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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項

総理府


第1 総理府

 (防衛庁)

 (一般会計)

 昭和40年度(組織)防衛本庁の支出済歳出額は2917億7322万余円で、36億1064万余円を翌年度へ繰り越し、5億4822万余円を不用額としている。また、国庫債務負担行為および継続費に基づく債務負担額は732億7315万余円で、既往年度からの繰越債務額を加えると債務総額は1444億1019万余円となるが、40年度中に債務の消滅したものが600億0377万余円あるので、40年度末における債務額は844億0641万余円となっている。支出済歳出額のうちおもなものは、人件費関係を除くと、航空機修理費214億9624万余円、艦船の建造費139億6964万余円、糧食費112億0101万余円、航空機購入費110億4437万余円、施設整備費98億3696万余円、通信機器購入費78億8795万余円である。

 つぎに、(組織)防衛施設庁の支出済歳出額は148億7849万余円で、9億3446万余円を翌年度へ繰り越し、2億0904万余円を不用額としている。支出済歳出額のうちおもなものは、人件費関係を除くと、施設提供に伴う補助金54億2677万余円である。

 検査の結果、別項記載のとおり、トラクタ・ドーザ用部品の調達にあたり購入方法が適切でなかったため不経済となっているもの製版料の積算が適切を欠いたため航空路図誌の購入価額が高価と認められるもの があるほか、次のとおり留意を要すると認められるものがある。

 (航空機の修理の実施について)

 防衛庁における航空機の修理は、航空機の飛行時間の増加等に伴って、逐年修理工事および修理用部品の調達の経費が増大しているが、昭和41年中、これら修理工事の実施および修理用部品の調達について検査したところ、

 (ア) 航空機の改装工事は、緊急を要する場合を除き、定期修理工事にあわせて実施することとなっているが、その調整についての配意が十分でなく、定期修理工事の実施時期が接近しているものについて定期修理工事の実施時期に先立って単独に改装工事を実施したため両工事間に工程の重複が生じ不経済となっているものがF−104航空機の改装工事において見受けられたので、改装工事の実施時期の調整についてなお一層配慮の要があると認められる。

 (イ) 航空機修理用部品の調達において、S2F−1航空機等に使用する発動機修理用部品の調達にあたり、在庫数量のは握が十分でなかったため調達数量が適切を欠く結果となったもの、F−86D航空機修理用部品の調達にあたり、すでに購入手配を行ない入庫予定となっているものがあるのにこれを算入しないで調達所要量を決定し購入契約を締結したもの、C−46航空機修理用部品の調達にあたり、同航空機の定期修理工事内容が変更されたのにこれを考慮しないで調達を行なったものなど適切を欠いている事例が見受けられたので、今後部品の保有状況を適確には握し、修理工事内容に即して適正な調達を行なうよう十分配慮する要があると認められる。

 (教育施設等騒音防止対策事業補助金の交付について)

 防衛施設庁で、昭和40年度中、自衛隊または駐留軍の航空基地等の周辺に所在する学校教育施設等の騒音防止対策として当該施設の設置者が事業主体となって行なう防音工事等に対し交付した国庫補助金は50億9898万余円に上っているが、41年中、本件補助金の経理等を検査したところ、東京、福岡両防衛施設局において、事業主体から提出された補助金の交付の申請書に添付されている工事実施設計書によるガラスブロック等の数量が設計図面による数量と相違し、またはコンクリート型わく損料を過大に見込んでいたのに調査が十分でなかったため、これをそのまま認めて補助金交付の決定をし補助金の交付が適切を欠いた結果となっている事例が見受けられたので、今後補助金の交付の決定にあたっては、審査体制の充実を図り調査を十分に行ない、補助金交付の適正を期する要があると認められる。

 不当事項

 物件 (1)(2)

(1)  トラクタ・ドーザ用部品の調達にあたり購入方法が適切でなかったため不経済となっているもの

 (一般会計) (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁

 陸上自衛隊施設補給処および北海道ほか2地区補給処(注) で、昭和40年度中、随意契約により小松サービス販売株式会社および北日本重機株式会社からトラクタ・ドーザD7型用部品下転輪(組部品)198個を総額7,944,588円で購入しているが、購入方法が適切でなかったため、約210万円が不経済となっていると認められる。

 本件下転輪(組部品)は、トラクタ・ドーザD7型の履帯を保持誘導するため車体の両側下方に装着されている部品で、下転輪軸支え2個および下転輪(小組部品)1個の単品3個から構成されている組部品であって、この購入価格についてみると、前記補給処ではいずれも小松サービス販売株式会社が発行した部品定価表記載の価格を採用し、これから計画調達の場合11.9%、臨時調達の場合7.7%を値引きして、1個当り37,178円から43,381円で購入したものであるが、下転輪(組部品)の構成部品は、それぞれ単品として購入することができるもので、その価格は前記部品定価表に記載されていて、単品として購入する場合下転輪(組部品)1個を構成する単品の価格を合計すると28,218円から30,487円となり、組部品として購入する場合の価格に比べて1個当り8,520円から12,894円低価となるものである。

 しかして、本件下転輪(組部品)は使用部隊等において整備の際使用するもので、使用部隊等ではその構成部品の一部が損耗した場合にはその部分について単品として取り替え、また、構成部品の大部分が損耗した場合には下転輪全体を組部品として交換するものであるが、構成部品を前記のように単品で購入のうえ補給した場合でも必要に応じ使用部隊等で容易に組部品に組み立てることができるものであり、かつ、本件組部品は価格も高価でその購入数量も多いのであるから、以上の点を考慮すれば、購入にあたり十分検討のうえ経済的な購入方法をとるべきであったと認められる。

 いま、仮に本件下転輪について組部品としての購入に代えてその構成部品を単品として購入する方法をとることとすれば、購入価額は総額5,768,544円で足り、本件購入価額に比べて約210万円を節減することができたものと認められる。

(注)  北海道、東北、関西各地区補給処

(2)  製版料の積算が適切を欠いたため航空路図誌の購入価額が高価と認められるもの

 (一般会計) (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁

 航空自衛隊第1補給処東京支処で、昭和40年度中、各月、随意契約により株式会社雄建社から航空路図誌計27,428冊を総額11,096,363円で購入しているが、製版料の積算が適切を欠いたため予定価格が過大となり、購入価額が約300万円高価となっていると認められる。

 本件航空路図誌は、航空路、飛行場施設等航空機の運航に必要な図面と記事が記載されているもので、記事だけのページ(以下「記事ページ」という。)と図面を含むぺージ(以下「図面ページ」という。)とからなっており、各月、記載内容に変更がある場合は航空自衛隊保安管制気象団で修正のうえ上記支処から貸与する原稿によって作製するものであるが、その予定価格の積算にあたっては、製版料、印刷料、用紙代および製本料等に一般管理費、利益を加算し、1ページ当り単価を無修正のページは1円265、修正のある記事ページは2円939、修正のある図面ページは修正の度合に応じて6円501から17円523とし、これにそれぞれのページ数を乗じて1冊当り単価を算定しているものである。

 しかして、このうち修正のある図面ページの製版料についてみると、東京都写真製版工業組合が定めたプロセス製版標準料金表により、A5判多色版平凹版料金3,500円を基礎として1ページ当りの製版料を修正の度合に応じ4円760から14円780と積算しているものである。しかしながら、本件図面ページの製版は、白黒版と白黒版に網がけをしたものとを組み合わせることによって行なわれ、多色版に比べて複雑な工程を要しないものであるから高価な多色版の料金によって積算する要はなく、この種製版料の算定にあたっては、白黒版のものは白黒版平凹版料金700円を、また、白黒版に網がけをするものは単色網版平凹版料金1,500円を適用すれば足りたものと認められる。

 いま、仮に修正のある図面ページの製版料について前記標準料金表により白黒版平凹版料金または単色網版平凹版料金を適用(40年10月前記標準料金表が改訂されているので同月以降分については改訂料金による。)し計算すると、製版料は1ページ当り0円490から4円284、これに印刷料等を加えた修正のある図面ページの1ページ当り単価は1円754から5円992となるから、本件予定価格を修正計算すると総額8,056,821円となり、本件購入価額はこれに比べて約300万円高価となっていると認められる。