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  • 昭和37年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

高架橋基礎ベノトくいの新設にあたり施行時間等の算定が適切でなかったため工事費が高価と認められるもの


(641) 高架橋基礎ベノトくいの新設にあたり施行時間等の算定が適切でなかったため工事費が高価と認められるもの

 (工事勘定) (項)諸設備費

 日本国有鉄道大阪工事局で、昭和37年6月および10月、指名競争契約により清水建設株式会社および太平建設工業株式会社に大阪環状線福島西高架橋基礎ベノト杭新設工事および岡松寺高架橋基礎ベノト杭新設工事を総額61,388,269円(当初契約額58,569,880円)で請け負わせ施行しているが、施行時間および機械損料等の算定が適切でなかったため、ひいて工事費が約490万円高価となっていると認められる。
 本件両工事は、大阪環状線高架橋新設工事の一

部として鉄筋コンクリート基礎ぐい110本延2,722メートルをベノト掘さく機を使用して施行するものであるが、その予定価格の積算についてみると、

(ア) ベノトくい打込みは、1本当りの平均所要時間の算定にあたり、東京操機工事事務所で同環状線高架橋新設工事の一部として施行したベノトくい新設工事の施行実績平均18.5時間を参考することとし、これに現場作業条件等による修正を考慮するとして1.5時間を加算したうえさらに休憩時間として2時間を加算して1本当り平均22時間とし、ベノト掘さく機の損料24,515,761円および労務費4,733,410円計29,249,171円を積算している。
 しかしながら、前記18.5時間は施行の実績であって、その現場条件等を反映しているばかりでなく、本件工事現場の条件は同工事事務所施行のものとほとんど同一であるからその実績に現場作業条件等による修正を加える要はないものと認められること、また、この実績時間には休憩時間が含まれているものであるからさらに休憩時間を加算する要はないと認められることなどからみて、本件積算にあたっては前記実績をそのまま採用すれば足りたものと認められる。
 また、上記ベノト掘さく機の損料は、掘さく機本体(ケーシングチューブ、付属機器および予備品を含む。)および掘さく機の移送に使用する走行装置の合計価格61,812,000円を基礎とし、掘さく機本体の使用時間により計算しているが、走行装置は常時使用するものではなく現場を大移動する際に使用するものであるから、これを本体とともに損料計算するのは適当でなく、日本国有鉄道の定めた基準により存置日数と使用時間に応ずる損料を計算すれば足りるものと認められる。
 いま、仮に上記により機械損料および労務費を計算すると21,103,643円および4,107,896円計25,211,539円となり、本件積算額はこれに比べて4,037,632円過大となっていると認められる。

(イ) ケーシングチューブの接続に使用するラビットロックは、くい1本当り1.5個を損耗することとしてその損料1,514,932円を積算しているが、同工事局および前記工事事務所で採用している日本建設機械化協会の資料によっても、ラビットロックはケーシングチューブに含めて損料計算を行なうこととしているもので、これにより計算すれば192,281円となり、本件積算額はこれに比べて1,322,651円過大となっていると認められる。
 以上各項により、予定価格と契約額との差額を考慮して工事費を修正計算すると総額56,450,586円となり、本件工事費はこれに比べて約490万円高価となっていると認められる。