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  • 昭和36年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 不当事項|
  • 工事

滑走路工事の予定価格の積算が過大なため工事費が高価と認められるもの


(2) 滑走路工事の予定価格の積算が過大なため工事費が高価と認められるもの

(一般会計) (組織)防衛本庁 (項)施設整備費

 防衛庁東京建設部で、昭和36年9月、指名競争契約により大成建設株式会社および株式会社熊谷組に海上自衛隊白井滑走路その他新設工事をそれぞれ420,500,000円および428,500,000円計849,000,000円で請け負わせ施行しているが、舗装コンクリートの型わくおよび目地の数量計算を誤ったり、基層の転圧施行について検討が不十分であったりしたなどのため予定価格の積算が過大となり、ひいて工事費が約780万円高価となっていると認められる。
 本件工事は、海上自衛隊下総航空基地新設のため延長2,250メートルの滑走路およびこれに付帯する誘導路、エプロン等の工事を施行するものであるが、その予定価格420,800,000円および429,000,000円についてみると

(1) 滑走路、誘導路およびエプロン等のコンクリート舗装工は、厚さ20センチメートルの分26,228立米単価5,710円、25センチメートルの分34,142立米単価5,600円として340,957,080円を計上しているが、

(ア) 鋼製型わく費の算定にあたり、その数量を舗装厚20センチメートルの箇所の分延長30,020メートル、25センチメートルの箇所の分延長47,150メートル計77,170メートルとしているが、このうちには本件工事では舗装を施行しないエプロン等の型わく数量が誤って算入されているので、これを修正計算すると舗装厚20センチメートルの箇所の分は延長29,239メートル、25センチメートルの箇所の分は延長36,943メートル計66,182メートルとなり、また、損料、すえ付け、取りはずし費は立米当り舗装厚20センチメートルの分310円15、25センチメ−トルの分268円36と積算しているが、うち、すえ付け、取りはずし費のメートル当り137円81の内訳についてみると、すえ付け用留めピンを木製型わくの場合の2倍を見込みメートル当り4本を要するものとしているが、一般に鋼製型わくには3メートル当り5本程度を使用することとなっているので、メートル当り2本を見込めば足りるものと認められ、このほか、型わくの現場運搬に使用するトラック(4トン車)は、型わく延長100メートル当り1日1台を見込んでいるが、鋼製型わくは100メートル当り4,100キログラムで、1日のコンクリート打設量から型わくの長さを計算すると300メートル程度となり1日当りの型わく運搬重量は約12トン程度であるので、4トン車の場合には平均300メートル当り1日1台を見込めば足りるものと認められ、いま、以上により修正計算すると型わくすえ付け、取りはずしのメートル当り単価は95円06となり、型わく費は立米当り舗装厚20センチメートルの分は213円97、25センチメートルの分は208円39となる。

(イ) 目地費の算定にあたっては、舗装コンクリート立米当り185円と積算しているが、上記型わく費の場合と同様、舗装を施行しないエプロン等の目地延長を誤って算入し縦方向施工目地等計126,310メートルとしており、これを修正計算すると108,159メートルとなり、立米当り目地費は154円56となる。
 いま、上記修正単価によりコンクリート舗装工の積算価格を修正計算すれば、立米当り単価舗装厚20センチメートルの分5,592円、25センチメートルの分5,516円、総額で334,994,248円となり、本件積算額は5,962,832円が過大となっている。

(2) 滑走路、誘導路およびエプロン等の基層工は、厚さ20センチメートルの分21,130平米、30センチメートルの分271,360平米を施行するもので、これに使用する基層材は切込砂利および在来舗装コンクリートを破砕したものに現地土を混ぜ合わせたうえシープフートローラー、タイヤローラー等により所要の厚さに転圧し仕上げるものであるが、このうちタイヤローラーによる施工は、転圧回数を13回または18回と見込み、うち9回または14回はトラクターけん引のタイヤローラー、残りの4回は仕上げとして自走式タイヤローラーによることとし、平米当り単価厚さ20センチメートルの分230円、30センチメートルの分820円または320円として211,125,100円を計上している。しかし、路床の転圧は土質等の条件によりけん引式を使用する場合もあるが、造成された路床の上部に施工する基層の転圧には作業条件、施行能力のすぐれた自走式を採用するのが経済的であるので、タイヤローラーは自走式により施行するものとして積算するのが適当であったと認められる。
 いま、自走式により施行するものとして基層工の積算価格を修正計算すれば、平米当り単価厚さ20センチメートルの分227円、30センチメートルの分812円または315円、総額で208,988,330円となり、本件積算価格は2,136,770円が過大となっている。
いま、仮に以上各項により予定価格を修正計算すれば総額841,153,326円となり、本件工事費はこれに比べて約780万円高価となっていると認められる。