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  • 昭和36年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 物件

携帯電話機の購入価額が高価と認められるもの


(574) 携帯電話機の購入価額が高価と認められるもの

 日本国有鉄道資材局で、昭和36年3月から37年3月までの間に、公開競争入札後の公正協議による契約により共成電機株式会社から10回にわたり携帯電話機2,572個を単価13,900円総額35,750,800円で購入しているが、価格の調査検討が不十分なため予定価格が過大となり、購入価額が約320万円高価となっていると認められる。
 本件携帯電話機は、通信線路の保守等を行なう際の連絡用として携帯使用するもので、その予定価格は、本品の製作を行なっている沖電気株式会社から提出された原価計算書および日本電信電話公社が前記会社から本品と類似の携帯電話機を購入した際の原価計算において採用した乗率を参考としたとして1個当り13,900円と算定し、前記のとおり年間を通じこれと同価で購入したものである。

 しかして、日本電信電話公社では、同公社購入品の原価計算価格を1個当り9,685円とし9,671円で購入しており、前記製作会社の販売価格表の価格9,735円とほぼ同額となっているもので、本件予定価格および購入価格は同公社のそれに比べてそれぞれ4,215円、4,229円の開差を生じているが、本件購入品と同公社購入品とを比較すると、本件購入品には接地棒およびそのリード線が付属していることおよび磁石発電機ほか7点の部品の規格等が若干相違していることを除き、両品の主要な構造、使用部分品等はほとんど同一であって、これらの相違に基づく材料等の価格差は1,652円にすぎず、これに一般管理費利益率を考慮しても、日本電信電話公社の原価計算価格より2,000円程度高価となるにすぎない状況であり、本件予定価格は高価となっていると認められる。
 いま、仮に前記日本電信電話公社の原価計算価格に規格の相違による価格差を加算することとし、このうち一般管理費利益率は同公社採用のそれよりも高率となっている当局採用の25.4%により、また、一般に官公庁に対する電話機類の納入は同公社購入価格に5%程度を加算した額で行なわれている実情にかんがみさらに5%を加算し、これに当局算定の荷造運送費160円をそのまま加算して計算すると1個当り12,647円、総額は32,528,084円で本件購入価額はこれに比べて約320万円高価となっていると認められる。