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  • 昭和39年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 物件

車両用信号炎管の点火装置の購入にあたり検収処置当を得ないと認められるもの


(660) 車両用信号炎管の点火装置の購入にあたり検収処置当を得ないと認められるもの

 日本国有鉄道北海道地方資材部ほか9箇所(注) で、昭和39年度中に、随意契約により日本カーリット株式会社ほか3名から車両用信号炎管の点火装置ほか4点を総額167,978,766円で購入しているが、そのうち点火装置10,514個、単価13,800円から14,246円価額145,556,838円については、その検収方法が適切でなかったため、仕様書と相違し、材質の劣る低価な品形のものが納入されている。
 本件点火装置は、車両に取り付けたうえ、必要の際、信号炎管本体を発火発炎させ列車防護のために使用するもので、前記業者がいずれも同一製造業者に製造させたものをそのまま、または炎管本体等とともに納入したものであって、契約にあたっては38年9月運転局制定の仕様書によることとなっていて、この仕様書についてみると、鋳物部品の材質については、底ふた、ハンドル、クラッチ、クラッチカバーおよびカムはいずれもJIS H5111青銅鋳物3種を使用することとしており、試験および検査については、点火装置各部の機能状態および形状寸法等に関し異状の有無を検査することとしているものである。

 しかして、会計実地検査の際、本件点火装置のうちその一部につき調査したところ、ハンドルおよびクラッチカバーの品形が仕様書と相違していたので、その他の部分を含め当局に調査させたところ、クラッチカバーについては、仕様書によれば前記材質の鋳物一体品となっているのに、頭部がJIS H5101黄銅鋳物三種または四種、筒部がJIS H3631継目無黄銅管二種の二体品となっているうえ、底ふたおよびハンドルについては、JIS H5101黄銅鋳物三種または四種(一部のハンドルについては、JIS G5702黒心可鍛鋳鉄品一種)、クラッチおよびカムについでは、JIS H5101黄銅鋳物二種となっていて、いずれも仕様書と相違し、材質の劣る低価な品形のものが納入されていることが判明したもので、この材質の相違による差額は、当局の試算によっても約210万円となっている。
 このような事態となったのは、当局において、本件購入にあたり、納入品について材質等の品形検査を適切に行なっていなかったことによるもので、検収処置当を得ないと認められる。

(注)  北海道、東北、新潟、関東、中部、関西、四国、広島、九州各地方資材部、静岡資材事務所