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  • 昭和37年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

トラフ新設にあたり設計が適切でなかったため不経済となっているもの


(643) トラフ新設にあたり設計が適切でなかったため不経済となっているもの

(工事勘定) (項)東海道幹線増設費

 日本国有鉄道東京電気工事局で、東京幹線工事局の委託により、昭和38年2月、指名競争契約により日本電設工業株式会社に新横浜、平塚変電所間特高ケーブル用トラフ新設その1工事を28,334,497円(当初契約額27,350,000円)で請け負わせ施行しているが、設計が適切でなかったため約350万円が不経済となっていると認められる。
 本件工事は、東海道幹線増設に伴う送電線70,000ボルト用特別高圧ケーブル2条を収容するため、同幹線モデル線のうち約7.5キロメートルの区間の路盤および高架橋に幅510ミリメートルおよび570ミリメートルのトラフ管路を新設するものであるが、その設計についてみると、 

(ア) 路盤のうち切取区間2,804メートルのトラフ敷設(工事費相当額8,776,275円)は、厚さ100ミリメートル、幅360ミリメートルまたは510ミリメートルの基礎コンクリートを全区間に打設し、この上に長さ250ミリメートル、幅510ミリメートル、高さ100ミリメートルのコンクリートブロックを0.5メートル間隔(コンクリートブロックの中心から中心までの間隔をいう。以下同じ。)に置き、その上に厚さ6ミリメートル、山高50ミリメートルの等辺山形鋼を、基礎コンクリート幅360ミリメートルの区間(2,350メートル)には両側に、また、基礎コンクリート幅510ミリメートルの区間(453メートル)には外側に取り付け、これにトラフを敷設することとしている。
 しかして、コンクリートブロックの間隔と山形鋼の大きさとは相互に関連があるから、設計の際、強度、組合せ等について十分比較検討のうえこれを決定すべきであったのに、その検討が不十分なまま上記のように設計、施行しているのは適切でなく、会計実地検査の際における調査によれば、本件区間の土質およびトラフ等の重量を考慮すると、コンクリートブロックは長さ200ミリメートル、幅510ミリメートル、高さ100ミリメートルのものを1メートル間隔に施設し、これに厚さ6ミリメートル、山高50ミリメートルの等辺山形鋼を取り付けた方が経済的で適当であり、また、全区間に打設した基礎コンクリートはトラフ管路を平たんにするため打設したとしているものであるが、上記コンクリートブロックと山形鋼によりトラフ敷設面を平たんにすることができるばかりでなく、本区間は切取路盤で地盤沈下のおそれもないから、基礎コンクリートを全区間に打設する要はなく、上記コンクリートブロックの安定のためその高さを根入れ相当部分150ミリメートル程度余分に施行することとすれば足りるものと認められる。

(イ) 路盤のうち盛土区間2,798メートルのトラフ敷設(工事費相当額10,295,965円)は、前項同様十分な比較検討を行なうことなく、基礎コンクリートを全区間に打設し、この上に長さ300ミリメートル、幅510ミリメートル、高さ250ミリメートルのコンクリートブロックを1.5メートル間隔に置き、その上に厚さ6ミリメートル、山高75ミリメートルの等辺山形鋼を両側に取り付け、これにトラフを敷設することとしているが、コンクリートブロックの間隔、トラフ等の荷重の分散等を考慮すれば、コンクリートブロックは長さ300ミリメートル、幅510ミリメートル、高さ100ミリメートルのものを1メートル間隔に施設し、山形鋼は厚さ6ミリメートル、山高50ミリメートルの等辺山形鋼を使用するのが適当と認められる。
 いま、仮に本件設計にあたり、コンクリートブロックの間隔は切取り、盛土両区間とも1メートル、山形鋼は厚さ6ミリメートル、山高50ミリメートル、コンクリートブロックは切取区間については長さ200ミリメートル、幅510ミリメートル、高さ250ミリメートル、盛土区間については長さ300ミリメートル、幅510ミリメートル、高さ100ミリメートルのものを使用するものとしたとすれば、トラフ敷設工事費は、前記(ア)の切取区間については7,287,839円、(イ)の盛土区間については8,279,441円で足り、本件工事費に比べて約350万円を節減することができたものと認められる。