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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
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租税の徴収過不足をきたしたもの


(4)−(115) 租税の徴収過不足をきたしたもの

 (一般会計)国税収納金整理資金

 租税の徴収過不足をきたしていたものについて会計検査の結果是正させたものが、税額1事項10万円以上のもので集計すると横浜税関、横浜税関山下埠頭出張所および麹町ほか229税務署において徴収不足942事項533,618,511円、徴収過4事項1,720,980円あるが、これを国税局等別、税目別に示すと次のとおり

租税の徴収過不足をきたしたものの図1

であり、

 これらの過誤のおもな態様を示すと、次のとおり

1 源泉所得税においては、配当(66事項)または賞与の性質を有する給与(12事項)に関するもので、
 配当については、徴収義務者の納付未済のものに対し監査が十分でなかったため、また、賞与の性質を有する給与については、課税資料について部内の連絡が適切でなかったため課税処理をしていなかったことによるもの
であり、

2 申告所得税においては、譲渡所得(131事項)、資産所得の合算(45事項)、不動産所得(35事項)、雑所得(32事項)、配当控除(31事項)、給与所得(20事項)、事業所得(18事項)、損益通算(18事項)および一時所得(11事項)に関するもので、
 譲渡所得、不動産所得、雑所得、事業所得および一時所得については、資産の異動、不動産賃貸料、貸金利子、不動産売買仲介料、立退料等に関する課税資料の収集、連絡または活用が適確でなかったため課税処理をしていなかったことによるもの、
 資産所得の合算については、主たる所得者の所得および世帯員の資産所得の合算に関する調査が十分でなかったため課税処理をしていなかったことによるもの、
 配当控除および損益通算については、納税義務者が所得税額から控除する控除額の計算および事業所得等の損失額を譲渡所得等の金額から控除する場合の計算を誤っていたのに調査が十分でなかったため是正処理をしていなかったことによるもの、
 給与所得については、賞与の性質を有する給与等の課税資料について部内の連絡が適切でなかったため課税処理をしていなかったことによるものであり、

3 法人税においては、固定資産の減価償却(137事項)、退職給与引当金(86事項)、同族会社の留保金額(61事項)、役員賞与(41事項)、受取利益配当等の益金不算入(30事項)、輸出所得(23事項)、繰越欠損金控除(19事項)、交際費(17事項)および有価証券の評価(11事項)に関するもので、納税義務者が申告書等において法令の適用、税額の計算等を誤っていたのに調査が十分でなかったことなどのため、是正処理をしていなかったことによるもので、
 固定資産の減価償却については、耐用年数を誤ったり、割増償却または特別償却ができない資産についてこれらの償却をしたりしていたもの、
 退職給与引当金については、損金繰入額を過大に計算したり、従業員が退職した場合における益金算入額を過少に計算したりしていたもの、
 同族会社の留保金額については、同族会社であるのに非同族会社としたり、留保金額の計算を誤ったりしていたもの、
 役員賞与については、損金と認められない役員賞与を損金としていたもの、
 受取利益配当等の益金不算入については、配当等から控除すべき株式等の取得に要した負債の利子額を過少に計算したり、証券投資信託の収益の分配で配当等にかかる部分の金額の計算を誤ったりしていたもの、
 輸出所得については、特別控除額を過大に計算したり、輸出の証明がされない場合の益金算入額を過少に計算したりしていたもの、
 繰越欠損金控除については、所得から控除することができない繰越欠損金を控除していたもの、
 交際費については、損金不算入額を過少に計算していたもの、
 有価証券の評価については、増資により取得した株式等に付すべき価額の計算を誤っていたもの
である。

 前記徴収過不足をきたしていたもののうち税額の合計額が1税務署当り100万円以上となるものをあげると別表第1 のとおり112件徴収不足741事項483,190,929円、徴収過3事項1,609,500円である。