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  • 昭和40年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

日本国有鉄道


改善の意見を表示した事項

 自動信号化等工事に伴う撤去機械信号機器の活用について

(昭和41年11月16日付41検第318号)

 日本国有鉄道においては、安全輸送を確保するなどの目的で信号の自動化等を図るため、昭和40年度中に全国25線において現在使用している機械信号機を撤去して新たに電気信号機を設置する工事を約31億円で実施しているが、同工事に伴って撤去された機械信号機等の機器の処置をみると、各電気工事局、新潟支社および旭川ほか8鉄道管理局においては、一部を再使用しているだけで、その大部分を廃用品としており、このうちには、再使用可能として整理しながら、発生した地域限りでさしあたり使用の見込がないとして廃用品としたものも相当数含まれている状況である。
 他方、各電気工事局、鉄道管理局等においては、機械信号機を新設しまたは取り替える場合は、資材局および各地方資材部に対して本件撤去機器とほとんど同規格のものの調達を要求しており、その調達金額は40年4月から41年5月までの間に約6億9000万円(うち40年度分約5億8000万円)に達しており、また、このほか、工事の実施にあたり、これら信号機器を請負業者持ちとしているものも多数見受けられる実情である。

 しかして、機械信号機の主要機器は堅ろうで、かつ、簡易な構造のものが多いのであるが、会計実地検査の結果、本件撤去機器のうちに残存耐用年数の長いものが多数あり、また、前記のように再使用可能として整理していた事例や現に再使用している事例が見受けられたことにかんがみ、本件廃用品とした撤去機器のうちに再使用してなんら支障のないものが多数あったと認められるので、機械信号機を新設しまたは取り替える場合には、これら撤去機器の活用を十分図るべきであったと認められるのに、ほとんどの場合新品を設置している状況である。
 このような事態を生じているのは、本件撤去機器等については、電気工事局、鉄道管理局等地方機関または現業機関の長限りで運用する体制となっているため、電気工事局、鉄道管理局等相互間または支社相互間における広域運用が行なわれがたいことによるものと認められる。

 ついては、第3次長期計画において電気信号機新設工事が大幅に計画され、機械信号機のほとんどは数年の間に逐次電気信号機に取り替えられることとなっているので、今後新設しまたは取り替える機械信号機も短期間で撤去されることとなるものが多いと予想されることにかんがみ、今後機械信号機を新設しまたは取り替えるにあたっては、再使用可能と認められる撤去機器を設置することが適当な場合が多いと認められるから、撤去機器の広域運用を行なう体制の整備を図るなど適切な処置を講じ、極力活用を図る要があると認められる。

 

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