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  • 昭和37年度|
  • 第2章 国の会計

昭和36年度決算検査報告掲記の是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項に対する処置状況


第9節 昭和36年度決算検査報告掲記の是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項に対する処置状況

 昭和36年12月から37年11月までの間に、不当と認めた事項につき是正改善の処置を要求し、または法令、制度もしくは行政に関して改善の意見を表示したものとして、昭和36年度決算検査報告に掲記した事項に対し、その後当局においてとっている是正改善処置の状況は、38年9月末現在、次のとおりである。

(1) 国立学校に所属する国有財産の管理について是正改善の処置を要求したもの  (昭和37年11月14日付け37検第537号 文部大臣あて)

 文部省においては、国有財産の管理の改善をはかるため、人員および予算を増加するなどして、管理および監査の体制を強化するとともに、昭和37年12月、文部事務次官通達をもって、各国立学校の長に対し、国有財産の管理に遺漏のないよう指示した。事項別の是正状況は次のとおりである。

1 行政財産の使用目的にそわないもの

 指摘した9件のうち、土地の大部分を用途廃止して大蔵省に引き継ぎ残地を利用しているもの、土地の大部分を返還させたものそれぞれ1件、用途廃止等の処理を進めているもの7件である。

2 遊休と認められるもの

 指摘した6件のうち、行政財産の使用目的に従って利用することとなったもの3件、用途を廃止したもの2件、交換の処理を進めているもの1件である。

3 許可なく使用されているもの

 指摘した1件についてはその原状回復の処理を進めている。

(2) 土地改良事業によって造成した埋立地等を転用する場合における造成費の回収について改善の意見を表示したもの  (昭和37年6月21日付け37検第268号 農林大臣あて)

 農林省においては、国営土地改良事業により造成した埋立地等の所有権を取得した者が、その土地を取得した日から起算して8年を経過しない間に他用途に転用した場合、または他用途に転用することを目的として所有権を移転しもしくは使用収益に関する権利を設定した場合には、特定の場合を除き、上記埋立地等の取得者から当該土地の造成にかかる国営土地改良事業に要した費用の一部を徴収することができることとし、これによって国が投下した造成費を回収することができるよう、土地改良法(昭和24年法律第195号)の一部改正の手続中である。

(3) 国営農業水利事業とこれに付帯する都道府県営および団体営補助事業の施行計画について改善の意見を表示したもの  (昭和37年11月22日付け37検第558号 農林大臣あて)

 農林省においては、国営付帯都府県営補助事業の促進をはかるため、新規地区採択にあたって、同事業が従来予算の関係上、一般都府県営補助事業とともに年間1地区3億円、総地区数20、総事業費60億円以内の制限内にあったため、適期に採択することができなかったものを、この制限外で行なうことができるよう処置した。これによって、新規着工は、昭和37年度においては1地区であったものが、38年度には4地区と増加した。さらに、補助金予算も、38年度は14億5000万円となり、37年度の11億8779万余円に比べて22%増となっている。また、38年4月、農地局長通達をもって、各地方農政局長に対し、国営都府県営事業に関連する地区の団体営事業の予算割当てに際しては、これら事業の進ちょくに比べては行をきたさないように配慮するよう指示している。

(4) 自作農創設特別措置特別会計に所属する財産の管理について是正改善の処置を要求したもの  (昭和37年6月21日付け37検第267号 農林大臣あて)

 農林省においては、財産管理の事務体制強化をはかるため、昭和38年5月、事務分掌及び組織の細目に関する規程(昭和31年12月農地局長通達)を改正し、本省管理部農地課に管理班、各地方農政局に国有財産係をそれぞれ新設し、既墾地と未墾地とが分離していた従来の管理指導事務体制の一元化をはかり、また、38年3月、農地局長通達をもって管理人設置要領を定め、既墾地279名、未墾地306名の管理人を委嘱して不法行為を未然に防止するよう処置するとともに、管理に要する経費も38年度は6370万円とし、37年度の5135万余円に比べて1234万余円増額している。

 事項別の是正改善状況は次のとおりである。

1 農業上の用に供するため貸付けを行なっているもののうち他用途に転用されているもの

 38年8月、農地局長通達をもって、貸付条件に違反している事態をその内容ごとに分類し、それぞれ具体的な処理方法を定め早急な処理の促進をはかっているが、指摘した26件弁償金5,249,616円のうち、是正済みのものは12件弁償金徴収決定済額2,721,221円となっている。

2 農業上の用に供しないことが明らかであるのに一時貸付けを継続しているもの

 37年8月、農地局長通達の一部を改正し、一時貸付けしているもののうち一定条件に該当するものについては、都道府県からの進達をまたないで国が一方的に農地法(昭和27年法律第229号)第80条の不要地認定を行なったり、買収前の所有者から誓約書を徴して売払処分等を行なったりするなどの方途を講じ、これら事案の処理の促進をはかっているが、指摘した25件のうち、是正済みのものは14件となっている。なお、長期間にわたり使用料を改訂しないため、使用料が低廉となっているものについては、37年9月、農地局長通達をもって38年度から適正な使用料に改訂する処置をとることとした。

3 所在または境界が不明となっているもの

 38年度において境界確定費を115万余円(37年度38万余円)に増額し、所在または境界不明の事態の解消に努めているが、指摘した13件のうち、是正済みのものは9件となっている。

4 無断で使用されているもの

 1に準じて処理しているが、38年度において処理経費を188万円(37年度28万余円)に増額し処理の促進に努めているが、指摘した130件弁償金36,353,946円のうち、是正済みのものは72件弁償金徴収決定済額4,946,257円となっている。

5 農耕または開拓不適地を長期間保有しているもの

 すみやかに不要地認定を行なって売払いの処置をとるよう基準の作成等を検討中であるが、指摘した19件のうち、処理済みのものは11件となっている。

(5) 郵便局における不正行為の防止対策について改善の意見を表示したもの  (昭和37年10月22日付け37検第503号 郵政大臣あて)

 郵政省においては、不正行為防止に必要な業務管理の方法および業務取扱手続等について、次のような処置を講じている。

(ア) 新たに郵便貯金の現在高と元加利子を通知する制度を設け、昭和38年8月から実施している。

(イ) 業務考査または会計監査のため特定郵便局に臨局の際、当日来局した預金者の貯金通帳の現在高等を記録し、原簿と照合することを実施している。

(ウ) 通常郵便貯金の現在高の対照および定額郵便貯金の預金者に対するあいさつ状の発送について、その実施範囲を拡大した。

(エ) 貯金通帳または貯金証書を引き上げて原簿と対査することは通常郵便貯金の現在高の対照実施に伴い中止していたが、前記(ウ)と並行して重点的に実施している。

(オ) 貯金通帳等の保管および払いもどし金受領証等の代書について具体的手続きを定め、その規制を強化した。

(6) 建設省直轄河川工事において河川の敷地とするため買収した土地の管理について是正改善の処置を要求したもの  (昭和37年11月14日付け37検第538号 建設大臣あて)

 建設省においては、河川工事の施行および河川の管理について責任と権限を一元化し責任体制を明確化するとともに、河川予定地についても、河川管理者が権限を取得した以後は当該土地が河川区域に指定される以前においても河川法(明治29年法律第71号)が適用されることとなるよう、同法の改正の手続中であり、また、昭和38年1月、河川局長通達をもって、各地方建設局長等に対し、工事用地引継ぎの促進、不法占用の是正等を指示しているほか、38年度において新たに利根川上流ほか3工事事務所に河川管理係を設置し計21人を配置している。
 事項別の是正状況は次のとおりである。

1 無断で使用されているもの

指摘した280件24,901坪のうち12件618坪が是正され、また、農耕地の無断使用3,037反のうち130反が是正されている。

2 引き継がれていないのに県知事において占用を許可しているもの

 指摘した512件50,793坪のうち9件8,370坪が是正され、また、農耕地1,593反についてはすべて是正済みである。