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  • 昭和38年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計

改善の意見を表示した事項


第4節 改善の意見を表示した事項

 昭和38年12月から39年11月までの間に、会計検査院法第36条の規定に基づき、責任者に対し、法令、制度または行政に関して改善の意見を表示したものは次のとおり4件である。

(1) 自営電力施設の管理について改善の意見を表示したもの (昭和39年11月17日付け39検第580号 日本国有鉄道総裁あて

 日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)における昭和38年度の電気運転用等の総需要電力量は37億余キロワットアワーで、その約43%に当たる15億余キロワットアワーを給電している東京給電管理局は、自営の信濃川水系千手、小千谷両水力発電所および川崎火力発電所において発電した電力を関東一円およびその近県の自営電力供給区間に運転用等として供給し、あわせて東京電力株式会社と電力の融通をはかるなど、給電の管理に当たっていて、近年とくに朝夕の電力需要のピーク時は自営電力による供給力に相当の不足を生じている状況であるが、逐年電力需要が増大しつつある折から、下記のとおり、施行途中で中断している発電工事を完成したり、現有の発電設備やその運転方法等を改善したりするなどして経済的な運営に努める要があると認められるものがある。

(1) 信濃川水力発電第4期工事について

 信濃川水力発電第3期工事で設置した小千谷発電所に、さらに第4期工事として総工事費約56億円をもって水路ずい道1条(延長15.6キロメートル)、発電機(出力2万5000キロワット)2台等を増設するため、32年6月に着手し、37年度までに水路ずい道の一部分(4.4キロメートル)、4号発電機等約21億円の工事を施行したまま残工事の実施を中止し、その再開の確実な目途もたたない状況となっている。このため上記水路ずい道工事はわずかに施行したまま放置され、発電機1台はその機能を十分発揮するにいたらず、結局、小千谷発電所の上流にある千手発電所で第1段の発電を行なった水の約30%は小千谷発電所で利用されることなく放流されている状況である。
 しかして、自営電力供給区間の電力不足がますます増大してゆく見込みであるのに対し、本件地点が過去における多額の投資によりきわめて有利な水力開発地点となっているのに、上記のような状況のまま放置しておくことははなはだ不利なことと認められるので、電力需給の将来計画について総合的に考慮し、早期に完成するよう検討の要があると認められる。

(2) 小千谷発電所における発電機用水車の羽根車について

 信濃川水力発電第3期工事により設置した小千谷発電所の1号、2号発電機および3号発電機の水車羽根車3台(以下「旧羽根車」という。)は、いずれも同一設計であるが、水圧脈動による振動が発生したのに対し、予備として受け入れた1台は振動の発生が少なく、かつ、低落差の場合においても効率のよい羽根車(以下これと同じものを「新羽根車」という。)であったので、その後第4期工事として施行した4号発電機の羽根車も新羽根車を取り付けることとしたものである。
 しかして、これら羽根車の効率試験によると、とくに調整池のたん水を通水して使用するときは、旧羽根車を使用した場合に比べて新羽根車は出力が約5.4%増加することとなっているから旧羽根車に代えて新羽根車を使用すれば、発電量が増加し、それだけ別途川崎火力発電所で自営している単価の高い電力または電力会社からの融通受けの電力量を減らすことができるので、調整池のたん水を通水して運転する2号機および3号機の羽根車についてはすみやかに新羽根車に取り替えるよう検討の要があると認められる。

(3) 信濃川発電所調整池について

 千手発電所の浅河原調整池および下流の小千谷発電所山本調整池は、それぞれ昭和19年に満水面積約14万3000平米、有効貯水量約85万立米、29年に満水面積約16万2000平米、有効貯水量約100万立米の規模で築造され、ともに自営電力供給区間の電車等の運転閑散時に貯水し、朝タのピーク時にこれを放水し、発電量を増加することにしているものであるが、これらの調整池は、築造以来逐年泥砂がたい積し、これに伴い有効貯水量が減少したため、ピーク時の放水による発電量が減少している状況であるので、調整池の有効貯水量の増加をはかることはきわめて有効であると認められる。
 とくに、浅河原調整池については、泥砂約14万立米がたい積し、当初の有効貯水量約85万立米は約71万立米に減少しているが、同調整池には隣接して国鉄用地があるので、工法等を考慮のうえ、この用地を利用して調整池を拡張しまたはたい積泥砂を排出するなどの方途を講じて有効貯水量の増加をはかるよう検討の要があると認められる。

(4) 川崎発電所における発電機の運転方法について

 川崎発電所において、1号発電機(出力6万キロワット)および2号発電機(出力7万5000キロワット)の運転にあたり、最大負荷における出力が1号機よりも2号機が高いとして2号機を優先使用しているが、負荷によって両機に効率の差異があるから、それぞれに適切な負荷配分を行なえば、現在よりも経済的な運転をすることができるので、運転方法について検討の要があると認められる。

(5)変電所等の受送電設備の保守について

 変電所等の受送電設備の保守については、設備が比較的古い時期の施行にかかるもので、最近の設備に比べて経済的と認め難いものも見受けられるから、国鉄の電気運転関係のほとんどの変電所に遠方制御方式が採用されている現状にかんがみ、遠方制御方式を採用して保守の経済化をはかるよう検討の要があると認められる。

(2) 高速自動車国道のコンクリート工事について改善の意見を表示したもの (昭和39年11月26日付け39検第590号 日本道路公団総裁あて

 日本道路公団における高速自動車国道の建設は、重要地域を連絡して国土の普遍的開発をはかり、産業発展の基礎となる全国的な自動車交通網を構成する計画のもとに、現在名神高速道路をほぼ完成し、引続き東名高速道路および中央高速道路を建設中で、逐年その工事量は増大し、これに使用するコンクリートの打設量もぼう大となっているが、昭和39年中にこれら建設工事の施行について検査した結果、コンクリートの配合設計に経済性の配慮が足りなかったり、その打設費の算定が実情にそわなかったりしているため不経済となっていると認められる事例が下記のとおりある。

 このような事態を生じているのは、コンクリートの配合設計にあたり、示方配合は、当初仮定した暫定的配合に基づき試験練りしたうえセメント使用量の少ない経済的な配合を決定することと定められているのに、実施部門に対する指導が徹底を欠いたなどのため経済的な配合についての配慮がなされなかったり、コンクリートの打設費の積算にあたり、打設単価は施行の実態や実績により算定すべきであるのに、これらに対する検討が足りなかったりしたことによるものと認められる。したがって、今後コンクリート工事が増加する状況にかんがみ、これらの点に十分留意するとともに、経済的施行の認識を部内に周知徹底させ、建設費の効率的使用をはかる必要があると認められる。

(1) コンクリートの配合設計について

 名神高速道路建設工事におけるコンクリートの配合にあたっては、設計圧縮強度、スランプ(コンクリートのやわらかさなどの程度を測定するために用いる数値)、粗骨材の最大寸法等の設計基準を土木工事共通仕様書で規定したうえ、暫定的配合として単位セメント量、単位骨材量等を特記仕様書で指示し、現場の示方配合は上記の設計基準等に基づいて監督員が試験練りの結果定めることとしている。しかして、通常、試験練りの目的は、作業が可能な範囲内でできるだけ単位水量を少なくし、耐久性と設計圧縮強度とを考えて水セメント比を定め、単位セメント量を少なくした経済的な示方配合を設計することにあるのに、本件工事のうち、栗東、小牧間の各工事において、高架工事の橋脚、橋台等の築造に使用するコンクリートの大部分を占める設計圧縮強度平方センチメートル当り240キログラム(以下「キログラム」をもって平方センチメートル当り圧縮強度を示す。)、スランプ5センチメートルから10センチメートルまで、粗骨材の最大寸法25ミリメートルの鉄筋コンクリート用コンクリートの示方配合についてみると、試験練りの結果、単位水量を暫定的配合の場合より大幅に減量することができたものであるから、所要圧縮強度、耐久性の面からみても、これに応じて単位セメント量を減量することができたものと認められるにもかかわらず、暫定的配合の単位セメント量310キログラムをそのまま全工事に一律に適用している。このため、これらの示方配合による実績をみても、圧縮強度は平均330キログラム程度となっていて、設計圧縮強度240キログラムに比べて約37%も上回っている。

 しかして、普通程度の作業管理を行なう場合、通常、設計圧縮強度に15%程度の割増しを加算した圧縮強度を定め、これを目標として均質なコンクリートを打設すれば足りるものとされており、同公団においても暫定的配合における目標圧縮強度は設計圧縮強度240キログラムに15%を加算した276キログラムとしていて、現場管理もこれによっていることを勘案すれば、本件示方配合は不経済なものと認められる。
 なお、本件コンクリートの品質管理状況についてみると、示方配合が前記のとおり設計圧縮強度に比べて著しく強度の上回るものとなっていて、適宜単位水量を増量するなどしても設計圧縮強度のものが得られるため、スランプの管理などコンクリートの品質管理が軽視され、スランプが規定の範囲をこえているものが多数見受けられ、また、圧縮強度も最高476キログラム、最低241キログラムと高低差の著しいものとなっている状況である。

(2) コンクリートの打設費について

 名神高速道路建設工事における高架工事に使用するコンクリートの打設費の積算にあたっては、当初大規模な高架工事の施行例に乏しかったため、建設省補助工事の歩掛り等を参考にして設定した打設歩掛りを基にしてコンクリート種別ごとに単価を算定し、各高架工事とも打設部位にかかわらずこれを一律に適用している。
 しかしながら、コンクリートの打設は工事施行上、柱部および上部と基礎部に区分され、各区分の打設数量も工区によって相違しているうえ、その施行方法も各区分によって相当異なり、とくに基礎部は、施行の実情からみて打設部位が低いこと、昇降機等を使用しないことなどのため柱部および上部に比べて打設が著しく容易であり、その打設単価も低価となるのが通常であり、現に、37年度に施行した高架工事の実績についてみても、柱部および上部の打設歩掛りが当初設定のものに比べて下回っているばかりでなく、基礎部の打設費は柱部および上部に比べて著しく低価となっている状況である。したがって、高架工事用コンクリートの打設単価は、施行区分別に算定する要があると認められるのに、各高架工事ともこれらの事情を考慮することなく一律に柱部および上部の打設費に相当する単価を適用しているため実情にそわない積算となっている。

(3) 工事用材料の支給等について改善の意見を表示したもの (昭和39年11月26日付け39検第591号 首都高速道路公団理事長あて

 首都高速道路公団における請負工事は、工事用材料のうち主要な鉄筋、生コンクリート等を工事請負人に支給することとしているが、昭和39年中、これら工事用材料の購入および支給状況について検査した結果、工事用鉄筋の支給にあたり、必要量をこえて支給し、しかも不用となった鉄筋の返還処置等を怠っていたり、材料を支給扱いとした方が著しく有利であるのに請負人持ちとしたため割高となったりして不経済な結果となっていると認められる事例および購入仕様書に規定する規格以下のものをそのまま検収している事例が下記のとおりある。

 このような事態を生じているのは、支給材料について支給量の審査および支給後の管理運用が十分でなかったこと、材料の取引価格の実情に対する調査は握が十分でなかったことならびに材料の規格および品質管理に対する認識が不足していたことによるものであって、これらはいずれも工事の完成を急ぐあまり、工事用材料の支給等に対する関心が稀薄となったことに基づくものと認められる。したがって、今後とも継続して使用するこの種材料については、その使用量および価額も毎年多量かつ多額に上るのであるから、これらの点を十分留意のうえ、適正かつ経済的な購入および支給を実施することができるよう部内の体制を整えるとともに、具体的な事務処理手続きの趣旨を部内に周知徹底させ、支給材料の効率的な運用をはかる必要があると認められる。

(1) 工事用鉄筋の支給および管理について

 工事用鉄筋は支給材料のうちの主要なものの一つであるが、36年度から38年度までの間に、三宅坂地区の高速道路ずい道新設工事など8工事に対し支給した鉄筋31,242トン11億8915万余円についてみると、鉄筋は、請負人から提出される支給材料使用明細書について規格別、寸法別の所要量を審査のうえ承認してこの範囲内で支給し、その使用等については請負人が毎月提出する支給材料使用管理状況一覧表によりこれを明らかにするとともに、工事完成の際、不用となった鉄筋(は材以外の残材をいい、以下「残材」という。)があるときは契約上返還させることとなっている。
 しかるに、上記各工事においては、所要量の審査を加工配筋図等と対比して十分実施することなく、請負人から提出される前記支給材料使用明細書記載の請求量が必要量をこえていても、そのままこれを要支給量として支給し、かつ、毎月請負人から提出される前記支給材料使用管理状況一覧表記載の残材保有量を十分は握活用していないため、残材があるのに請求によりさらに支給したり、設計変更等により不用となり他工事へ転用することもできたと認められるのに転用しないでいたりしたものなどがあるばかりでなく、これに対し返還請求を怠っているものが業者から提出された前記一覧表に記載されている分だけについて当局の計算によってみても6工事において480トン1837万余円ある。また、上記8工事のうち2工事の支給鉄筋2,229トン8956万余円については前記一覧表も十分に提出されておらず、その使用状況等をは握していない状況で、支給鉄筋の管理運用が適切を欠いていると認められる。

(2) テーパーポールの取扱いについて

 請負工事で使用される工事用材料については、これを支給することが経済上有利な場合は原則として支給扱いとすることになっていて、鋼材、生コンクリート等はこの建前から支給扱いとなっているが、道路等の照明用に使用するテーパーポールについては、工事請負人持ちの材料とし、その価格はテーパーポール製造業者提出の見積書どおりの価格に諸経費10%を加算して算定し、38年度において1,137本分4041万余円を使用している。
 しかして、本件テーパーポールの取引きの実情について調査したところ、テーパーポール製造業者が工事請負人に販売するにあたっては原則として照明器具製造業者を経由する慣行となっており、したがって、上記見積価格のうちには照明器具製造業者等を経由するための中間取扱経費として25%から30%に相当する金額を含んでいる。
 しかしながら、本件テーパーポールは日本照明器具工業会所定の規格で注文により製作されるもので、照明器具製造業者がなんら加工を加えるものではなく、かつ、公団等の大口需要者においては照明器具製造業者渡し程度の価格で直接購入することができるものであるから、鋼材等と同様に支給扱いとして工事費の節減をはかるよう検討の要があると認められる。

(3) 生コンクリートの品質管理について

 生コンクリートについては、購入仕様書に適合した品質を確保するため材料の練混ぜ前に試験練りを行なって、製造に用いる配合を承認し、また、納入直前に採取されたコンクリート供試体によりスランプ(コンクリートのやわらかさなどの程度を測定するために用いる数値)、圧縮強度等の試験を実施することになっているが、38年度に生コンクリートを土木関係の構造物用として支給した37工事のうち任意に選択した4工事についてその管理の状況を調査したところ、スランプ試験の結果が仕様書の規定に反しているものが3工事において見受けられ、うち2工事において使用したコンクリート8,794立米6356万余円は仕様書でスランプ4センチメートル、許容差±1.5センチメートルと指定されているのに、試験数121回のうち96回が上記許容差の上限をこえ、なかには最大10.6センチメートル平均8.2センチメートルとなっているものがあるなど、スランプが仕様書に規定された許容範囲を著しく逸脱しているものをそのまま検収している状況で、スランプの管理が適正に実施されていない傾向が見受けられる。

 しかして、上記コンクリートのスランプが許容範囲をこえているのは、一般に生コンクリートの圧縮強度が規定の圧縮強度をはるかにこえているので、監督員が打設作業を容易にするため、規定の圧縮強度を下回ることがない範囲内で幾分かの水量を増して施行したことによるものであるが、コンクリートの配合は、設計圧縮強度、施行の難易、品質の均一性等を考慮のうえ、水セメント比、スランプ、骨材の最大寸法等を与えて所要の品質を得るように作成しているものであり、したがって、仕様書で指定している生コンクリートの品質も日本工業規格の規定に従って圧縮強度のほか、スランプ、骨材の最大寸法等によって示しているのであるから、スランプの値が許容差を著しくこえているのにそのまま検収しているのは、仕様書の品質を下回る生コンクリートが納入される結果となって、構造物の耐久性等に関連を持つ生コンクリートの品質管理が適切を欠いているものと認められる。

(4) 新線建設工事の予定価格の積算について改善の意見を表示したもの (昭和39年10月27日付け39検第538号 帝都高速度交通営団総裁あて

 帝都高速度交通営団における新線建設工事は、東京都市計画高速鉄道の計画に従って、昭和37年度までに延長39キロメートルを完成し、38年度に延長20キロメートルを施行し、さらに39年度以降において延長46キロメートルの施行を予定しているが、39年中の検査の結果、下記のとおり、工事の予定価格の積算が実情にそわないものとなっていて適正を欠いていると認められるものがある。

 このような事態を生じているのは、同営団の新線建設の場合、工事の内容がほぼ共通していて積算の対象となる工種もほとんど既往のものと変らないので先行工事の積算事例をそのまま踏襲したり、関連部門間の連絡が不十分なため先行工事の実績を積算に反映させなかったりしたこと、また、事前の調査が不十分なまま積算をしていることなどによるものと認められる。

 しかして、同種工事の多い同営団においては、積算の単価はわずかな開差であってもその単価はほとんどの場合全工区の積算に適用されているため総額においては大差を生ずるものであり、しかも、その工事量は逐年増加し、建設費総額は年々著増する傾向にあるから予定価格の適正を期する必要はいよいよ大きくなっているものと認められる。したがって、今後、常に先行工事の実績や、所要資材の時価、工事の作業内容等を十分調査は握するとともに、関連部門間の連絡、調整や審査の徹底をはかって、 適正な予定価格を算定する必要があると認められる。

(1) 路面覆工費の算定にあたり、本覆工の全面積について仮覆工を施行することとして積算しているが、仮覆工は現地の作業条件や道路事情から、すき取り掘さく後直ちに本覆工を施行することができない場合に施行されるもので、先行工事の施行事例からみても、本覆工面積の2分の1または3分の2程度施行しているものなど現地条件により区々であるから、全面的にこれを見込む必要はなかったものであり、積算は実情にそわないものとなっている。

(2) 簡易舗装および仮舗装費の算定にあたり、使用するアスファルトコンクリート合材の工場渡し単価について、既往の積算単価をそのまま踏襲してトン当り4,950円としているが、積算時の時価はトン当り3,500円から3,700円であって、積算は実情にそわないものとなっている。

(3) 隣接建造物の地盤防護のための薬液注入工費の算定にあたり、単にせん孔するだけではなく地下から資料を採取するなど複雑な作業を内容とする地質調査の場合の積算事例によったなどのため、次のように積算は実情にそわないものとなっている。

(ア) せん孔費の算定にあたり、地質調査の場合の積算事例によったため、機械損料において、過大なボーリング機械を見込んだり、か働日数を過大に見込んだり、材料費において、本件せん孔作業には必要のないダブルコアチューブを見込んだり、メタルクラウン、ビットの所要量を過大に見込んだり、労務費においてせん孔の所要日数を過大に見込んだりしており、また、運搬費において、使用機械はせん孔工事の当初に現場に搬入し、工事完了後搬出するものであるのに、1.5メートル間隔で連続して施行するせん孔の1本ごとに搬入、搬出することとしているため、積算は実情にそわないものとなっている。

(イ) 注入費の算定にあたり、作業班の編成人員を過大に見込んだり、注入機械のか働時間のうちに機械のか働と併行して別途に実施される材料小運搬の所要時間をも含めたりしているため、積算は実情にそわないものとなっている。

(4) アースドリル工法による土留鉄ぐい打費の算定にあたり、布掘および仮覆工費において、現場条件割増率を過大に見込んだり、これを工事の難易に関係のない材料費にも適用したり、使用機械の損料計算において、適用されている1時間当り損料は実か働時間を基礎として定められているものであるから、か働時間は実か働時間によるべきであるのに拘束時間によったり、設計変更の際、内部連絡が不十分なため使用機械の規格は原設計のもので足りるのに過大なものを見込んだりしているため、積算は実情にそわないものとなっている。

(5) 埋めもどし土の運搬費の算定にあたり、5トン積みダンプトラックを使用することとしていながら、積載量は4トン積みダンプトラックの積載量と同様の1台当り2.3立米としていて、5トン積みダンプトラックの通常の積載量3立米に比べて過少な能力を適用しているため、積算は実情にそわないものとなっている。