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  • 昭和39年度|
  • 第2章 国の会計

是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項


第8節 是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項

 昭和39年12月から40年11月までの間に、会計検査院法第34条または第36条の規定に基づき、主務大臣に対し、不当と認めた事項につき是正改善の処置を要求し、または法令、制度もしくは行政に関して改善の意見を表示したものは次のとおり9件である。

(1) 電気需給契約の契約種別について改善の意見を表示したもの  (昭和40年11月18日付け40検第631号 防衛庁長官あて

 防衛庁における電気料金の支払額は多額に上っていて逐年増加の傾向にあり、陸上、海上、航空各自衛隊で昭和39年度中に支払った電気料金は8億9千余万円に達している。

 しかして、電気事業法(昭和39年法律第170号)(40年6月30日までは公益事業令(昭和25年政令第343号))の規定に基づく各電力会社の電気供給規程によれば、動力用 電力の需用に対しては、電気需給契約の契約種別のうちに「業務用電力」に比べて電気料金が低廉な「高圧電力」があるが、40年中、本院において動力用の使用電力量が多 い箇所につきその電気需給契約の締結状況を調査したところ、すでに「高圧電力」により動力用の供給を受けている箇所もあるが、大部分の箇所は、動力用、電灯用をあわせて1系統の受電線で電気の供給を受けているため「業務用電力」によっている。これを使用電力量が最も多い航空自衛隊についてみると、レーダー基地、航空基地および補給処において使用している電気は、すべて高圧で供給を受け、レーダー装置、電動発電機、工作機械等を作動させるための動力用電力の使用比率が著しく高いにもかかわらず、大部分の使用箇所においては、「業務用電力」によって電気の供給を受けている状況である。

 さらに、航空自衛隊の使用箇所のうち、動力用の使用比率が最も高く、かつ、動力用の使用場所と電灯用の使用場所との区分が明らかなレーダー基地についてみると、稚内分とん基地ほか3箇所においては、動力用の受電系統が電灯用の受電系統と分離しているのに、いずれも「業務用電力」によって電気の供給を受けているが、動力用については現設備のまま「高圧電力」によることができるものと認められ、また、峯岡山分とん基地ほか8箇所においては、動力用、電灯用をあわせて1系統の受電線で電気の供給を受けているが、動力用と電灯用の2系統で受電するようにすれば、動力用については「高圧電力」で電気の供給を受けることができると認められる。しかるに、各使用箇所とも、これらの処置を講ずることなく、毎年「業務用電力」により電気の供給を受けて高価な料金を支払っており、その他、航空基地および補給処の動力用についても同様の処置を要すると認められるものがある。

 上記のほか、海上自衛隊の航空基地および陸上自衛隊の補給処において使用する電気の需給契約についても、すでに「業務用電力」と「高圧電力」とに区分して電気の供給を受けている箇所もあるが、航空自衛隊の場合と同様不経済となっている事例も認められる。

 このような事態を生じているのは、電気需給契約の締結にあたり、契約種別の検討が十分でなかったり、受電系統の分離についての配慮が欠けたりしていることによるものと認められるので、各自衛隊における使用電力量が逐年増加する傾向にあることにかんがみ、動力用の使用電力量が多い箇所について、電気需給契約を「業務用電力」から「高圧電力」に変更し、もって経費の節減をはかる要があると認められる。

(2) 普通財産の管理について是正改善の処置を要求したもの  (昭和40年11月24日付け40検第646号 大蔵大臣あて

 大蔵省所管普通財産の管理について、昭和40年中、全国10財務局のうち7財務局管内28都府県下の普通財産で、台帳価格50万円(東京都23区内は100万円)以上のもの5,596口座136,785,800千円(台帳価格)のうち、3,175口座101,636,071千円(台帳価格)について現地を調査したところ、不法に占拠されているのに適確な処置を講じていないもの、長期にわたり契約を締結しないまま使用させ使用料を徴収していないものなど管理が当を得ないと認められるものが次表のとおり

態様 区分 件数 数量 台帳価格

1 不法占拠されているのに適確な処置がとられていないもの

土地

828

86,800

289,978,000
建物 1,000 5,208,000
2 契約未済または貸付料の更新未済で使用料の徴収処置がとられていないもの 土地 1,714 412,700 3,890,450,000
建物 13,500 170,773,000
3 契約の目的に違反した事態となっているもの 土地 360 24,700 59,298,000
建物 9,200 17,169,000
4 所管換、無償貸付等の手続きをとらないで使用させているもの 土地 329 2,106,700 10,291,834,000
建物 2,800 14,201,000
5 財産の実態が明らかでないのに確認の処置がとられていないもの 土地 24 1,627,100 550,567,000
建物 200 1,516,000
6 国有財産台帳が整理未済となっているもの 土地 29 504,500 267,119,000
建物 800 1,067,000
土地 3,284 4,762,800 15,349,248,000
建物 27,700 209,936,000

あり、そのおもなものをあげると別表のとおりである。
 これらにつき、態様別に述べると、

1 不法占拠されているのに適確な処置がとられていないもの

 不法に占拠されている財産については、大蔵省においても、33年以降、普通財産の管理方針における重点事項の一つとして、次項に記述する契約未済財産とともに「要処理財産」として処理することとし、これが処理手続きについての細目を示した通達を発して早急にこれが一掃をはかるべく努力しているものであるが、その進ちょく状況は必ずしも十分とはいいがたく、なかには発生も古く、数量、金額も大きいのに後回しにされているものが少なくないばかりでなく、「要処理財産」に含まれていないものも多数見受けられた。
 このような事態を生じているのは、同省において、上記通達により、財産の返還請求、既往使用料の請求、債務確認書の徴取、訴訟への移行等必要と認められる処置の実行を指示はしているものの、現地における具体的処理状況を十分には握せず、単に件数を処理の指標としているなどその指導が形式に流れ、また、現地管理部局においても通達で定められた所定の手続きをほとんどとらないで、大部分は相手方と口頭折衝を行なっている程度であり、処理が困難な事案について積極的に本省と連絡、協議を行なうべきであるのにその努力に欠けているため、通達の趣旨が実効をあげていないことがおもな原因となっていると見受けられる。
 よって、同省においても、単に処理方法を示すだけでなく、現地における実施状況および処理進ちょく状況を具体的には握する方途を講じ、おもな事案については個別に処理計画を策定させ、期間を定めてその促進をはかるなどして徹底した指導を行なう要がある。
 また、不法占拠されているもののなかには、単に手続的な処理では解決が困難と認められるものもあるが、これらについてはそれぞれの実情に即した解決方法を講ずるよう指導することも必要と認められる。
 なお、未利用財産については、新たな不法占拠を発生させることのないよう、定期の監査を励行するなどの保全処置についても配慮すべきである。

2 契約未済または貸付料の更新未済で使用料の徴収処置がとられていないもの

 貸付契約を締結しないまま使用させている財産については、大蔵省は前記のように不法占拠されている財産とともに「要処理財産」として早期に売払いまたは貸付けに移行させることとし、その処理を促進するための取扱いを示した通達を発しているが、前項同様その趣旨が徹底せず、処理の進ちょくが十分とは認められない状況である。これらのなかには、契約を締結することがとくに困難な事態でもないのに、漫然と長期にわたり放置しているものも見受けられた。
 また、貸付契約を締結しているもののなかには、従来貸付料は原則として当該財産の時価額に貸付乗率を乗じたものとし、1年または2年ごとに更新するという方法をとってきたこともあって、相手方との折合いがつかないため、更新が順調に行なわれず、貸付料の徴収を停止したままとなっているものも少なくない傾向にあったので、同省においては、34年以降、管財局長名または国有財産局長名の通達をもって処理の取扱いを定め、更新期間の延長と貸付料の漸増、貸付料の概算徴収および算定の合理化等の処置を講じてきているが、なお、更新未済のまま貸付料を徴収していないものが多数あり、なかには34年度以前から更新されないままとなっているものもある状況である。
 よって、同省においても不法占拠の場合と同様通達の趣旨を徹底させるとともに、主要なものについてはそれぞれの実情を勘案して個別に処理計画を立てさせ、具体的に指導を行なう要がある。

3 契約の目的に違反した事態となっているもの

 貸付中の財産および特定の用途に供することを目的として売り払った財産について、大蔵省では貸付けまたは売払いの目的を達成するために事前の調査、事後の監査を行なって違反の防止に努め、また、違反の事実が生じた場合は直ちに対応の処置をとることとしているが、その指導が行き届かないため現状における実施状況は十分でなく、その結果、契約目的以外の用途に供されたり、転貸、転売等を行なわれたりしているものもあり、違反発見後の処置も適切に行なわれていない状況である。
 よって、同省においても指導を徹底し、とくに、定期に監査を励行させるなどして違反の防止に努める要がある。
 また、39年7月以降、普通財産の売払いにあたっては、原則としてすべて用途を指定することとなったものであるが、これが転売された場合、その回復には困難が予想されるので、このような事態を防止するため、登記上の保全措置を検討する要がある。

4 所管換、無償貸付等の手続きをとらないで使用させているもの

 普通財産として管理しているもののうちには、所管換、無償貸付等の正規の手続きをとらないまま庁舎、道路等の敷地として長期にわたり他の官公庁に使用させているものが多数見受けられた。
 これらについては、大蔵省でも管財局長名の通達等によりその処理促進を指示しているが、これらは処理しないことによって直ちに国損を生ずるというものでもないことから、現地管理部局ではとかく処理を怠りがちであり、そのため未処理事項が漸増してきたものと認められる。しかしながら、現状のまま推移することは、管理責任の所在を不明確にするばかりでなく、増減報告書等関係書類の作成にあたっていたずらに手数を多くしているものであるから、相手方との連絡を密にし、早期に手続きを完了する要がある。

5 財産の実態が明らかでないのに確認の処置がとられていないもの

 普通財産のうち、その実態の明らかでないものについては、大蔵省は33年4月管財局長名通達をもって普通財産実態調査事務要領を定めて調査に着手し、39年度末までに台帳価格1万円をこえるものはほとんど調査を了したとしているが、なお、経済的価値の高い財産で実態がは握されないままとなっているものが少なくなく、しかもその大部分は今後の調査対象にも含まれていない状況であるが、これは主として、同省において、単に件数を処理の指標としており、具体的に実態不明財産の内容をは握していないことによるものと認められる。
 よって、実態不明財産の一掃が財産管理の適正をはかるための前提であることにかんがみ、このような漏れのないよう調査対象財産の再検討を行ない、一定額以上の財産については期限を付して早期に調査を了することとするよう計画を立て直すとともに、これを促進するため、担当職員の再配置、機動力の増強等を考慮する要がある。

6 国有財産台帳が整理未済となっているもの

 普通財産の増減については、大蔵省は33年8月管財局長名通達をもって普通財産台帳の取扱要領を定め、その増減事由発生のつど遅滞なく台帳に登載することとしているが、処分済みの財産が未整理のまま登載されていたり、実態調査の結果財産の数量に異動の生じていることが判明しているのに長期にわたり異動処理をしないまま放置しているものが少なからず見受けられた。
 このような事態を生じているのは主として担当者間の事務連絡が十分でないことによるものと認められるが、台帳の登載内容が事実と相違していることは台帳としての効用を失するものであるから、常に正確な登載を行なうため担当者間の連絡を密にするよう事務管理に配慮するとともに台帳登載および登載後の確認について所定の手続きを励行する要がある。

 上記各項はいずれも早急に是正の方途を講じ、財産管理の適正化をはかるべきものと認められる。

別表

1 不法占拠されているのに適確な処置がとられていないもの

庁名 所在地 区分 数量 台帳価格

(1)

関東財務局王子出張所

北区下十条

土地

632

3,041,067
20年11月引き受けた旧軍用財産で、24年ごろから中村某ほか69名により住宅敷地として使用されている。
(2) 関東財務局立川出張所 昭島市郷地町 土地
建物
約3,000
594
約11,404,000
3,534,093
20年11月引き受けた旧軍用財産で、21年ごろから山田某ほか127名により住宅およびその敷地として使用されている。
(3) 関東財務局立川出張所 昭島市福島町 土地 1,540 5,755,072
20年11月引き受けた旧軍用財産で、23年8月から荒井某ほか18名により農耕地として使用されている。
(4) 中国財務局 広島市若草町 土地 614 3,992,300
20年11月引き受けた旧軍用財産で、27年6月から三田某ほか28名により住宅敷地として使用されている。
(5) 長崎財務部佐世保出張所 佐世保市干尽町 土地 約3,000 約7,445,000
20年11月引き受けた旧軍用財産で、21年ごろから橋本某ほか9名により農耕地として使用されている。
(6) 長崎財務部大村出張所 大村市森園郷 土地 約5,000 約4,650,000
20年11月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から杉崎某ほか19名により農耕地として使用されている。

2 契約未済または貸付料の更新未済で使用料の徴収処置がとられていないもの

庁名 所在地 区分 数量 台帳価格

(1)

関東財務局

新宿区霞ヶ丘町

土地

581

20,017,968
20年11月引き受けた旧軍用財産で、36年3月から契約未済のまま東京都に公営住宅敷地として使用させている。
(2) 関東財務局 文京区春日町 土地 980 58,704,757
11年1月および31年3月引き受けた雑種財産で、37年1月および38年7月から契約未済のまま株式会社後楽園スタヂアムに遊園地等の敷地として使用させている。なお、うち717坪について37年7月までの使用料は徴収している。
(3) 関東財務局 港区芝赤羽町 土地 9,112 502,856,216
大正11年4月引き受けた雑種財産で、29年4月から契約未済のまま社会福祉法人済生会に病院敷地として使用させている。なお、33年4月までの使用料は徴収している。
(4) 関東財務局新宿出張所 豊島区巣鴨 土地 603 12,144,986
8年1月引き受けた雑種財産で、引受当時から契約未済のまま宮谷某ほか47名に店舗敷地等として使用させている。
(5) 関東財務局目黒出張所 品川区大井関ヶ原町ほか 土地 2,504 20,449,723
28年3月引き受けた雑種財産で、引受当時から契約未済のまま佐藤製薬株式会社ほか158名に工場敷地等として使用させている。
(6) 関東財務局目黒出張所 品川区北品川 土地 114 16,960,740
社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律(昭和22年法律第53号)の規定による譲与および減額処分の対象にならなかった善福寺の旧境内地で、その当時から契約未済のまま北品川1丁目町会ほか1名に事務所敷地等として使用させている。
(7) 関東財務局立川出張所 昭島市田中町 建物 3,060 63,289,836
20年11月引き受けた旧軍用財産で、35年7月ごろから契約未済のまま昭和飛行機株式会社に工場として使用させている。
(8) 山形財務部 山形市七日町 土地 598 11,957,399
37年8月引き受けた租税物納財産で、引受当時から契約未済のまま調所某ほか13名に店舗敷地等として使用させている。
(9) 岡山財務部倉敷出張所 倉敷市水島亀島町ほか 土地
建物
約6,900
572
約11,672,000
1,399,638
27年4月引き受けた租税物納財産で、引受当時から契約未済のまま三宅某ほか177名に住宅、店舗およびその敷地等として使用させている。
(10) 関東財務局 新宿区戸山町 土地
建物
21,736
1,875
318,398,231
7,507,244
20年11月引き受けた旧軍用財産で、25年4月から学校法人学習院に学校施設として貸し付けているが、37年4月以降の貸付料について徴収処置をとっていない。
(11) 千葉財務部 千葉市小仲台町 土地 12,812 16,079,838
20年11月引き受けた旧軍用財産で、27年5月から千葉県に公営住宅敷地として貸し付けているが、33年4月以降の貸付料について徴収処置をとっていない。
(12) 千葉財務部 千葉市轟町 土地 6,158 24,036,376
20年11月引き受けた旧軍用財産で、27年4月から千葉県に公営住宅敷地として貸し付けていたが、33年4月以降の貸付料について徴収処置をとっていない。なお、37年1月および38年3月に公営住宅が分譲されたので、37年3月および38年3月解約しているが、同住宅の譲受人田久保某ほか73名に対しても契約未済のまま使用させている。

3 契約の目的に違反した事態となっているもの

庁名 所在地 区分 数量 台帳価格

(1)

関東財務局

目黒区本郷町

土地

485

2,200,445
32年1月引き受けた雑種財産で、35年1月社会福祉事業施設敷地として7年間の用途指定を付して随意契約(5年間延納)により社会福祉法人楽石社に減額売払いしたものであるが、楽石社は指定用途に供しないまま38年7月社会福祉法人日本ベル福祉協会に転売している。
(2) 関東財務局 文京区小石川白山前町 土地 約12 約423,000
社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律施行の際、福相寺が目的外用地としていたので譲与および減額処分の対象にならなかったもので、34年4月清水某に住宅敷地として54坪を貸し付けているが、うち約12坪は29年11月ごろから無断で斎藤某に住宅敷地として転貸されている。
(3) 関東財務局立川出張所 小平市小川東町 土地 約420 約725,000
20年11月引き受けた旧軍用財産で、34年1月佐藤某ほか5名に住宅敷地等として2,762坪を貸し付けているが、うち約420坪は36年ごろから逐次無断で清水某ほか15名に住宅敷地として転貸されている。

4 所管換、無償貸付等の手続きをとらないで使用させているもの

庁名 所在地 区分 数量 台帳価格

(1)

関東財務局

千代田区代官町

土地
建物

4,449
568

209,349,916
4,019,075
20年11月引き受けた旧軍用財産で、21年7月から法務省により中央矯正研修所庁舎およびその敷地として使用されているのに、所管換の手続きをとっていない。
(2) 関東財務局 世田谷区池尻町 土地 3,740 84,927,155
20年11月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から道路として使用され、34年12月世田谷区特別区道として認定されているのに、無償貸付の手続きもとっていない。
(3) 関東財務局 千代田区西日比谷町ほか 土地 93,617 6,235,098,920
大正11年3月、同年6月および昭和31年10月引き受けた雑種財産で、それぞれ引受当時から日比谷公園ほか2公園の敷地として使用されており、いずれも31年4月都市公園法(昭和31年法律第79号)の制定に伴い同年10月以降は東京都に対し無償貸付すべきものであるのに、その手続きをとっていない。
(4) 関東財務局 千代田区霞ヶ関 土地 3,976 272,047,023
12年1月および35年10月引き受けた雑種財産で、35年10月から通商産業省により庁舎敷地として使用されているのに、所管換の手続きをとっていない。
(5) 関東財務局 墨田区亀沢町 土地 757 24,318,156
6年3月引き受けた雑種財産で、引受当時から道路として使用され、28年4月および36年4月墨田区特別区道として認定されているのに、無償貸付の手続きもとっていない。
(6) 横浜財務部平塚出張所 平塚市董平 土地 5,799 23,161,436
20年10月引き受けた旧軍用財産で、32年ごろから道路として使用され、33年10月平塚市道として認定されているのに、無償貸付の手続きもとっていない。
(7) 東北財務局 仙台市原町 土地 18,074 108,446,280
20年10月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から道路として使用され、34年3月、同年10月および37年10月仙台市道として認定されているのに、無償貸付の手続きもとっていない。
(8) 中国財務局 広島市基町 土地 6,778 67,786,700
20年11月引き受けた旧軍用財産で、37年3月から広島市中央公園の敷地として使用されているのに、無償貸付の手続きをとっていない。
(9) 山口財務部徳山出張所 光市島田 土地 6,274 12,549,560
20年11月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から道路として使用され、29年11月山口県道として認定されているのに、無償貸付の手続きもとっていない。
(10) 岡山財務部 岡山市津島 土地 約4,000 約31,308,000
20年11月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から道路として使用され、28年5月国道として指定されているのに、所管換の手続きをとっていない。
(11) 南九州財務局 熊本市大江町 土地 2,085 15,575,567
20年11月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から道路として使用され、36年6月熊本市道として認定されているのに、無償貸付の手続きもとっていない。
(12) 大分財務部 大分市浜 土地 117,670 28,625,756
20年11月引き受けた旧軍用財産で、引受当時から道路として使用され、大部分が幅員12メートル程度もあるのに、大分市の市道認定の有無も未調査でなんらの手続きもとっていない。

5 財産の実態が明らかでないのに確認の処置がとられていないもの

庁名 所在地 区分 数量 台帳価格

(1)

関東財務局目黒出張所

目黒区駒場町

土地

638

13,016,189
2年4月引き受けた雑種財産で、39年度末現在高数量は638坪となっているが、うち所在の判明しているものは62坪しかなく、その差576坪は実態不明となっている。
(2) 関東財務局立川出張所 三鷹市新川 土地 20,578 118,499,664
22年12月引き受けた雑種財産で、39年度末現在高数量は20,578坪となっているが、うち所在の判明しているものは9,311坪しかなく、その差11,267坪は実態不明となっている。
(3) 関東財務局立川出張所 八王子市高尾町 土地 46,402 65,330,028
20年11月引き受けた旧軍用財産で、39年度末現在高数量は46,402坪となっているが、うち所在の判明しているものは4,810坪しかなく、その差41,592坪は実態不明となっている。
(4) 千葉財務部 館山市宮城 土地 171,323 183,076,154
20年11月引き受けた旧軍用財産で、39年度末現在高数量は171,323坪となっているが、うち所在の判明しているものは93,915坪しかなく、その差77,408坪は実態不明となっている。
(5) 東北財務局 宮城県宮城郡松島町ほか 土地 1,155,035 51,976,550
31年10月引き受けた雑種財産で、39年度末現在高数量は1,155,035坪となっているが、うち所在の判明しているものは1,036,771坪しかなく、その差118,264坪は実態不明となっている。
(6) 静岡財務部沼津出張所 静岡県駿東郡清水町 土地 29,152 17,550,417
20年11月引き受けた旧軍用財産で、39年度末現在高数量は29,152坪となっているが、うち所在の判明しているものは11,101坪しかなく、その差18,051坪は実態不明となっている。

6 国有財産台帳が整理未済となっているもの

庁名 所在地 区分 数量 台帳価格

(1)

関東財務局王子出張所

北区桐ケ丘

土地

減4,067

25,682,241
20年11月引き受けた旧軍用財産で、26年3月東京都に売り払われ所有権移転の登記も完了しているのに、国有財産台帳が整理されていない。
(2) 横浜財務部
神奈川県高座郡寒川町 土地
増11,614
減1,184
21,316,914
2,013,225
20年11月引き受けた旧軍用財産で、39年度末現在高数量は5,445坪となっているが、35年3月の実測により17,059坪あることが判明しているのに、その際における11,614坪の増についても、また、このうち30年5月に売り払った1,184坪の減についても国有財産台帳が整理されていない。

(3) 地方拓植基金造成費補助金について改善の意見を表示したもの  (昭和40年10月26日付け40検第603号 農林大臣あて

 農林省で、海外農業移住事業の推進をはかるため、農業移住者の処分する財産を取得しようとする者または農業移住者の資金調達を援助しようとする者が、それぞれ当該財産の取得またはその援助に要する資金を農業協同組合その他の金融機関から借り入れることにより負担する債務を保証させることを目的として、昭和34年度から10箇年計画で、46都道府県に財団法人農業拓植基金協会(以下「地方基金協会」という。)を設立させ、その業務とする保証債務の弁済に充てるための基金は都道府県の補助金および農業団体の寄付金等をもって造成するものとし、国は都道府県が補助する場合に要する経費の2分の1以内、1地方基金協会につき5箇年にわたり毎年200万円計1000万円を補助(43年度までに設立されるものの分を含め交付予定総額4億6000万円)することとしている。しかして、34年度以降39年度までの間に北海道ほか35県において地方基金協会が設立され、同省は、この間これら道県に対し地方拓植基金造成費補助金として総額3億0950万円を交付し、さらに40年度以降1億5050万円を交付することとしている。

 しかして、上記36地方基金協会においては、補助金および農業団体の寄付金等6億8989万余円から、再保証を行なう社団法人中央農業拓植基金協会に対する出資額等1億5622万余円を差し引き、39年度末において総額5億3366万余円の基金を造成している。また、補助金の交付にあたって、同省は、1地方基金協会当りの年度末における保証残高を初年次472万余円、2年次1440万円、3年次2745万円、4年次4399万円、5年次6012万余円、6年次7500万余円、以下逐年増加し、11年次以降は毎年次1億0236万余円と見込んでおり、かつ、各地方基金協会は基金の6倍に相当する保証残高まで保証できることとしているものである。

 しかして、本院において、39年度末までに設置された前記各地方基金協会における債務保証の状況を調査したところ、1地方基金協会当りの平均保証残高は、初年次17万余円(同省見込額の3.7%)、2年次178万余円(同12.4%)、3年次254万余円(同9.3%)、4年次403万余円(同9.2%)、5年次515万余円(同8.6%)、6年次687万余円(同9.2%)にすぎず、いずれも同省の見込額をはなはだしく下回っており、36地方基金協会のうち保証残高が最高となっている協会においても、6年次に1733万余円(同省見込額の23.1%)にすぎない状況である。また、39年度末における36地方基金協会の保証残高の総額は1億7271万余円で、これを基金造成額5億3366万余円に対する保証限度額32億0198万余円に比べると、わずかに5.4%にすぎない状況である。このように、上記いずれの場合についてみても、現在の基金造成額は実情にそわないはなはだしく過大なものとなっていて、補助の効果が十分あがっているものとは認められない。
 このような事態を生じているのは、農業移住者の送出実績が36年以降急速に減少しているなどの事情により、保証の実績が見込みと著しく相違しているにもかかわらず、これを勘案することなく、漫然と一律に補助金を交付し、基金の効率的な使用についての考慮が十分でなかったことによるものと認められる。
 ついては、本制度に検討を加え、全国的な観点に立った基金の利用を考慮するなど造成された基金の効果的な活用をはかるとともに、今後の基金造成に対する補助金の交付について配慮の要があると認められる。

(4) 農業改良資金助成補助金を財源とする技術導入資金の運営について改善の意見を表示したもの  (昭和40年10月26日付け40検第604号 農林大臣あて

 農林省で、農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号)に基づき、農業者またはその組織する団体(以下「農業者等」という。)に対する技術導入資金等の貸付けの事業を行なう都道府県(以下「県」という。)に対し、当該事業に必要な資金の一部に充てるため、農業改良資金助成補助金として昭和31年度以降39年度までに37億8915万余円(うち38年度は2億3765万余円、39年度は同年度に新設された農家生活改善資金および農業後継者育成資金にかかるもの5億2532万余円を含み18億6050万余円)を交付し、県においては、この補助金および自己の一般会計からの繰入金等を財源として特別会計を設け、39年度末までに56億8661万余円の資金を造成し、このうちから38、39両年度に52億8892万余円を農業者等に対し技術導入資金として無利子で貸し付けている。上記技術導入資金は、農業経営の改善を促進するために普及をはかる必要があると認められる能率的な農業技術の導入に充てられるもので、借受者は事業の実施にあたり、農業改良普及員等の技術および経営に関する指導を受けることになっているものである。

 しかして、本院において、40年2月から8月までの間に、宮城県ほか24府県における38、39両年度の技術導入資金貸付総額26億8714万余円について実地に調査したところ、その四半期別の貸付状況は、第1四半期824万余円、第2四半期1億9126万余円、第3四半期7億6285万余円、第4四半期17億2477万余円となっていて、第4四半期に著しく片寄り、第1、第2両四半期には園芸、養蚕関係の資金需要がかなり見込まれるにもかかわらず貸付総額のわずかに7.4%が貸し付けられているにすぎない状況である。また、個々の貸付けについてみると、貸付けの対象となる事業はそれぞれ実施の時期が季節的に制約されているのに、貸付けが借受者の事業実施希望の時期から3箇月以上遅れているものが、調査の結果判明したものだけでも前記貸付総額26億8714万余円のうち7億7498万余円あり、とくに、第1、第2両四半期を事業実施の適期としている「壮蚕の屋外条桑育」等の事業に対する貸付け4億4286万余円についてみると、貸付けが3箇月以上遅れているものが3億1237万余円に上っている状況である。このように貸付けが適期を失しているため、借受者のなかには、農業改良普及員等の技術および経営に関する適期適切な指導が得られなかったり、貸付けを受けるまで農業協同組合からつなぎ資金を借り受けこの間の利子を負担したり、適期に事業を実施する機会を失して貸付金を農業協同組合の貯金としたりしているものなどが見受けられ、本制度の趣旨が十分生かされていない。
 このような事態を生じているのは、同省と県との間の協議等の事務処理がとかく円滑を欠き同省の県に対する貸付予定額のわくの決定および補助金の配分額の通知が遅れること、県の特別会計の資金の造成が適期に行なわれていないこと、貸付けを適期に行なうことについて県の配慮が十分でないことによるものと認められる。
 ついては、同省と県との間の事務処理の不円滑が本資金の適期貸付けのあい路とならないよう、協議等の処理の簡素化をはかるなどして貸付予定額のわくの決定および補助金の配分額の通知をすみやかに行なうとともに、適期に貸付金の財源を確保させるなど県に対し適切な指導を行ない、年間を通じて借受者の事業実施の希望に応じた貸付けができるよう努める要があると認められる。

(5)  補助工事の施行および災害復旧事業費の査定について改善の意見を表示したもの  (昭和40年11月20日付け40検第640号 農林大臣あて

 地方公共団体、土地改良区、森林組合等が国から補助を受けて施行している農林水産業施設等の新設、改良、災害復旧等の工事の施行および補助金の経理ならびに農林省の行なう災害復旧事業費の査定については、検査の結果不当と認めた事項を毎年度の検査報告に掲記してその是正につき注意を喚起してきたところであるが依然として跡を絶たず、昭和40年中の検査の結果についてみても、なお不当と認められるものが多数見受けられる。
 すなわち、補助工事の施行においては、設計に対して出来高が不足しているなどの事例が多数見受けられ、なかには工事の施行が著しく粗漏で、その目的を達しているとは認められないものも少なくなく、また、災害復旧事業費の査定においても、既存の施設が被災していなかったり、通常の維持管理に属するような軽微な被害であったりしているのに、災害復旧事業としてそのまま査定しているなどの事例が多数見受けられ、なかには、被害状況、原形施設の規模、構造にかかわらず、一律の工法によりまたは新設の際の設計基準により著しい改良工事を施行しようとしていたものも少なくない状況である。
 このような事態の発生を防止するためには、同省および事業主体の関係者の一層の努力が必要であると認められるが、とくに下記の諸点について検討のうえ適切な処置を講ずることが緊要と認められる。

1 補助工事の施行について

 補助工事の施行において、例年多数の不当な事例が発生する原因について検討すると、

(1) 事業主体の事業実施体制が十分でないため、工事の監督、検査が行き届かないこと。すなわち、年間の工事量に比べて現場担当職員の配置が十分でなく、また、その知識、経験においても十分でないものがあり、とくに、町村、組合等においてこの傾向が著しく、担当技術者が全然いないものさえある状況であること、

(2) 工事の発注にあたって、業者の工事施行能力等を十分に調査検討しないで請け負わせる傾向があるなどのため、適正な工事の施行が困難になっていること、

(3) 工事施行量の増大に伴い、工事の着手または進ちょくが遅れ、工事が年度末近くに集中するため、短期間に多量の工事を完成しなければならず、これが季節的に不利な条件と相まって工事の適正な施行を阻害していること
などによるものと認められる。
 ついては、

(1) 現場担当職員の配置、研修等について適切な処置を講じ、工事施行体制を整備するほか、写真等の記録を整備保存するなどして工事施行の実態をは握する方途をも考慮すること、

(2) 工事の発注にあたっては、業者の資力、技術水準、工事用機械の保有状況、手持工事量等について詳細に調査検討のうえ適格者に請け負わせるよう配慮するとともに、しゅん功検査を厳正に実施し、また、契約の際、工事完成後農林省および本院の検査の結果等により工事のかしが発見されたときはかし担保条項等を活用し請負人の負担において修補させるという趣旨を徹底すること、

(3) 工事の施行にあたっては、早期に着手し、適期に施行するよう努力することなどについて、事業主体に対し強力な指導を行なうとともに、同省および都道府県が行なうこととなっている工事のしゅん功検査についても、形式に流れることなく、その徹底を期する要があると認められ、また、国庫補助金等の交付決定を早期に行ない、交付事務の促進をはかるなど補助工事の適正な施行について特段の配慮の要があると認められる。

2 災害復旧事業費の査定について
 災害復旧事業費の査定において、例年多数の不当な事例が発生する原因について検討すると、

(1) 事業主体において、一般に災害に名をかりて改良工事を施行しようとする傾向があること、担当職員の配置が十分でないことなどにより、現地に適合した復旧計画を作成していないものが多いこと、

(2) 農林省において、査定にあたっては多数の災害箇所について事業費をすみやかに決定しなければならないのに、少数の人員で短期間に査定事務を行なっているため、被害状況、被災原因、原形等について現地の調査が十分に行なわれていないこと
などによるものと認められ、この傾向はとくに災害が集中し、被害がじん大であった地域において著しい。
 ついては、

(1) 災害に名をかりて改良工事を施行しようとする傾向の是正をはかるため、災害復旧事業に関する法令等の解釈、運用について適切な指導を行なうとともに、事業主体において現地に適合した復旧計画を作成することができるよう災害復旧事業の箇所数および事業費に応じてその体制の整備をはかるよう指導すること、
 なお、災害復旧事業の施行だけでは十分な効果が期待できないと認められるため当該災害復旧事業とあわせて施行する災害関連事業についても国が補助することとなっているが、その採択が予算的制約により災害復旧事業費の総額判明の後に決定され、かつ、採択手続きも複雑であるので、災害関連事業の採択手続きの簡素能率化等を考慮する要があると認められる。

(2) 現地の調査をじん速かつ十分に行ない、被害状況、被災原因、原形等に適合した復旧事業費を決定することができるよう、本省、地方農政局における担当職員の配置等について考慮し、その充実をはかること
など災害復旧事業費の適正な査定について特段の配慮を要するものと認められる。


(6) 輸入飼料の売渡しについて改善の意見を表示したもの  (昭和40年11月26日付け40検第652号 農林大臣あて

 農林省で、昭和39年度中、飼料需給安定法(昭和27年法律第356号)の規定に基づいて、外国産小麦等の輸入飼料1,333千トンを買い入れ、飼料需要者団体等に1,402千トンを売り渡しているが、その売渡価格が、畜産業の経営を安定させることを旨として、その原価にかかわらず飼料の市場価格を下回るところで決定されているため、食糧管理特別会計の輸入飼料勘定において27億5635万余円の損失を生じている。
 しかして、同省においては、これらの輸入飼料を売り渡す場合、その相手方等に対し、売渡しにかかる輸入飼料の譲渡または使用に関して価格または譲渡先の制限、用途の指定その他必要な条件を付し、または財団法人日本穀物検定協会(以下「穀検」という。)をして魚油の注入を実施させるなど転売防止の手段を講じ、国の財政負担の効果が飼料の実需者に反映するよう期しているところであるが、40年2月から8月までの間に、飼料の需要者団体等について、同省が売り渡した輸入飼料の流通状況および魚油注入の効果を調査したところ、下記のとおり、所定の料率以上の手数料等を買入価額に加算して売り渡しているもの、魚油を注入させているにもかかわらず他用途に転売されていると認められるものなどがあり、政府が輸入飼料を低価で実需者に供給する趣旨が減殺される結果となっている。
 このような事態を生じているのは、畜産局および食糧庁において、輸入飼料の流通状況について実態調査を十分に行なわず、需要者団体に対する指導監督も適切を欠くところがあったことによるものと認められる。
 ついては、輸入飼料の流通の各段階にわたり、その実態をは握し、需要者団体に対する指導監督を強化するとともに、流通規制のための効果的な処置を講ずるなどして国の財政負担の効果を十分発揮することに努める要があるものと認められる。

1 専増産ふすまの手数料等について

 食糧庁で、畜産局の要請により、39年度中、下妻製粉株式会社ほか155飼料小麦加工専門工場等に外国産小麦891,907トンをトン当り平均27,927円総額249億0867万余円で売り渡しているが、その際、加工歩留り55%以上の専増産ふすま(飼料用外国産小麦から生産するふすまをいう。以下同じ。)を生産(39年度の生産実績490,638トン)し、全国購買農業協同組合連合会(以下「全購連」という。)ほか6中央団体に包装込工場置場渡価格30キログラム入658円(15キログラム入321円)で売り渡すことなどの条件を付している。また、畜産局においては、専増産ふすまを買い受ける全購連等の中央団体に対し、そのさん下の団体にこれを売り渡す場合の手数料を前記売渡価格の1%(経済農業協同組合連合会等の県団体に売り渡す場合)または1.5%(農業協同組合(以下「単協」という。)に直接売り渡す場合)以内とすることとあわせて、県団体または単協が売り渡す場合の手数料についても前記売渡価格の2%または4%以内とするよう指導することを誓約させている。
 しかして、本院において、中央団体については全購連ほか6団体(39年度取扱高490,467トン)のうち6団体(取扱高488,690トン)、県団体についてはホクレン農業協同組合連合会ほか148団体(39年度取扱高約29万トン)のうち29団体(取扱高65,748トン)、単協については北海道七飯町農業協同組合ほか約11,900団体(39年度取扱高約37万トン)のうち147団体(取扱高20,667トン)について、手数料等の実態を調査したところ、

ア 全国畜産農業協同組合連合会ほか2中央団体において、その取扱高231,383トンのうち180,504トンについて、所定の手数料のほかに調整金等の名義により1袋(30キログラム入)当り2円から10円総額3971万余円を買入価額に加算して売り渡しているもの、

イ 栃木県開拓農業協同組合連合会ほか3県団体において、その取扱高12,976トンのうち3,370トンについて、所定の料率を1%から6%こえる手数料等総額125万余円を買入価額に加算して売り渡しているもの、

ウ 青森県越水農業協同組合ほか51単協において、その取扱高6,802トンのうち4,054トンについて、所定の料率を1%から16%こえる手数料等総額333万余円を買入価額に加算して売り渡しているもの
など専増産ふすまの流通過程で価格の制限に違反する事例が多数見受けられる状況である。
 なお、栃木県開拓農業協同組合連合会ほか7団体(取扱高14,525トン)において、譲渡先の制限に違反し、専増産ふすまをそのさん下の団体等に売り渡すことなく、雑穀商人等に755トン転売しているものもある。

2 飼料用外国産小麦の魚油注入について
 食糧庁で、畜産局の要請により、39年度中、全購連ほか3中央団体に配合飼料用原料として外国産小麦23,815トンをトン当り包装込平均価格28,132円総額6億6999万余円で売り渡しているが、その売渡しにあたっては、買受人に対し、保管倉庫から本件小麦を搬出する際、穀検の行なう魚油の注入を受け、その小麦を自ら配合飼料用原料として使用するかまたは配合飼料用原料として使用する需要者に譲り渡すこととする条件を付しており、穀検の行なう魚油の注入については、本件小麦の売渡予定価格を算定する際、その経費としてトン当り360円総額857万余円を控除しているものである。
 しかして、本件小麦の流通状況について、前記中央団体から譲り受けた配合飼料工場等を調査したところ、配合飼料用原料として使用することなく雑穀商人等に転売していると認められるものが955トンあり、なかにはしょう油の原料として使用されているものもあるなど、魚油の注入にもかかわらず、他用途に転用されている状況である。

(7) 失業対策事業の執行および経理について改善の意見を表示したもの  (昭和40年11月25日付け40検第649号 労働大臣あて

 失業対策事業は、失業者に就業の機会を与えることを主たる目的としているものであるが、事業の適切な執行と経理の適正をはかることも重視を要するものと認められる。
 事業の実施については、事業主体である地方公共団体等が労務者の吸収計画、事業内容等を明らかにした事業計画を作成し、労働省の審査承認を受け、事業が完了した場合には、事業主体が実績報告および精算報告を行ない、これに基づいて同省がその結果を確認することとしているものである。
 しかして、昭和39年度に1,224事業主体が施行した失業対策事業にかかる6,462工事のうち15.4%に当たる998工事について本院において実地に検査したところ、事業の計画等の内容が水増しされているもの、設計上の配慮が足りないもの、吸収人員、作業能率等について事実に反した実績報告および精算報告を行なっているものなど事業の執行および経理について適正を欠くと認められる事例が顕著であり、そのおもなものは下記のとおりである。
 このような事態を生じているのは、主として、

ア 作業能率の基準が実情にそわないこと。すなわち、作業能率の基準となる作業歩掛りは32年度において標準歩掛り(建設省災害査定設計標準歩掛り相当)に一定倍率(以下「作業歩掛率」という。)を乗じて算定することと定めているが、近年就労者の老令化等に伴う労働能力の著しい低下が生じ実情にそわなくなっているのにもかかわらず、この作業歩掛率がそのまま適用されており、これを形式上維持するため計画、積算等が水増しされ、これによる精算が行なわれること、

イ 資材費補助金の、交付が適切でないこと。すなわち、資材費補助金については算定基準がいまだに設定されておらず、標準歩掛りによる所要人員(以下「標準所要人員」という。)に一定額を乗じて算定交付されているため、標準所要人員を過大に計上した計画、積算等が行なわれること、

ウ 設計についての配意が足りないこと。すなわち、事業主体が事業計画の策定を行なうにあたり、工事施行についての技術的な検討が不十分であること、

エ 事業計画の審査および執行の確認について、制度およびその運用が不備であること。すなわち、事業計画の審査承認および事業完了の確認に際しては、もっぱら書類審査だけに依存し、しかも十分な審査が行なわれておらず、そのため、水増しされた計画、適切を欠いた設計、不実な実績報告および精算等がそのまま看過されていること
によるものと認められる。

 以上の実情にかんがみ、

ア 作業歩掛率については、就労者の労働能力等を勘案して再検討を行ない、

イ 資材費補助金の交付については、算定基準を定め、これによって適正な交付を行ない、

ウ 設計については、事業主体に対し技術的な検討に十分な配慮をするよぅ指導を行ない、

エ 事業計画の審査および完了の確認については、書類審査の充実をはかるとともに必要に応じて実地についてこれを行なう

など制度および運用の改善の方途を講じ、もって失業対策事業の適切な執行および経理の適正を期する要があるものと認められる。

(1) 鹿児島県が施行した甲突川改良工事は、労務者延82,284人を吸収し、事業費52,453,341円(国庫補助金33,400,210円)で、寄洲切取り77,953立米、運搬捨土50,670立米等を年度内に計画設計どおり施行したこととして、実績報告および精算を了しているが、切取施行を要する土量は43,950立米にすぎず、また、運搬捨土は実施の要がなかったもので、計画において延人員44,883人、これに対する資材費補助金556,998円が過大となっており、実際にも吸収人員は55,280人にすぎず、残余の27,004人はこれを38年度で完成したとして精算していた工事等に就労させており、これに対する資材費補助金308,115円が超過交付となっている状況である。

(2) 塩釜市が施行した月見丘栄町線道路新設ほか同線一部災害復旧工事は、労務者延8,524人を吸収し、事業費5,637,555円(国庫補助金3,216,915円)で、盛土4,079立米等を施行し、延長140メートル、幅員8メートルの道路を40年3月完成したものであるが、法長8メートルにおよぶ山土盛土土羽を1割の急勾配で設計施行したなどのため同年7月までに盛土土羽区間99メートルのうち約70メートルが法尻から逐次崩壊している状況である。

(3) 広島市が施行した吉島羽衣町下水管新設および排水路改良工事は、労務者延56,703人を吸収し、事業費55,472,832円(国庫補助金35,867,396円)で、下水管新設2,504メートル、ブロック積工2,796平米等を年度内に完成したこととして実績報告および精算を了しているが、実際は計画人員に対する吸収実人員数が不明であるばかりでなく別途工事から延8,954人を流用している状況である。さらに、下水管埋設273メートル等事業費1,726,054円が年度内には完成しておらず、40年度において、別途承認を受けた下水道補修工事の労務者1,156人等をもって一部工事を施行したが、なお、同年6月現在下水管埋設173メートル等事業費1,043,809円は未施行のままとなっている状況である。

(4) 呉市が施行した長浜小坪ほか7地区道路舗装工事は、作業歩掛率1.25以内の作業能率で施行することとされている特定工事として、事業費84,019,209円(国庫補助金41,350,602円)で道路延長11,489メートルのアスファルトまたはコンクリート舗装を施行するもので、労務者延75,709人を吸収し、作業歩掛率1.24で実施したこととして実績報告および精算を了しているが、積算にあたりアスファルト舗装の転圧歩掛り等を過大に見込んでいて、標準所要人員の水増しが行なわれており、これを修正計算すると作業歩掛率は2.47となり、所定の倍率をこえている状況である。

(8)  補助工事の施行および災害復旧事業費の査定について改善の意見を表示したもの  (昭和40年11月20日付け40検第639号 建設大臣あて

 地方公共団体が国から補助を受けて施行している公共土木施設の建設、改良、災害復旧等の工事の施行および補助金の経理ならびに建設省の行なう災害復旧事業費の査定については、検査の結果不当と認めた事項を毎年度の検査報告に掲記してその是正につき注意を喚起してきたところであるが依然として跡を絶たず、昭和40年中の検査の結果についてみても、なお不当と認められるものが多数見受けられる。
 すなわち、補助工事の施行においては、工事の施行が不良となっていたり、工事費の積算が過大となっていたりするなどの事例が多く、また、災害復旧事業費の査定においても、設計、積算が過大となっている事例が多い状況である。
 このような事態の発生を防止するためには、同省および事業主体の関係者の一層の努力が必要であると認められるが、とくに下記の諸点について検討のうえ適切な処置を講ずることが緊要と認められる。

1 補助工事の施行について

 補助工事の施行において、例年多数の不当な事例が発生する原因について検討すると、

(1) 事業主体の事業実施体制が十分でないため、工事の監督、検査が行き届かないこと。すなわち、年間の工事量に比べて現場担当職員の配置が十分でなく、また、知識、経験においても十分でないものがあること、

(2) 工事の発注にあたって、業者の工事施行能力等を十分に調査検討しないで請け負わせる事態も見受けられ、適正な工事の施行が困難になっていること、

(3) 工事施行量の増大に伴い、工事の着手または進ちょくが遅れ、工事が年度末近くに集中するため、短期間に多量の工事を完成しなければならず、これが季節的に不利な条件と相まって工事の適正な施行を阻害していること、

(4) 工事費の積算にあたっては、建設省が定めた積算基準によっているものが多いが、積算基準の趣旨が事業主体に十分徹底しないで、その適用が適切でないものが見受けられること、とくに、岩石の掘さくについては、本院の注意により同省で39年10月各都道府県に機械施行で積算するよう積算基準を示しているところであるが、その後においてもなお人力施行で積算しているものが見受けられる
などによるものと認められる。
 ついては、

(1) 現場担当職員の配置、研修等について適切な処置を講じ、工事施行体制を整備するほか、写真等の記録を整備保存するなどして工事施行の実態をは握する方途をも考慮すること、

(2) 工事の発注にあたっては、業者の資力、技術水準、工事用機械の保有状況、手持工事量等について詳細に調査検討のうえ適格者に請け負わせるよう配慮するとともに、しゅん功検査を厳正に実施し、また、契約の際、工事完成後同省および本院の検査の結果等により工事のかしが発見されたときはかし担保条項等を活用し請負人の負担において修補させるという趣旨を徹底すること、

(3) 工事の施行にあたっては、早期に着手し、適期に施行するよう努力すること、

(4) 工事費の積算にあたっては、工事の規模等に適合した工法を採用するなど積算基準の適切な適用に留意して合理的な積算を行なうこと
などについて、事業主体に対し強力な指導を行なうとともに、同省および都道府県の行なう監督、検査についても、形式に流れることなくその徹底を期する要があると認められ、また、工事施行方法の機械化等工法の変化に伴って積算基準を改訂するなど常に合理的な積算基準を事業主体に示すよう留意し、他方、国庫補助金等の交付決定を早期に行ない交付事務の促進をはかるなど補助工事の適正な施行について特段の配慮の要があると認められる。

2 災害復旧事業費の査定について

 災害復旧事業費の査定において、例年多数の不当な事例が発生する原因について検討すると、多額の事業費の決定にあたって短期間に査定事務を行なっているため、被害状況に対応する復旧工法の検討が十分に行なわれていないものも見受けられること、事業主体において災害復旧事業の申請にあたって適用する積算基準は建設省が各事業主体に示しているところであるが、工事の機械化等に即応していないものなどがあり、また、地方公共団体が申請した設計単価に対する承認が形式的で申請単価をそのまま認めているものもあるため実情に適合していないことなどによるものと認められ、この傾向はとくに災害が集中し被害がじん大であった地域において著しい。
 ついては、実情に即した査定を行なうよう十分配慮して現地の状況に適合した設計、積算を行なうとともに、積算基準については工事の機械化等に即応して常に合理的なものとするよう検討を加え、設計単価の承認にあたっても検討を十分行なって適正な単価とするなど災害復旧事業費の適正な査定について特段の配慮を要するものと認められる。

(9) 立体交差化工事等の実施について改善の意見を表示したもの  (昭和40年11月25日付け40検第648号 建設大臣あて

 建設省においては、昭和36年度以降長期の道路整備計画に基づき道路整備事業を実施してきたところであるが、39年度においては、その一環として日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の負担等を含め事業費60億円で144箇所についての道路と鉄道との立体交差化工事等の事業を実施している。
 道路整備事業において道路の新設または改築にあたり道路と鉄道とが交差する場合、または道路と鉄道とが交差している場合における踏切道については、道路法(昭和27年法律第180号)、踏切道改良促進法(昭和36年法律第195号)等の規定により道路と鉄道とを立体交差化することとなっており、ことに近年自動車の交通量が著増するとともに大型化、高速化の傾向にある一方、鉄道側においても列車運転回数の増加および高速化が進められているので、道路整備事業の実施にあたっては、工事の進ちょく、現地の実情等に即して立体交差化工事等の促進をはかる要があると認められるが、同省における1級国道の踏切除却立体交差化等事業の実施状況についてみると、36年度以降の5箇年間における実施計画429箇所に対し39年度末までの4箇年間に完成したものは165箇所であり、うち直轄施行にかかる39年度計画分についてみても、実施計画176箇所、完成見込み94箇所に対し、実施したもの144箇所、完成したもの44箇所にすぎない状況で、本件工事の実施は、その計画および道路改良工事の進ちょく状況(改良工事80.1%、舗装工事67.9%)に比べて全般的に遅延していると認められる。

 しかして、道路法等に基づく立体交差化工事等の実施については、同省と国鉄との間に道路と鉄道との交差に関する建設省、日本国有鉄道協定(31年12月締結、以下「基本協定」という。)等の取決めがあり、交差の方式、構造、費用負担等の協議に関する基準を定めており、これによれば、本件工事は道路側と国鉄側とが当該交差等に関する計画協議および設計協議を行ない、これらの協議が成立したとき協定を締結して工事を実施することとなっているが、前記39年度計画分のうち国鉄との交差157箇所について計画協議開始から協定締結までの所要期間をみると、同年度末までに協定の成立した98箇所については1箇所当り平均26箇月を要しており、また、未協定となっているもののうちには計画協議を開始してから3年有余を経過しているものが12箇所にも達しているなど計画協議開始から協定締結までに著しく長期間を要している状況である。
 このため、道路の新設または改築工事において、交差箇所前後の道路改良工事の進ちょく状況に比べて立体交差化工事または既設立体交差施設の改良工事が遅延し、ひいては改良済道路が未供用となって不経済な事態を生じているなど投資効果を十分発揮していないと認められるものが多く、判明したものだけでも、立体交差化工事の遅延しているものが北海道開発局および東北ほか2地方建設局で計19件、また、既設立体交差施設の改良工事の遅延しているものが北海道開発局および東北ほか3地方建設局で計8件あるほか、踏切道改良促進法の規定により36年度以降の5箇年間に立体交差化が必要と認められ改良を指定された踏切道で40年度までに着工できないものもあり、これらの事態のうちおもなものをあげると下記のとおりである。
 このような事態を生じているのは、道路側と国鉄側とが総合的な計画調整を行なわず個々の工事につき実施部局ごとに協議しているため、事業計画もしくは予算が合致しなかったり、費用分担や細部設計等について両者の意見が不一致となったり、または工事の実施にあたって関係機関相互の連絡調整が不十分であったりしているほか、実施部局に対する同省の指導監督が十分でなかったことなどによるものと認められる。
 ついては、事業計画および事業実施計画を相互に調整のうえ、年度開始に先だって相互に予算措置を講じ、必要に応じて現行基本協定における費用負担の割合および負担方法を検討するとともに、実施部局においては相互に連絡調整の緊密化をはかり、現地で協議が難航する場合はすみやかに中央において早期解決をはかるよう処置するなど協定の締結を促進し、ひいては立体交差化工事等の促進に努める要があると認められる。

1 道路の新設等にあたり立体交差化工事が遅延しているもの

(1) 北海道開発局室蘭開発建設部が施行している虻田こ線橋は、1級国道37号線と国鉄室蘭本線とが豊浦、洞爺両駅間で交差する虻田踏切を除却し立体交差化するため新設するもので、38年6月から12月までの間にこ線橋前後の付替道路778メートルの改良工事を施行しているが、他方、国鉄に対しては36年10月協議を開始しているのに、40年3月にいたりようやく協定が締結され、国鉄施行のこ線橋橋台等は40年度から実施することとなったため、前記改良済道路のうち497メートル(工事費約3885万円)が未供用のままとなっている。

(2) 近畿地方建設局が施行している三輪崎こ線橋は、1級国道42号線と国鉄紀勢本線とが三輪崎、紀伊佐野両駅間で交差するため新設するもので、39年9月から40年2月までの間にこ線橋前後の付替道路1,245メートルの改良工事を施行しているが、他方、国鉄に対しては37年3月計画協議を開始しているのに、国鉄側に計画の変更があったことなどにより40年8月にいたりようやく協定が締結されたため、前記改良済道路1,245メートル(工事費約2324万円)が未供用のままとなっている。

2 既設立体交差施設の改良工事が遅延しているもの

(1) 東北地方建設局が施行している柴沢こ道橋は、1級国道4号線と国鉄東北本線とが滝沢、渋民両駅間で交差する既設こ道橋の幅員等が規格に適合しないなどのため、既設こ道橋から約30メートル北側の地点に新設するもので、37年4月から38年10月までの間にこ道橋前後の付替道路1,313メートルについて改良および舗装工事をそれぞれ施行しているが、国鉄施行の本件こ道橋工事は当初38年度完成予定としていたのにその後完成時期が40年8月末となったため、前記改良済道路のうち860メートル(工事費約3244万円)が未供用のままとなっている。

(2) 関東地方建設局が施行する越中島こ道橋は、1級国道14号線と国鉄総武本線小名木川支線とが亀戸、小名木川両駅間で立体交差している施設であるが、同こ道橋前後の道路幅員は38年度までに40メートルに拡幅舗装されたのに、同こ道橋下の道路幅員は24メートルで37年8月以来その改良について国鉄側と協議しているのに未協定のため未改良のままとなっている。

3 踏切道の改良工事が遅延しているもの

(1) 関東地方建設局が施行する新宿こ道橋は、1級国道6号線と国鉄金町貨物線とが金町、新小岩両駅間で平面交差している新宿街道踏切を立体交差化するもので、37年4月、国鉄と計画協議を開始し、同年9月踏切道改良促進法の規定に基づき立体交差化を実施すべきものとして指定を受けたのに、協議が整わなかったため、同法の規定に基づき指定後6箇月以内に建設、運輸両大臣あて提出することとなっている立体交差化計画書の提出が39年5月となったばかりでなく、40年10月現在、なお設計協議も未了のまま未着工となっている。

(2) 近畿地方建設局が施行する五条通り高架橋は、1級国道9号線と国鉄山陰本線とが丹波口、二条両駅間で平面交差している五条通り踏切を立体交差化するもので、37年9月踏切道改良促進法の規定に基づき立体交差化を実施すべきものとして指定を受けたのに、立体交差化工事が地方道とも関連するなどのため、指定後6箇月以内に建設、運輸両大臣あて提出することとなっている立体交差化計画書を40年10月現在なお作成することができず、着工年度も不明となっている。