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  • 昭和37年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • その他

用地の買収等にあたり処置当を得ないと認められるもの


(648) 用地の買収等にあたり処置当を得ないと認められるもの

(工事勘定) (項)東海道幹線増設費

 日本国有鉄道大阪幹線工事局で、東海道幹線増設工事に伴い、京都府乙訓郡大山崎村所在の福田某所有の宅地、建物等の買収費および移転補償費として、昭和37年4月および5月、同人に総額215,010,420円を支払っているが、当該増設工事に要する用地は宅地の一部にすぎないものであるのに、全宅地、建物等について買収等をしたのは処置当を得ないと認められる。

 本件買収および補償は、幹線用地および西国街道の付替道路用地として、上記福田某所有の宅地のうちの一部を取得するにあたり、同人から土地、家屋の全面買収および遠隔地移転に伴う損失補償の要求があったのに対し、増設工事の工期上の制約を顧慮して、土地2,443平米、鉄筋コンクリート造り2階建ての建物1むね延167平米ほか付帯設備一式を120,227,000円で買収するほか、木造かわらぶき平家建て4むね延295平米ほか付帯設備一式を45,177,000円で移転補償することとして総額165,404,000円と算定し、これにさらに約30%増額して契約し、支払ったものである。

 しかしながら、本件幹線用地等として必要な土地は、211平米(当局評価額5,888,000円)で、本件宅地2,443平米の8.6%程度にしか相当しない道路に面した一隅にすぎず、また、同地上の支障物件(移転補償費、当局評定額20,285,900円)は、倉庫162平米、自動車庫33平米、表門等で本件残存宅地等には十分の余積もあるから、これらは容易に移設することができ、たとえ移設したとしても本件邸宅は従来どおり使用することが困難となるものとは認められないもので、このような場合は日本国有鉄道の従来の例によっても所要用地および支障物件だけの買収等にとどめることとしているのに、使用上格別の支障をきたすとは認められない邸宅等を含めて全面買収等を行なっているばかりでなく、土地、建物等の評定にあたり根拠もなく一律に約30%を増額しているのはその処置当を得ないと認められる。