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  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
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車両用継電器の調達方法が適切でなかったため不経済となっているもの


(608) 車両用継電器の調達方法が適切でなかったため不経済となっているもの

 日本国有鉄道資材局で、昭和38年3月から9月までの間に、公開競争契約、指名競争契約または指名競争後の公正協議による契約により株式会社小糸製作所および森尾電機株式会社から車両用継電器RL 630A E52055aほか3品形1,047個を単価12,000円から13,100円総額12,803,600円で購入しているが、調達方法が適切でなかったため、約240万円が不経済となっていると認められる。

 本件車両用継電器は、いずれも運転事故防止のため電車等に設備するデッドマン装置用の部品であって、継電器本体に外箱を、また、一部についてはさらにブザーを付けたものであるが、その予定価格の算定にあたっては、主体である継電器本体は上記両会社が東京芝浦電気株式会社から購入するものとし、RL630A E52055aについては、その本体価格は別途同局において電車の電動機の起動回路用として同会社から購入している場合の価格8,800円をそのまま採用し、これに外箱の製作費等計1,424円を加え製作原価を10,224円としたうえ、さらに管理販売費および利益として製作原価の17.6%1,799円を加算して予定価格を12,000円と算定し、他の3品形RL640 E52588、RL640 E52588aおよびRL630A E52885については、形状、構造ともほぼ同じとして、前記予定価格をそのまま採用するか、または前記予定価格にブザー取付費を加算するなどして、それぞれの予定価格を12,000円、12,800円および13,100円と算定し、いずれもこれと同額で契約を締結しているものである。

 しかしながら、RL630A E52055aの本体は従来から同局で東京芝浦電気株式会社から購入しているものであり、他の3品形の本体についても構造、形状ともほぼ同一のものでいずれも同会社から直接購入することが可能であると認められるし、外箱およびブザーは、その製作にとくに高度の技術を要するものでないから、この種の専門製作業者から購入することは容易であり、かつ、これらを組み立てる作業もねじ数本で締着すれば足りる簡単なものであるなどの事情から、これらを別個に購入したうえ部内工場において車両に装着することとしてもなんら支障はなかったものと認められる。現に、同局で38年7月および10月大井ほか3工場分としてRL630A E52055aの本体524個を東京芝浦電気株式会社から直接1個当り8,800円で購入し、関東地方資材部で38年9月大井工場分として外箱464個をその予定価格1個当り670円としてこれを下回る価格で株式会社大和製作所から購入し同工場において装着することとしている状況であって、これらの事情を勘案すれば、本件継電器の購入にあたっては、その本体、外箱およびブザーをそれぞれ別個に購入する調達方法をとる方がより有利であったと認められる。

 いま、仮に本件継電器について本体、外箱およびブザーをそれぞれ別個に購入したうえ、各工場で装着することとし、本体およびブザーの価格については同局の、外箱の価格については同地方資材部のそれぞれの積算価格により、また、取付工費を工作局計算による103円または155円として1個当り価格を計算すると、RL630A E52055aおよびRL640 E52588は9,573円、RL640 E52588a は10,425円ならびにRL630A E52885は10,725円となって、これに所要の運賃を見込んでも本件車両用継電器の取得価額は約1035万円となり、本件購入価額に比べて約240万円を節減することができたものと認められる。