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  • 昭和38年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項|
  • 第5 農林省|
  • 不当事項|
  • 工事

直轄工事の施行が不良なもの


(229)−(231) 直轄工事の施行が不良なもの

(特定土地改良工事特別会計) (項)土地改良事業費

(国有林野事業特別会計) (国有林野事業勘定) (項)国有林野事業費

 東北農政局八郎潟干拓事務所ほか1箇所で、工事の施行にあたり、監督および検収が当を得なかったため施行が設計と相違していて設計に比べて工事の効果が低下していると認められるものが次のとおりある。

 (229)  東北農政局八郎潟干拓事務所で、昭和38年8月、指名競争契約により株式会社大林組に20,330,000円で請け負わせ施行した西部承水路第5号橋梁工事その他工事は、12月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、うち道路法面コンクリートブロック張り工事の裏込砕石を設計と相違して施行したため、その効果が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、西部承水路を横断する道路延長356メートル等を施行するもので、うち道路の法面コンクリートブロック張り等2,064平米(工事費2,427,885円)は、設計書および図面によると、道路はしゅんせつした砂および山砂により造成し、かつ、両側が湖水に面しているので、砂の流出および凍上を防止してその保護と安定をはかるため裏込めに砕石を厚さ10センチメートルまたは15センチメートル総量285立米施行することとなっているのに、実際はかき込み砂利を厚さ2センチメートルから7センチメートル程度総量83立米施行したにすぎず、設計に比べてコンクリートブロック張りの効果が著しく低下しているものと認められる。
 本件に対しては、請負人の負担においてコンクリートブロック張り等を工事費2,004,000円で再施行した旨の報告があった。

 (230)  長野営林局で、昭和38年5月、指名競争契約により株式会社中島建設に9,231,116円で請け負わせ施行した浦川崩壊地復旧事業工事は、11月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、玉石コンクリートえん堤を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、大町営林署管内浦川国有林地内に37年度に築設した玉石コンクリートえん堤堤体の上部に玉石コンクリート1,011立米を打ち継ぎ、これをコンクリート厚さ20センチメートル総量136立米で被覆したものであるが、うち玉石コンクリート約64立米(工事費458,000円)およびコンクリート約38立米(工事費333,000円)はコンクリートの練混ぜ、つき固めおよび養生が不十分であったなどのため、硬化不十分な状態となっており、なかには凍結した箇所もあり、設計に比べてその強度が著しく低下しているものと認められる。
 本件に対しては、請負人の負担において施行不良部分を工事費約106万円で再施行する旨の報告があった。

 (231)  長野営林局で、昭和38年6月、指名競争契約により株式会社岩手屋に28,805,550円で請け負わせ施行した太田切林道新設工事は、39年1月、設計どおりしゅん功したものとして検収を了しているが、コンクリート工事等を設計と相違して施行したため、その強度が設計に比べて著しく低下していると認められる。
 本件工事は、林道延長1,583メートルを新設するにあたり、崩落防止工コンクリートおよび擁壁コンクリート318立米等を施行したものであるが、うち崩落防止工および擁壁141立米(工事費1,231,000円)ならびに練積石垣46平米(工事費152,000円)についてみると、崩落防止工の脚部および擁壁のコンクリートならびに練積石垣の胴込コンクリートは、練混ぜ、つき固めおよび養生が不十分であったなどのため、凍結したり、砂利だけの層を生じたりしていて、崩落防止工は上部構造部分の荷重からみてその安定性があやぶまれ、擁壁および練積石垣は設計に比べて強度が著しく低下しているものと認められる。

 上記のほか、同営林局で38年9月前記会社に8,283,846円で請け負わせ施行した上記林道新設追加工事(延長844メートル)においても、うち擁壁コンクリート31立米(工事費275,000円)はコンクリートの施行状況が上記同様であったため、すでにき裂を生じ倒壊のおそれがあり、設計に比べて強度が著しく低下しているものと認められる。
 本件両工事に対しては、請負人の負担において工事費約60万円で、崩落防止工脚部および練積石垣については再施行し、擁壁については前面にコンクリートで増厚等を行なう旨の報告があった。