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  • 昭和39年度|
  • 第2章 国の会計

昭和38年度決算検査報告掲記の是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項に対する処置状況


第9節 昭和38年度決算検査報告掲記の是正改善の処置を要求しまたは改善の意見を表示した事項に対する処置状況

 昭和38年12月から39年11月までの間に、不当と認めた事項につき是正改善の処置を要求し、または法令、制度もしくは行政に関して改善の意見を表示したものとして、昭和38年度決算検査報告に掲記した事項に対し、その後当局においてとっている是正改善処置の状況は、40年9月末現在、次のとおりである。

(1)  国家公務員宿舎新築工事の施行について是正改善の処置を要求したもの  (昭和39年2月8日付け39検第47号 大蔵大臣あて
 各財務局で公務員宿舎新築工事の施行にあたり、監督および検査が十分でなかったため工事の出来形が図面、仕様書と相違していると認められるものが多数見受けられたので、関係規程等を整備するなどして工事の実施体制を強化し工事の適正な施行をはかるよう是正改善の処置を要求したところ、大蔵省においては、昭和39年6月、管財局長通達をもって、監督事務取扱要領、検査事務取扱要領等を定め、また、各財務局の宿舎担当職員を対象とした研修を実施し関係職員の技術面の向上をはかるとともに、40年4月までに、各財務局を通じ、宿舎課5を増設し、宿舎専門官10名を新設するなど機構を整備拡充して、工事の適正な施行をはかっている。

(2)  厚生保険、船員保険両特別会計における保健、福祉施設の管理運営について改善の意見を表示したもの  (昭和39年11月26日付け39検第592号 厚生大臣あて
 厚生省における保健、福祉施設の設置運営に関する基本方針が明確を欠いているので、これを確立するとともに、現行委託管理方式において施設の運営に関する経理、委託団体に提供する国有財産および国有物品の管理ならびに施設設置の趣旨に則した運営を適正に行なうよう改善の意見を表示したところ、厚生省においては、基本的事項について現在その対策を検討中であるが、とくに例示した事項のうち、委託事業と、他の事業との混こう経理については、社会保険庁において昭和40年3月都道府県に対し全国社会保険協会連合会に委託している病院の経理区分の明確化を指示し、施設の用に供するため委託者に提供している財産に対する火災保険の付保については、未付保の施設について付保させ、また、東京厚生年金会館の宿泊施設、結婚式場について利用料金に一般との格差を設けるなどの処置を講じている。

(3)  農業委員会の特別事業に対する補助金等の経理の適正化について是正改善の処置を要求したもの (昭和39年7月28日付け39検第406号 農林大臣あて
 農林省所管国庫補助金のうち、農業委員会特別事業費補助金および市町村移住推進事務費補助金について、その経理が適切を欠き、また、事業の全部または一部を実施していないなど補助事業としての効果があがっているとは認められないものが多い状況であるので、適切な処置を講ずるよう是正改善の処置を要求したところ、農林省においては、農家台帳補正事業、農業就業構造改善対策事業および市町村移住推進事業 についていずれも昭和39年度限りで国の助成を廃止した。なお、農家台帳補正事業は、今後、市町村においてこれを自主的に行なわせることとし、農業就業構造改善対策事業および市町村移住推進事業は、40年度から新たに農家労働力対策事業として各市町村における労働力事情の緊要度、実施体制等を勘案して1,200農業委員会を選び、これを中心に実施させることとしている。

(4)  2年度以上にわたり継続施行する国営土地改良工事に対する予算等の措置について改善の意見を表示したもの  (昭和39年11月25日付け39検第589号 農林大臣あて
 国営土地改良工事として施行する工事のうち、大規模のえん堤、ずい道等その施行に2年度以上を要し、かつ、これらを分割し単年度工事として請負契約に付することが適当でないものの施行にあたっては、当該工事全体につき指名競争に付して請負人を決定し、各年度ごとに予算に応じて分割し単年度工事として施行しているため、事実上予算外に国の債務を負担することとなり適当な措置とは認められないばかりでなく、工事の遊休期間を生じ不経済となるなどの事例も見受けられたので、国庫債務負担行為の予算措置を講ずるなど適切な処置をとるよう改善の意見を表示したところ、農林省においては、昭和40年度以降国庫債務負担行為の予算措置を講じて施行することとして予算を要求し、40年度に8地区分33億2000万円の予算が成立したので、これに基づいて請負契約を締結し工事を施行している。

(5)  林産物検査の取扱いについて改善の意見を表示したもの  (昭和39年11月16日付け39検第578号 農林大臣あて
 北海道の旭川ほか4営林局管内の国有林で生産される林産物については、北海道林産物検査条例(昭和25年条例第37号)の規定により、北海道が日本農林規格に基づく品質、形量等の検査格付けを行なっているが、その実情は前記各営林局に所属する営林署職員が、北海道の検査員としての資格を兼ねて検査格付けを行なっているものであるのに、前記各営林局において当該検査手数料を北海道に支払っているのは適当でないので、適切な処置を講ずるよう改善の意見を表示したところ、農林省においては、北海道と協議した結果、昭和40年4月1日前記条例の一部が改正され、国が生産して日本農林規格により検査格付けをした林産物については同条例の規定による検査を要しないこととなったため、40年度から検査手数料を負担する必要がなくなった。

(6)  中小企業近代化促進費補助金を財源とする設備近代化資金の運営について改善の意見を表示したもの  (昭和39年10月27日付け39検第537号 通商産業大臣あて
 都道府県が国から補助を受けて運営する中小企業設備近代化資金について、通商産業局と都道府県との事務手続きの不円滑などのためその貸付けが著しく遅延しており、本制度の趣旨にそわない結果をきたしていると認められるので、事務処理の促進をはかるなど適切な処置をとるよう改善の意見を表示したところ、通商産業省においては、補助金の配分、業種等部門別貸付けわくの通知等を従来より5箇月程度早め、協議および承認等に関する事務の円滑化をはかるとともに、都道府県における貸付事務が適正かつすみやかに行なわれるよう指導監督に努めた結果、昭和39年度においては、12月までに貸付総額の約50%に達する貸付けが行なわれている。

(7)  履物にかかる普通輸出保険包括保険の運営について改善の意見を表示したもの  (昭和39年2月8日付け39検第48号 通商産業大臣あて
 履物にかかる普通輸出保険包括保険についてその付保率がきわめて低率となっているので、輸出者の輸出実績をは握するため適切な処置をとるとともに、包括保険約款に基づいて実地調査を行ない、付保脱漏の防止に努めるよう改善の意見を表示したところ、通商産業省においては、昭和39年5月11日付けをもって通商産業大臣が日本雑貨輸出組合と普通輸出保険包括保険追加特約を締結して付保対象品目をスポンジ草履だけに限定するとともに、同組合から付保対象品目の輸出契約実績および輸出承認実績等を定期的に報告させることとするなど指導を強化し、その完全付保を期している。

(8)  機械類賦払信用保険の運営について改善の意見を表示したもの  (昭和39年10月31日付け39検第559号 通商産業大臣あて
 機械類賦払信用保険において、保険関係の成立する毎月の割賦販売契約および保険料の額が通商産業大臣へ通知されていないものが多く、また、被保険者からの代金回収報告が著しく遅延しているなど本保険の健全な運営が阻害されていると認められたので、これらにつき適確な事務処理と関係諸規程の検討をはかるよう改善の意見を表示したところ、通商産業省においては、実地調査および指導を強化するとともに、機械類賦払信用保険約款および手続細則を改正して機械類の引渡しの属する月ごとに通知させることとしたり、保険契約者と被保険者とが異なる場合は保険契約の締結の際被保険者の委任状を添付させることとしたりするなど保険契約者からの割賦販売契約の通知方法を合理化し、また、代金回収報告の著しく遅延するものについては同約款第9条の免責条項を適用することとしたり、代金回収状況台帳を作成したりするなどの処置を講じている。

(9)  道路改良工事における機械経費および諸経費の積算について改善の意見を表示したもの  (昭和39年10月30日付け39検第549号 建設大臣あて
 道路改良工事における設計積算のうち機械施行にかかる掘さく、積込み、敷きならし、転圧等の土工費の積算において、機械の組合せおよび能力の算定等が、また、諸経費の積算において、直接工事費に対する率およびその計算方法等が区々となっているものがあり、これらについて是正または検討するよう改善の意見を表示したところ、建設省においては、機械経費の積算について標準機械の仕様および土工機械の作業能力算定式を定め、その運用については将来逐次統一をはかるため調査係3名を増員し検討中であり、諸経費の積算について二次製品のうちPCけた、鋼けた、鋼くい、コンクリートくいおよび道路付属物の完成品はその価額の70%を直接工事費として諸経費を計算するよう定め、その他については逐次統一するため技術調査官1名を増員し検討させることとした。

(10)  アスファルト舗装工事の設計および施行について改善の意見を表示したもの  (昭和39年11月19日付け39検第579号 建設大臣あて
 アスファルト舗装工事の施行にあたりアスファルト混合物の配合試験および品質管理において道路技術基準によっていないなどその取扱いが妥当でないものがあり、これらについて是正または検討するよう改善の意見を表示したところ、建設省においては、昭和40年1月、道路局長通達をもって各地方建設局長および北海道開発局長に対し、アスファルト舗装工事の設計および施行を厳正にするよう指示するとともに、監督職員等に対し材料の試験方法に重点を置いた研修を行ない、アスファルト舗装工事についての認識を深めさせるなどの処置をとるよう指示している。