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  • 昭和40年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

日本国有鉄道


物件

(369)  アーマーロッドの購入にあたり不必要なベリリゥム銅粉を塗布させることとしたため不経済となっているもの

 日本国有鉄道関東地方資材部ほか3箇所(注) で、昭和40年9月および10月、公開競争契約または公開競争後の公正協議による契約により古河電気工業株式会社ほか2会社からアーマーロッド21,410組を単価2,830円総額60,590,300円で購入しているが、不必要なベリリゥム銅粉を塗布させることとしたため、約640万円が不経済となっていると認められる。
 本件アーマーロッドは、径3.7ミリメートルの丹銅線10本をより合わせたもので、新幹線電車線のちょう架線が支持箇所で断線したとき、その垂下を防止し、兼ねて一時的にちょう架線の代用をさせるためちょう架線に巻きつけておくもので、東海道新幹線支社が40年8月その仕様書を定めるにあたっては、前記古河電気工業株式会社に依頼して、ベリリゥム銅粉を塗布しないもので引張試験等を行ない、その結果により機能を十分満足するように材質、巻きつけ部分の長さおよび引張強度等の仕様を決定しているものである。

 しかしながら、前記各購入箇所における購入の実情をみると、いずれもは持力を増大し導電率を良好にするため必要であるとしてアーマーロッドのちょう架線との接触面の一部に、前記仕様書に規定されていないベリリゥム銅粉を塗布させることとしその塗布経費1組当り306円を積算したうえこれを購入しているが、前記のとおり所定の仕様のもので十分その用に足りるとしているものであり、本院で、当局に対し、その現品について調査を依頼した結果によっても、ベリリゥム銅粉を除去したもののは持力は、前記仕様書の所定値である引張荷重2トンを上回るばかりでなく、ちょう架線の強度に近い4トン程度にも耐えるものであり、また、その導電率はベリリゥム銅粉を塗布したものとの間に差違がないものであるから、ベリリゥム銅粉を塗布させる必要はなかったものと認められるのに、その必要性について十分検討を行なわないまま前記仕様書に規定されていない不必要なベリリゥム銅粉の塗布を行なわせて購入したのは処置当を得ない。
 いま、仮にベリリゥム銅粉を塗布しないものを購入したとすれば、1組当り価格は2,530円となり、総額では54,167,300円となって、本件購入価額に比べて約640万円を節減することができたものと認められる。

 (注)  関東、中部、関西各地方資材部、静岡資材事務所

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