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  • 昭和35年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

東北開発株式会社


第18 東北開発株式会社

 東北開発株式会社の昭和35営業年度末資本金は24億円(うち政府出資23億0750万円)である。
 35営業年度のおもな生産、販売事業は、セメント33万トン、カーバイド3万余トン、石灰窒素8千トン、亜炭5万余トンを生産販売する計画に対し、実績はセメントは生産数量28万余トン、販売数量26万余トンでその他のものはほぼ計画どおりとなっており、また、土地造成事業は、造成土地18万余坪を売り渡す計画に対し、実績は10万余坪となっている。
 新規建設等事業は、土地造成事業13億円、直轄工場の建設拡充等7億1000万円、その他3億9000万円計24億円の計画に対し、実績は土地造成事業8億4129万余円、直轄工場の建設拡充等6億3565万余円、その他5843万余円計15億3538万余円で、計画に比べて8億6461万余円減少しており、これに要する資金については、政府出資金5億円、東北開発債券16億円、その他3億円計24億円を充当している。
 35営業年度の収益は40億2890万余円、費用は39億6063万余円で、当期純利益金6827万余円を計上しており、前営業年度に比べて利益が5246万余円の増加となっている。これを事業別にみると、セメント等事業は市況の軟化等により1億7659万余円の損失を計上し、亜炭生産事業も2677万余円の損失を計上したが、カーバイド関係事業は好況で5753万余円の利益を計上し、土地造成事業も3億1049万余円の利益を計上しているので、総合損益で当期純利益金を計上することができたものである。

 しかしながらこの決算においては、セメントおよび造成土地の売上高計上にあたり処置が適切でないと認められるものが次のとおりある。

(ア) セメントの売上高を260,929トン1,581,381,687円、期末在庫高を32,941トン127,406,257円と計上しているが、売上高のうち23,653トン127,332,154円は在庫のままで売渡数量のわくを契約したにすぎないものであるからこれを当期の売上高として計上すべきものではなく、売上高は237,275トン1,454,049,533円、期末在庫高は56,595トン229,118,263円とすべきであると認められる。

(イ) 造成土地の売上高を713,715,000円、同売上原価を382,491,801円と計上しているが、前期の売買損益に計上したもので当期において契約解除となったものを前期損益の修正として別途これを明らかにすることなく当期の売買損益から控除したため、造成土地売上高において128,200,000円、同売上原価において68,200,000円が過少に計上されたり、また、翌期の売買損益に計上すべきものを当期の売買損益に計上したため、造成土地売上高において550,000,000円、同売上原価において272,375,497円が過大に計上されたりしていて当期の損益が不適正に表示されており、造成土地売上高は291,915,000円、同売上原価は178,316,304円とすべきであると認められる。

 なお、セメントの保管については、販売地にセメントサイロがないため袋詰セメントを東北、関東地方等に所在する営業倉庫等に分散保管しているが、各倉庫の在庫品の経過期間を十分は握することなく、倉出し方法についても適切な指示を行なわなかったことなどのため、3箇月から14箇月も在庫したまま硬化したセメントが約3万トンあり、多額の損失をきたしたものと認められ、在庫管理については今後十分の注意が望ましい。