたパワーショベル1台、ブルドーザ2台等(貸付機械損料相当額10,186,663円)の建設機械を使用して堤防裏側の小段築造を行なうもので、築堤盛土所要量49,600立米のうち土砂42,200立米の盛土に要する工事費については、付近寄州からブルドーザで集土し、パワーショベルでトロに積み込み、機関車で運搬することとして、パワーショベル(0.6立米)の作業能力を1日当り200立米とし、土砂盛土工費3,502,600円(立米当り83円)、業者持パワーショベルの機械損料105日分1,700,660円、貸付機械の現場修理費105日分476,227円計5,679,487円と積算しているが、このパワーショベルの能力1日当り200立米は、土質、作業条件等が機械施行の困難な掘さく、積込みをする場合に当たるもので、本件工事箇所は砂質土の寄州で機械施行が比較的容易で、しかも、補助ブルドーザを使用することとしているのであるから、これを1日当り200立米と積算したのは過少と認められる。

 しかして、本件パワーショベルの能力を一般に採用されている計算方式によって算定すれば、1日当り少なくとも350立米を積み込むことが可能であり、現場の作業条件による能率減を2割程度考慮したとしても少なくとも1日当り280立米程度で積算すべきものと認められ、現に、同地方建設局が施行した近傍における類似の工事の積算例または実績等をみてもいずれもこの程度またはこれを上回っているものである。
 いま、仮にパワーショベルの1日当り作業能力を280立米として前記42,200立米の盛土に要する工事費を再計算すると、土砂盛土工費3,295,820円(立米当り78円10)、業者持パワーショベルの機械損料45日分733,460円、貸付機械の現場修理費105日分476,227円計4,505,507円で、その他の工事費を合わせると総額9,911,563円となり、本件請負額はこれに比べて約116万円高価となる計算である。