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  • 昭和37年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 物件

腕金等の購入にあたり溶接時間を過大に積算したため購入価額が高価と認められるもの


(644) 腕金等の購入にあたり溶接時間を過大に積算したため購入価額が高価と認められるもの

 日本国有鉄道関東地方資材部で、昭和38年1月から3月までの間に、指名競争契約による単価契約により日本架線工業株式会社ほか2会社から腕金直径250ミリメートルほか2点計10,259個を価額17,091,415円および電柱バンド直径265ミリメートルほか3点計18,788個を価額26,266,460円総額43,357,875円で購入しているが、溶接時間を過大に積算したため予定価格が過大となり、購入価額が約480万円高価となっていると認められる。

 本件物品は、新幹線の電車線支持柱に、腕金は負き電線のちょう架用、電柱バンドは可動ブラケットの支持用として取り付ける金具であるが、その各寸法別の1個当り予定価格腕金250ミリメートル1,650円または1,760円、同265ミリメートル1,780円、同270ミリメートル1,680円および電柱バンド1号265ミリメートル1,415円、同1号285ミリメートル1,430円、同2号A260ミリメートル1,375円、同2号B265ミリメートル1,365円の算定方法についてみると、直接労務費のうち、溶接工については溶接時間を納入業者の見積溶接時間を参考とするなどして、1個当り腕金の場合には1.2時間、電柱バンドの場合には0.8時間を要することとしている。

 しかしながら、1個当りの溶接延長は、各仕様書によると、腕記の場合すみ肉550ミリメートル、突合せ70ミリメートル、電柱バンドの場合すみ肉418ミリメートルとなっているものであり、また、すみ肉溶接寸法については使用する鋼材の厚さ等を考慮すればいずれも5ミリメートル程度として積算すれば足りるものと認められ、この種製品の溶接時間についてはすみ肉溶接寸法6ミリメートルの場合1メートル当り0.8時間が妥当であり、本件腕金および電柱バンドをすみ肉溶接寸法6ミリメートルに換算すると、その1個当りの溶接延長は腕金568ミリメートル、電柱バンド293ミリメートルとなるもので、溶接所要時間は0.45時間または0.23時間で足りるものと認められる。

 いま、仮に1個当りの溶接所要時間を、腕金は0.45時間、電柱バンドは0.23時間とし、その他は当局の積算をそのまま採用して1個当り予定価格を修正計算すると、腕金250ミリメートルは1,456円または1,565円、同265ミリメートルは1,578円、同270ミリメートルは1,477円となり、また、電柱バンド1号265ミリメートルは1,265円、同1号285ミリメートルは1,278円、同2号A260ミリメートルは1,221円、同2号B265ミリメートルは1,214円となって、総額では38,499,966円となり、本件購入価額はこれに比べで約480万円高価となっていると認められる。