ページトップ
  • 昭和35年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事頂|
  • 工事

軌条圧接工事の積算が過大なため工事費が高価と認められるもの


(330) 軌条圧接工事の積算が過大なため工事費が高価と認められるもの

 (工事勘定) (項)諸設備費

 日本国有鉄道岐阜工事局で、昭和35年9月、随意契約により日本ガス圧接株式会社に北陸本線敦賀、今庄間北陸ずい道軌条圧接工事を9,133,600円(当初契約額9,290,400円)で請け負わせ36年5月完成しているが、過去の実績のは握が十分でなかったため予定価格が過大となり、工事費が約226万円高価となっていると認められる。
 本件工事は、ずい道内に長尺レールを敷設するため50キログラム定尺レールをガス圧接機で接続し大部分を200メートルの長さとするもので、工事の施行にあたっては、ガス圧接機を札幌鉄道管理局岩見沢材修場および門司鉄道管理局鳥栖材修場から各1台保管転換を受け、これを請負人に貸与するとともに前記両材修場から専門職員の派遣を受けその監督のもとに工事を実施させたものである。しかして、その予定価格9,340,000円の算出についてみると、圧接箇所1箇所を1口として1口当り4,932円と積算しているが、

(ア) 労務費は1日16人(技術員13人、土工3人)で11口圧接するものとして1口当り1.45人工1,244円54、1,896口分で2,359,647円としているが、軌条圧接は前記両材修場においても直営により施行しており、その実績によれば1日12人(技術員6人、土工6人)で平均13口程度圧接しているもので、これにより計算すると1日当り0.92人工となり、また、前記両材修場の標準工程表によっても圧接1口に要する延時間は最高272分で、これを基礎として1日6時間作業とし、現地作業による雨天待ち等を当局の計算にならい26.2%見込んだとしても1口当り工数は0.96人工となる。いま、仮に前記両材修場の実績またはその標準工程表を勘案して1口1人工とし1日12人で12口施行するものとして計算すれば労務費は1,488,360円となる。

(イ) 技術員のうち9人の宿泊費は延2,088泊分1,044,000円としているが、前項に記述したところにより技術員は6人となり工期も短縮されるので、1,200泊分600,000円程度となる。

(ウ) 材料費2,208,479円のうち酸素およびアセチレンの所要量を1口当り酸素1.9立米、アセチレン2.3キログラムとしているが、前記両材修場における所要量の実績は1口当り酸素1.5立米、アセチレン1.4キログラム程度であり、鉄道技術研究所の報告によっても同程度であるから、これにより計算すると材料費は1,586,952円となる。いま、以上各項により工事費を修正計算すると1口当り3,687円計6,872,568円となり、本件請負額はこれに比べて約226万円高価となる計算である。