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  • 昭和40年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各機関別の事項

東北開発株式会社


第23 東北開発株式会社

 東北開発株式会社の昭和40営業年度末資本金は60億1000万円(うち政府出資59億0750万円)で、前営業年度末に比べて12億円増加している。
 40営業年度は同会社再建5箇年計画の第2年度に当たり、前営業年度に引き続き事業の体質改善、合理化を図っている。
 40営業年度のおもな生産品の販売計画は、セメント50万トン、カーバイド3万9千余トン、ハードボード1万2千余トンで、これに対する実績はセメント51万3千余トン、カーバイド3万1千余トン、ハードボード1万3千余トンとなっている。

 40営業年度の新規事業は、直轄工場の整備等5億4000万円、投融資事業等3億1500万円、新事業予備費5億円計13億5500万円の計画に対し、実績は直轄工場の整備等2億9620万余円、投融資事業2億9500万円計5億9120万余円で、計画に比べて7億6379万余円減少しているが、これは砂鉄事業に代わるものとして新事業予備費で予定していた事業が具体化しなかったことなどによるものである。また、前営業年度からのおもな繰越事業で40営業年度に実施したものは、直轄工場の整備等3億9859万余円である。
 40営業年度の所要資金110億7880万余円については、政府出資金12億円、社債発行による収入金20億円、銀行からの借入金10億1000万円、営業収入44億9193万余円、前期繰越金19億7190万余円等を充当している。
 40営業年度の収益は49億2089万余円、費用は69億2769万余円で、当期損失金は経常損益で10億9149万余円、特別損益で9億1530万余円計20億0680万余円となっており、これを前記再建計画における第2年度の予想損失金11億8249万円に比べると8億2431万余円増加しているが、これは主として、砂鉄事業の企業化を取りやめたことに伴い、むつ製鉄株式会社および砂鉄原料株式会社の解散等の新たな事態が発生したこと、セメント事業において生産および販売事情を考慮して再建計画で予想していた生産および販売の計画を大幅に縮小したこと、また、市況低迷の影響を受けて販売価額が予想を下回る一方、製造原価が計画どおり低減しなかったことなどによるもので、このままでは44営業年度以降に利益金の計上ができることを目標としていた再建計画の達成は遅れる見通しとなっている。
 40営業年度の事業別等の損益は、セメント事業で3億2391万余円、カーバイド等製造の化工事業で1億5804万余円、ハードボード事業で2億6969万余円、本社部門で12億5515万余円それぞれ損失となっている。
 しかして、40営業年度末の欠損金累計額は72億6013万余円で、資本金の額を12億5013万余円上回っている。
 検査の結果、次のとおり留意を要すると認められるものがある。

(セメント生産計画の策定について)

 東北開発株式会社で、昭和40営業年度のセメント生産および販売の計画策定にあたり、レポールキルン1号およびレポールキルン2号をか働させてセメント49万8千余トンを生産し50万トンを販売することとしたが、その生産実績は、1号についてはほぼ計画どおりであったが、2号については計画のクリンカ日産1,000トンに対しわずか877トンにすぎず、休転を予定していたシャフトキルンの運転を再開したが、なお生産量が販売契約量に対して不足したため、他会社製のセメント2万1千余トンを購入しまたは販売代理店に代替させて納入せざるを得ない事態となっている。
 このような結果となったのは、生産計画の策定にあたり、レポールキルン2号は38年9月運転開始以来、約1箇年を経過した39営業年度下半期の生産実績もクリンカ日産881トンにすぎなかった実情を十分考慮しないで日産量を決定したことなどによるものと認められるので、今後、実情に応じた生産能力を十分調査は握して生産計画を策定し、また、生産と販売相互の連絡調整を緊密にする要があると認められる。

(セメントサービスステーションの建設について)

 東北開発株式会社で、昭和39年2月から総額1億5677万余円で八戸市に建設したセメントサービスステーション(サイロ容量6,000トン)は40年2月操業を開始しているが、その40営業年度におけるか働状況をみるとセメントのサイロ通過量は計画数量27,700トンに対し14,490トンとなっている。
 同会社では、気仙沼港を起点として八戸、小名浜および東京の各地区にセメントを海上輸送する構想を立てていたが、これが実現する目途が立たない時期において、さしあたって、八戸地区には海上輸送の場合に比べて輸送費が割高な陸上輸送によっても相当の売れ行きが見込まれるとし、あわせて将来上記計画が実現する場合をも考慮して、早期に本件サービスステーションを設置したものであるが、前記のようなか働状態にかんがみ、今後、設備投資を行なうにあたっては、その効果発揮の見込について十分検討のうえ実施する要があると認められる。