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  • 昭和37年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第8 郵政省|
  • 不当事項|
  • 不正行為

職員の不正行為により国に損害を与えたもの


(549)−(554) 職員の不正行為により国に損害を与えたもの

(郵政事業特別会計)
(簡易生命保険及郵便年金特別会計)

 川口元郷郵便局ほか11箇所(注) で、昭和32年1月から38年5月までの間に、関係職員により繰替払現金をほしいままに領得されたものが1事項5万円以上のもので12事項9,356,731円(うち38年9月末現在補てんされた額3,201,373円)ある。
 本件は、各郵便局において、

(ア) 保険担当の外務員が簡易生命保険保険料の収納事務等に従事中、簡易生命保険保険料を受領しながら受入処理をしないで領得したもの、

(イ) 窓口事務担当の内務員が貯金、保険等の現金受払事務に従事中、郵便貯金預入金、簡易生命保険保険料を受領しながらその全部もしくは一部について受入処理をしなかったり、または郵便貯金払いもどし金受領証を偽造したりして現金を領得したもの、

(ウ) 特定郵便局長が分任繰替払等出納官吏として勤務中、郵便貯金払いもどし金受領証を偽造したり、または定額郵便貯金証書を預かり保管中ほしいままに払いもどししたりして領得したもの
のほか、給与事務担当の職員が所得税相当額を領得したものなどである。

 以上のほか、繰替払現金等を領得されたもので全額補てんされたものが1事項5万円以上のもので50事項37,261,081円あり、このうちには職員を監督する地位にある特定郵便局長により領得されたものが7事項23,434,714円ある。
 これら不正行為に対しては、当局においてもその未然防止および早期発見に努めており、また、本院においても37年10月これが防止対策につき改善の意見を表示したところであるが、なおこのような事例とくに管理者の不正行為が絶えないのは遺憾である。
 前記12事項9,356,731円のうち1事項50万円以上のものをあげると、次表のとおり6件7,609,710円(うち38年9月末現在補てんされた額2,571,008円)である。
(注)  次表に掲記した箇所のほか、中原、徳山、八幡、豊平、虻田各郵便局および横浜逓信病院

庁名 不正行為をした職員 不正行為期間 不正行為金額 補てんされた額
(38.9.30現在)
年月
(549) 東京郵政局管内
 川口元郷郵便局 郵政事務官
 小林某
32.12から
37.9まで
606,560 132,500
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金払いもどし金受領証を偽造して、または積立郵便貯金預入金等の預入報告をしないなどの方法により領得したものである。
(550) 名古屋郵政局管内
 熊野郵便局 郵政事務官
 村井某
35.12から
37.8まで
1,337,060 1,206,126
同人が庶務会計課給与事務担当者の補助者として給与事務に従事中、職員の給与を出納官吏から受領するにあたり、現金支給額だけを同出納官吏から受領することとなっているのに源泉所得税額を含めて受領し、同所得税額の全部または一部をそのまま領得したものである。
(551) 名古屋郵政局管内
 大河内郵便局 出納員
郵政事務官
 三田某
33.8から
38.2まで
1,815,082 475,082
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金払いもどし金受領証を偽造して、または通常郵便貯金預入金の預入報告をしないでもしくは少額にし、あるいは定額郵便貯金の預入報告をしないで領得したものである。
(552) 仙台郵政局管内
 強首郵便局 出納員
郵政事務官
 今某
36.3から
37.10まで
832,030 333,530
同人が窓口で現金受払事務に従事中、通常郵便貯金預入金の預入報告をしないで、または通常郵便貯金払いもどし金受領証を偽造するなどの方法により領得したものである。
(553)  同
 西馬音内郵便局 出納員
郵政事務官
 高橋某
32.1から
37.7まで
1,542,645 73,000
同人が窓口で現金受払事務に従事中、簡易生命保険保険料の受入報告をしないで領得したものである。
(554) 札幌郵政局管内
 札幌豊平郵便局 分任繰替払等出納官吏
特定郵便局長
 阿部某
35.3から
37.4まで
1,476,333 350,770
同人が特定郵便局長として勤務中、通常郵便貯金払いもどし金受領証を偽造して、または定額郵便貯金証書を預金者から預かり保管中ほしいままに払いもどしして領得したものである。
7,609,710 2,571,008